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<TDL現役キャストが暴露>東京ディズニーリゾートのバイト面接から採用までの不思議な仕組み

メディアゴン / 2015年11月4日 8時30分

三木大輔[東京ディズニーリゾート・現役キャスト]

* * *

東京ディズニーリゾートで働く約2万人のキャスト(従業員)。そのほとんどがアルバイトというのは有名な話だ。アルバイト募集には、大変多くの応募が集まるので、競争率は決して低くない。実は、筆者も採用されるまで1回の不採用を経験している。

そんな激戦(?)の面接を通過した採用されたキャストとは、どのような人たちなのか。なかなか知られることのない採用までの流れ、面接当日の内容などについて紹介してみたい。

まず初めに、インターネットのキャスティングサイトで面接の予約をする。「バイト募集の広告」もあり、そこからの応募が出来るが、やはりディズニーの公式ホームページの方が詳しくてわかりやすい。

予約が完了したら、いよいよ面接。他のアルバイトと最大の違いであるとは思うが、ディズニーのキャスト面接では履歴書を用意する必要がない。その代わり、面接当日に、その場でオリジナルの履歴書に記入することが求められる。

履歴書の顔写真の撮影があったり、実際に現場で着用するコスチュームを合わせるための、身長、ウエスト等の測定まである。

全ての身体測定が終わると面接に移るのだが、一般的なアルバイトでは考えられない大規模な面接会になっている。東京ディズニーリゾート内、もしくはオリエンタルランドの本社内の大ホールのような会場で1対1の面接のテーブルが何列も並んでいる模様は圧巻だ。

一回の面接会で、およそ5000人とも言われる応募者がいる。効率的な配置や手順で進めたとしても、この人数を相手するのは、やはりかなりの時間がかかる。そのため、応募者が待機中に退屈しないようにとの会社側の配慮なのか、それとも洗脳なのか、別室の待機場所ではディズニーアニメーションが投影されたスクリーンが設置されている。

長い待機の後、ようやく面接。面接の内容は意外と普通で、

 「何故、ディズニーのキャストを志望するのか?」

といったような、どこのアルバイトでも聞かれるようなことが多い。素直に「ディズニーが好き!」「幼い頃の夢だった!」と答える人は多いようだ。

また、何の目的で聞いているのかは定かではないが、

 「年に何回、ディズニーのパークに訪れるか?」

は必ず聞かれる。応募者はもともとディズニーアニメーションやパークが好きでキャストを志望している人が多い。

実際、ディズニー内部の人間は、どの年代も性別も関係なく「年間パスポート」(いわゆる「年パス」)の所持者は多い。勤務前や勤務後に勤務仲間と遊びに行くということも普通に行われている。ディズニーに大して興味を持っていない、という人はやはり少なく、ほとんどのキャスト志望者が「普通にディズニー好き」もしくは「ディズニーマニア」のどちらかである。

面接をする社員のほとんどはパークの現場で働いている。「スーパーバイザー」と呼ばれるテーマパーク社員などもいる。そういった面接担当者に気に入られれば「その場で採用!」ということも稀にある。しかし、ほとんどの場合、一週間から一か月の間に採用の電話が来る、といった流れだ。

スーパーバイザーは、短い時間の中で応募者の適正を瞬時に判断し、相性の良い業種をマッチングしてくれる。社員との距離がかなり近いのも特徴で、就活を控えている学生は面接練習として「キャスト」に申し込んでみても良いぐらいだ。

さて、実際に「採用」という段になると、雇用というよりは「オファー」という感じで、

 「あなたは〇〇という場所の〇〇という職種から採用がきてます」

などといった連絡が来る。もちろん、気に入らなければ蹴ることも可能だが、次に必ずしも採用の電話がかかってくるとも限らない。第一志望の職種が一発目から来る人や、電話を待ち続けてようやく3回目ぐらいに希望業種の採用が出た人など、そのかたちは様々だ。

ディズニーに限った話ではないかもしれないが、採用に近づく基準として不可欠なのは、やはり「スマイルとアイコンタクト」だ。電車の中で赤ちゃんと目があった時のことを想像してほしい。こちらがニコッと微笑むと赤ちゃんも笑顔になり、その場の雰囲気が和む。たとえコミュニケーションが苦手だとしても、ニコッと微笑むだけで雰囲気が明るくなる。

笑うことで自分が嫌な気持ちになることはないし、損をするわけではない。人が話をしているときは目をみて頷いてみたり、ニコニコしたり、といった当たり前のことができれば、実は意外にも簡単に、そして誰でもが「魔法の国の住人」になることが出来るわけだ。

どうしてもディズニーのキャストになりたい!という人で、

 「一度面接を受けたがダメだった・・・」

という経験をしても、諦めずに何度も受け直すことが、採用への近道だ。

筆者自身、最初の面接の時は、顔も上げれず、緊張のあまり顔が怖ばってしまい見事に落ちた。しかし、先輩キャストに「自信を持って笑顔でいれば絶対大丈夫!」と言われたことを信じ、次の面接の際にはしっかり前を向きニコニコと笑顔を振りまいたところ、無事、採用が決まった。

面接会場にはパークの写真の特別展示があったり、その時々にやっているイベントの装飾が施されている。時には、面接を受けるだけで貰える記念品等のプレゼント(非売品)まである。退職したキャストが「記念品が欲しい」がために採用面接を受け直すことさえある。

これは、ディズニー好きな人をバイト集めのターゲットとしてひっかけるための「餌」のようなものなのかもしれない。

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