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経験で覆すのがベンチャーの強み - Synspective小畑氏が目指す小型衛星の将来

マイナビニュース / 2024年5月9日 7時3分

「“自分は知らないことがあることを知っている”というのが私のポリシーで、自分がどこまでを知っていて、どこからは知らないということを明確にしておきたいと常に思っています。知ったかぶりでモノを作ると必ず失敗する。特に衛星は、さまざまな技術要素が複雑に入り込んでいます。電気だったり、ソフトウェアだったり、熱だったり、機械だったり、放射線だったり。いろいろな技術の融合体なので、自分がどこまでわかっているかを明確にしたうえで、知らない分野は専門家を連れてきて、わかっている人だけでチームを組んで、設計するということを意識していました。わかっていないことで失敗するのは当たり前なんですよ。だから、自分のリミットを知っておくことが重要ですし、そこを助けてもらえるようにすることが大事なんです。」

一方、大企業のメリットは組織力と技術力とのこと。ベンチャーと比べると、その層の厚さは段違いであるという。

「何か不具合が起こった際も、大企業だと何かしらを経験したことがある人がいるので、意見を聞くこともできますが、ベンチャーだと自分で一から検討し直さなければならなかったりします。もちろんベンチャーのほうが、ひとつひとつの意思決定は本当に速い。大企業はいちいち稟議があったりするので、新しいことや不明瞭なことに挑戦するのは大変なのですが、すでに知見のあることはすごく速く動けますし、それを拡大再生産できる仕組みもあります。新入社員が入ってきたら、3年かけて育てる仕組みがあったりするのも、大企業ならではの強みでしょうね。」

人材の豊富さという点では大企業に及ばないが、逆にそれを経験で覆すことができるのがベンチャーの強みであるともいえる。

「私が三菱電機に入社した当時は、10年かけてようやく衛星がひとつ打ち上がるという世界でした。つまり、人生の中で3つの衛星の打ち上げに関わったらそれで終わりなんです。それに対して、ベンチャーであれば、より多くの衛星打ち上げに関わることができます。多くの衛星に関われば、それだけ経験値を積むことができますし、それだけ不具合にあう確率も高くなります。それに正しく対処していけば、さらに経験値も積み上がりますから、大企業だと10年以上かけないと経験できないことが、ベンチャーなら3年で経験できてしまうかもしれない。」

その一方で、経験を積むことと技術レベルが上がることはイコールではないと小畑氏は続ける。

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