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電力クライシスに備えよ! 世界の潮流から読み解くデータセンターの今 第2回 北欧の自然で環境負荷をマイナス化した“クライメートポジティブ”なデータセンター

マイナビニュース / 2024年4月10日 7時0分

画像提供:マイナビニュース

北欧諸国はデータセンターを配置するのに最適な土地だ。特にスウェーデンは寒冷な気候に加え、政治的に安定しており、豊富な再生可能エネルギー源や安価な電気料金のおかげで、データセンター開発者にとって魅力的な国となっている。

そんな北欧のスウェーデンで、持続可能性と高度なセキュリティ機能を持つデータセンターを構築し、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)やコロケーションサービスなどの提供で注目されているのがEcoDataCenter(エコデータセンター)社だ。

現在EcoDataCenter社はスウェーデンに4つのデータセンターを持っており、2015年にはグローバル市場においてサステナビリティ分野を牽引する100のイノベーションをまとめた「トップサステナビリティイノベーター(Sustainia 100)」に選ばれている。
排熱利用で“クライメートポジティブ”を実現するEcoDataCenter1

EcoDataCenterはストックホルム、ファールン、ピーテオという3つの地域に4つのデータセンターを建設している。そのなかでも、ファールンにある「EcoDataCenter1」は、HPCとコロケーションサービスの両方を提供しながら、環境負荷をゼロにするどころかマイナス化し、気候変動にポジティブな作用をもたらしているデータセンターだ。同社はこれを「クライメートポジティブ・データセンター」と表現している。ファールンはスウェーデンの首都ストックホルムの北西約200kmにあり以前は銅の鉱山で栄えた町だが、EcoDataCenter1は建物の外観も、周辺の景観に合わせて平屋建てになっている。

当初から持続可能性を目指したEcoDataCenter1は、近くの風力発電所や水力発電所から電力供給を受けることで、施設内で消費される電力の100%が再生可能エネルギー(水力発電:75%、風力発電:25%)となっている。特にユニークな取り組みと言えるのが、EcoDataCenter1を複合バイオエネルギープラント「Falu Energy & Water」と接続し、データセンターから出た排熱をバイオ燃料施設とペレット工場に送っていることだ。

Falu Energy & Waterは、近くの林業事業者から出る木材チップとバイオマス残渣によって木質ペレット(固形燃料)の生産や発電を行い、地域の暖房や冷房も担っている。EcoDataCenter1のサーバーなどから発生した熱は、木質ペレットの原料を乾燥させる際に利用され、製造工程での化石燃料の使用量を減少させる。さらに、Falu Energy & Waterのバイオマス発電で作られた電力は、EcoDataCenter1でも利用されている。

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