続く民藝ブーム、“手仕事の美”に魅了される展覧会「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」は、物販もお宝の山だった
マイナビニュース / 2024年4月25日 8時0分
東京の世田谷美術館で、「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」が始まりました。コロナをきっかけに多くの人たちがライフスタイルを見直したり、消費や環境に対する意識のアップデートも経て、ちょっとした“民藝ブーム”といえる状況が続いている昨今。この展覧会では「衣・食・住」をテーマに、暮らしで用いられてきた美しい民藝品約150件を展示。民藝のひろがりと今、そしてこれからを展望するものとなっています。
そもそも民藝とは何か? 約100年前に思想家の柳宗悦が提唱したのが、日々の暮らしで使う手仕事の品に美を見出した「民衆的工藝」、“民藝”という新語でした。生活のなかにある美を慈しみ、素材やその作り手に思いを寄せる。そんな“用の美”のコンセプトは、いつの時代も人々を魅了してやみません。展示は、柳宗悦が1941年に設立した日本民藝館で開催したモデルルーム「生活展」の再現から始まります。
○■昭和16年の『生活展』でのテーブルコーディネートを再現
「パッと見ると、柳家の食卓や“民藝のある暮らし”の再現かなと思うかもしれませんが、これは『生活展』のテーブルコーディネート展示の再現です。テーブルの上の茶器セットには傷みがあり、柳家で実際に使用されていたもの。『昨日家で使っていた食器が、気づいたら民藝館で展示されているということが頻繁にあった』という息子さんのコメントが残っていますが、いかに柳宗悦が生活の中に民藝品を活かしていたかということ。当時の展示では、椅子に座って部屋を眺めることもでき、美術館の中というより誰かの家に招かれたように、わかりやすく提示していた。昭和16年にこれをやったというのは、画期的なことだったと思います」と、本展監修者で美術史家の森谷美保さん。
といっても本展は、単に柳宗悦の思想や生涯、民藝運動の歴史をひもとくだけではなく、「もっと肩の力を抜いて、私たちの暮らしにいかに身近に民藝があるかということを、視覚化して展示を作り上げた」といいます。柳宗悦の民藝理論やその歩みを紹介するのはもちろんのこと、柳の没後にそのコンセプトを引き継いだ人たちによって広がっていった民藝にも焦点を当て、今に続く民藝のあゆみをたどっています。
○■世界の民藝と、日本の工芸産地の手仕事
欧州、南米、中東、アフリカなどの世界各国から収集した、素朴であたたかくプリミティブな魅力を放つ品々、そして今に続く日本各地の工芸産地の品々と映像資料も登場。伝統的な手法を引き継いで手仕事を続ける産地、失われた手わざの復活を試みる職人、新たな民藝を創作する人々が紹介されます。
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