<富山市議8名が辞職>税金である政務活動費を使いきろうとする議員たちの異常性
メディアゴン / 2016年9月18日 7時40分
水野ゆうき[千葉県議会議員]
* * *
相変わらず地方議員の政務活動費問題が世の中を騒がせている。富山市議会で、政務活動費の不正による議員辞職のドミノ。領収書を偽造してまで政務活動費を不正受給するなど、市民の代表として活動する議員がやることではない。この手口に関しては度肝を抜いた。
8人も辞職するとは富山市議会は議会としてもはや成り立っていない。異例の補選に発展する見込みだ。地方議員として活動する筆者としては呆れかえっている。
筆者は我孫子市議会議員時代から政務活動費の在り方については何度となく意見を公に発表してきた。全国各議会毎に政務活動費の在り方が異なるとはいえ、政務活動費の金額、使途、案分計算、前払い制等、変更すべき点は多々存在する。
しかしながら、議会という場は「多数の意見」が反映されるため、これらを変えていくことは過半数の賛同が必要不可欠だ。保守王国と言われる千葉県では非常に難しい問題であるのは言うまでもない。
筆者は筆者なりのやり方で、昨年度(2015年)は、千葉県議として約1年間の活動に要した政務活動費を公表し、本当に現状で良いのか、という疑問を投げかける形をとった。そもそも「税金」である「政務活動費」に関しては、仕事上必要経費はなるべく節約しながら計上し、政治家として活動することが本来のあるべき姿であると考えているからだ。
そのため、筆者は昨年度、余った政務活動費274万円余を返還した。このことについて、「地方と国会合わせ3万人以上いる議員の中で、これだけの多額を返金するケースはない」ということで話題になり、これは多くの県民・市民からの賛同を得られることができたと感じることができた。
【参考】<ここが変だよ、政務活動費!>高級車を購入した「レクサス市議」は何が問題だったのか?
一方で、筆者の「政務活動費274万円返還」の話が広まるにつれ、議員や政治関係者からは長期間にわたりつらつらと文句を言われる結果ともなった。
その文句のほとんどは、「政務活動費を使うことが活動をしている証であり重要である」「受給した政務活動費を全部使えないとは経営能力がない」「(政務活動費が余るとは)活動をしていない証拠だ」などといった呆れるような難癖ばかりであった。
政治活動に限らず、プライベートや家庭、私的な文化活動などでも節約を心がけている筆者にとっては、県民の税金である政務活動費も、たとえ1円でも無駄遣いはしたくない。税金である政務活動費を、なんとかして使い切ろうとするその根性こそ、理解ができない。しかも、それを「自信満々のドヤ顏で説教しよう」とする彼ら・彼女らの政治姿勢には失笑させられる。
驚いたことに、本来であれば不正を追及すべき役割を演じている民進党(千葉県外の女性議員)までもが、筆者が政務活動費を返還したことに対してSNSで批判していたというから驚きだ。お金を使うためには恥も外聞もないのだろうか。
そもそも、私は無所属であり、一人会派である。地方議会の二元代表制という仕組みからもすべての政党と適度な距離を保っている。他の党や会派から政務活動費の使い方に対して言われる筋合いはない。
富山市議会の問題からしても自民党のみならず民進党系議員も不正受給して辞職している。人を批判・攻撃する前に(そもそも筆者は不正どころか残余額を返還しただけであり攻撃される筋合いはない)自分が所属する党内事情の精査や調査をすることが肝要であることに気付いてほしいものだ。
ただし、筆者が無所属が故に政党としての活動等がないので、政党議員よりはお金がかからないという現実もある。だからといって残余額をなんとか自分の懐にしまってしまおう、などという発想は毛頭ありえないし、政治家以前に人として一体どういう教育を受けてきたのかと不思議に思う。
千葉県議になり、市議時代との違いを痛烈に感じたことは、どこに言っても「先生、先生」と呼ばれるようになったことである。おそらく突如として議員となり「先生」と呼ばれることに陶酔した一部の議員が、いつの間にか感覚が麻痺して、自分が権力を持っていると勘違いし始め、様々な悪事も覚えていくのだろう。
しかし、それは錯覚であり、勘違いでしかないことは言うまでもない。今の時代はそれを許さなくなってきていることを彼らは肝に銘じたほうが賢明だろう。
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