三遊亭円楽が「ENGEIグランドスラム」の大トリという謎
メディアゴン / 2016年9月20日 7時30分
高橋維新[弁護士/コラムニスト]
* * *
2016年9月17日に「ENGEIグランドスラム」(フジ)が放映された。フジテレビが力を入れている実力派芸人たちによるネタ番組である。もう、6回目の放映だ。
今回のトリを務めたのが、六代目三遊亭円楽だった。「笑点の紫の人」と言った方が分かりやすいかもしれない。
その円楽がやったのが、ガチガチの古典落語であった。「猫の皿」という有名な演目である。これが、筆者にはあまりもおもしろくなかった。落語が嫌いなのだとか、「ENGEIグランドスラム」に合わないなどといった意味ではなく、純粋に円楽の落語がつまらなかった、と思うのだ。
そもそも古典落語というのは、「同じあらすじ」で「同じオチ」の話をしゃべる芸である。落語ファンなら、オチの内容を知っている。「寿限無」みたいに一般の人にさえ広く知られている話すらある。
また、あらすじだけ見ると、最後の大オチの部分にしか笑い所がない場合も数多くある。これをそのまま話しても、大オチまでは退屈だし、その大オチにも意外性は全くないので、笑いを起こすことができない。
【参考】「ENGEIグランドスラム」は「芸人が自分で考えたネタを垂れ流す」だけの番組?
この材料でどうやって笑いをとるか。ここが落語家の腕の見せ所となる。
落語家の個性は、その演技力もさることながら、マクラと途中のくすぐりに出る。「マクラ」というのは、本題に入る前のおもしろい雑談のことを言う。「くすぐり」は、大オチに至るまでの中途に客を退屈させないために入れる笑い所である。
両者とも、話の本筋を阻害しなければ好きにやってよい。多少舞台や登場人物の設定をアレンジするのもありである。
さて、今回の円楽はマクラは話していたが、途中のくすぐりが全くなかった。だから、大オチまで笑いが一切起きておらず、筆者としては聞くのが辛かった。また、その大オチも前述の通り分かりきっている内容なのである。
加えて円楽は、登場人物の演じ分けにも冴えが見られない。落語には通常複数の登場人物が出てくるが、落語家はこれを全部一人で演じ分けなければならない。「いま誰がしゃべっているのか」というのが分からなくなってしまえば、客は迷子になってしまう。
何で円楽の古典落語が「ENGEIグランドスラム」のトリだったのだろうか。落語家には、もっとうまい人はいる。古典落語でなくても、雑談めいた小噺でも創作落語でも良かったのではないか。なぜ円楽であり、なぜ「猫の皿」だったのか。
【参考】キンコン西野の「面白い芸人は養成所時代からわかる」が面白い
一体どういう経緯で円楽が古典落語をやることが決定されたのだろうか。なぜこの企画が採用され、ゴーサインが出たのだろうか。不思議でならない。
最大の問題は、円楽が大トリで「ENGEIグランドスラム」に出ることで、多くの視聴者が、彼(円楽)が落語家の代表であり、第一人者だと勘違いしてしまう、ということだ。それであの体たらくでは、落語全体が評価を下げかねない。
円楽は落語家の中ではタレント性こそあれ、落語そのものが上手であるとは必ずしも言い難い部類に属する。
「ENGEIグランドスラム」の視聴者層は、落語などは見たことのない若い人ばかりだと思う。ただ、今回の「ENGEIグランドスラム」を見て、落語全体があの程度のものだと断ずるのは早計である。
もし、「落語っておもしろくない」と感じた人がいれば、それは誤解なのだ。今回の円楽が単におもしろくなかっただけであり、落語がおもしろくないわけではないのだ。
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