深夜の側溝からかすかな子猫の鳴き声→雷が鳴り響く雨の中、生後間もない子猫3匹を家族で保護 “必死の救出劇”を聞いた
まいどなニュース / 2024年5月1日 11時55分
「私も出来る限りの事をしています。
生まれたての子猫の救出を、してくれそうな所を教えてください。まだ他の子猫が側溝に閉じこもっています。
瀕死の状態で溝の中にいました。雨も降って体温がかなり低い状態でしたが、今は2匹で重なり合って体温を維持しようとしています」
深夜、雷が鳴り響く雨の中、歩道の側溝の中から救出された子猫2匹。目も開いておらず、へその緒がついた状態で衰弱していました。まだあともう1匹、石の側溝に取り残されたまま…最後の1匹を救出するまで保護主さん(@miichannel2023)はX(旧Twitter)に子猫を助けるための情報を求め投稿し、注目を集めました。
重い鉄製のふたで閉じた側溝の中に赤ちゃん猫が…
それは、4月16日午後11時半頃の出来事。自宅の隣にある駐車場へ保護主さんの旦那さんが車の荷物を取りに行った時のことでした。道を歩いていると、歩道側から小さな鳴き声がかすかに聞こえてきたといいます。その鳴き声はすぐに止んで数分後また聞こえてきて。旦那さんは鳴き声の方へ恐る恐る近付いてみると、数匹の猫のような鳴き声が歩道の側溝の中から聞こえてくることに気付きました。しかし雨が降っており、真っ暗で何も見えない状態。一度帰宅した旦那さんは寝ていた奥さん(保護主さん)を叩き起こしました。
「側溝の中に、猫らしき生き物の声がする」
そう旦那さんから言われ、そのまま放っておいたら死んでしまうかもしれない…と思った保護主さんは猫の救出を試みるため、2人で鳴き声が聞こえた場所へ向かいました。
まず鳴き声を頼りに鉄製のふたで閉じた側溝の中を懐中電灯で照らすと、1匹の小さな赤ちゃん猫(以下、子猫)を発見。時間はすでに深夜12時をまわり近所の人に救護の協力を求めることは難しい。そこで保護主さんと旦那さんは、小中学生の息子さん2人を呼び4人で救出することになりました。
とはいえ雨で濡れ、泥だらけの側溝のふたはかなり重く、びくともしない状態でした。警察に救助をお願いしようと、近くの交番に行ってみたもののパトロール中で留守。交番に置いてあった電話から連絡してみましたが、誰も出ません。いったん現場に戻りました。
家族総出でレスキュー、側溝の周りの土を掘り起こしたり…子猫たちを保護
そうこうしているうちに子猫の声はどんどん弱々しくなっていき、雨も強くなり雷も鳴って状況は悪くなっていく一方。一刻を争うため、旦那さんから110番通報をしてもらったものの、「地元の警察署にかけてほしい」と言われ、地元警察署に連絡したところ「対応できない」と。「深夜でどこも対応できなんいんです。何とかお願いできないか、どこか対応できる所はないか」と訴えても「野良猫では何ともならない」と言い返され、やはり保護主さんたち家族4人だけで子猫たちを救出することに。
当時重たい鉄製のふたを開ける工具などはなく、使った道具は懐中電灯、園芸スコップ、マイナスドライバー、ハンガーでした。全くびくともしない側溝の周りの土を掘り返し、ハンガーのアルミ部分とドライバーを使って何とか開くことに成功。子猫はかなり衰弱しており、泥まみれで数匹のナメクジが体を覆っていました。
一方、他の子猫たちは鉄製のふたで閉じた側溝にはおらず、隣の側溝から鳴き声が聞こえました。その側溝は、厚い石のふたで鉄製のものよりさらに重く頑丈のよう。保護主さんと旦那さん2人の力でもびくともせず。また側溝の中は、多くの枯れ葉や泥があり深夜で視界が悪く猫と見分けがつかない状況でした。中を懐中電灯で照らしながら、かすかに聞こえる鳴き声を頼りに側溝の周りの土を掘り起こしながら、顔を突っ込み捜索しました。すると奥の方に2匹目の子猫を発見し救出。
さらに別の場所からもかすかに弱った鳴き声がしてきましたが、探しても見つけ出すことができませんでした。子猫たちの救出を試みてから2時間たち、保護した子猫2匹は瀕死の状態だったため、看護に当たらないと危ない状況となり一度その場を離れることに。帰宅後、おばあちゃんにも協力を仰ぎ、泥まみれの子猫たちを温かいお湯で優しく洗って、ストーブで温めました。そして、その数時間後の早朝午前8時過ぎ、取り残された子猫がいたのは学校の前の側溝だったことが分かり学校側に保護の協力を要請し、すぐに最後の子猫を救助。無事に3匹の子猫たちを助けることができました。
◇ ◇
春は野良猫の出産ラッシュシーズン…側溝の中で子猫を出産した母猫の育児放棄か
春は野良猫の出産ラッシュシーズン…保護主さん家族に助けられた子猫3匹も、生後1週間以内のへその緒がついた赤ちゃん猫たち。野良猫が側溝の中で出産しそのまま育児放棄された猫だったとみられます。
3匹とも病院に行きましたが、最後に救出した子猫は吐血や血尿、血便が見つかり、かなり衰弱した状況で、保護主さんの看病後に命を落としたとのこと。残りの2匹は体温も上昇し、ミルクを飲んで体重なども増えてきた矢先でしたが、1匹だけ突然弱り息を引き取りました。死んだ子猫2匹は動物霊園にて供養したそうです。
生き残った子猫については「私たちも、共働きで仕事や自分たちの子どもの世話、もともと飼っている元保護猫のみーちゃん(雌・1歳2カ月)のお世話と限られた時間の中で赤ちゃん猫たちの看護をしており、寝る時間はほとんどありませんが、何とか歯を食いしばって看病に取り組んでいます」と保護主さん。
現状はというと「Xで子猫の体を温める方法などいろいろな情報をいただきまして、感謝です。今はダンボールハウスに毛布やシーツ、カイロとペットボトル湯たんぽ、コタツなどを使用して子猫ちゃんの体温管理をしております。また3時間おきにミルクの授乳、ノートにて排せつ管理、体重管理などを徹底。兄妹たちがいなくなってしまいましたので、現在小さいぬいぐるみを与えて寂しくならないようにメンタルの管理も。今のところ、肉球もピンクで血流も良好のよう。また毛も少し伸び体重は30グラム増え、1日10グラムほど大きくなってきており、今のところ順調です」と話します。
保護主「野良猫、野良犬がいるということは、少なからず人間の責任だと痛感」
目の開いていないへその緒が付いた生まれたての赤ちゃん猫を保護したのは初めてという保護主さん。今回子猫たちのレスキューを通じて、こう訴えます。
「保護猫を飼ったことがあるのは、親の代からさかのぼり3回あります。今回の猫ちゃんたちで4回目となりますが、赤ちゃん猫は初めてでした。救出と保護を通じていちばん感じたことは、母猫の偉大さです。人間がどれだけ手を加えて動物たちを保護しても助けられない命があり、人間も一緒ですが赤ちゃん猫にとって母猫は唯一無二の存在で、無事に成長させるというのは奇跡に近いことなんだと思いました。
またXや記事のニュースを通じて皆さんに最も伝えたいことは命の尊さです。逃げ出した動物を除き、野良猫、野良犬がいるということは、少なからず人間の責任だと痛感しました。飼育放棄や遺棄など自分勝手な人間の行動で、全国至る所にお外の厳しい環境下で生命が誕生している現実を1人でも多くの人が気付かないといけないと強く思いました。不幸な猫たちを増やさないためにも社会全体が変わっていくことを強く願います」
保護主さんのおうちにいる元保護猫みーちゃんは、子猫(生後2、3カ月)の時に大雨の中必死に鳴きながら母猫を探していたところを保護された猫ちゃんです。里親募集を見た保護主さんがおうちにお迎えしました。みーちゃんについて、保護主さんは「我が家に来たばかりの時は、人間嫌いで1カ月は攻撃的でシャーシャーいって誰も近付けなかったです。今ではかなり臆病なものの甘え坊さんで、よくかむ抱っこ嫌いなツンデレ娘に育ちました。でもお尻ポンポンが大好き(笑)。特に旦那によくかみつきますが…まだまだ遊びざかりのかわいい子です」と話してくれました。
かわいいみーちゃんの様子は、YouTubeチャンネル「しましまみーちゃんネル」でみられます。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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