ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。ヴィム・ヴェンダース監督『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』
NeoL / 2024年4月8日 8時0分
ヴィム・ヴェンダース監督作品『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開。
本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。
アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。
1991年、高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。
1993年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。
監督は、『PERFECT DAYS』(23)で第76回カンヌ国際映画祭 主演俳優賞(役所広司)を受賞し、第96回アカデミー賞🄬国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。『パリ、テキサス』(84)、『ベルリン・天使の詩』(87)、『ミリオンダラー・ホテル』(00)などの劇映画だけでなく、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(11)、『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(14)などドキュメンタリーも手掛け、世界各国から高い評価を受けてる。
解禁となった予告編では、広大なアトリエの床に寝そべる、上半身が裸のアンゼルム・キーファーの自由奔放な姿に始まり、その代名詞とも言える巨大な芸術品を作りだす秘密に迫る。「ナチス、戦争、神話、文学…… アンゼルムは傷ついた世界を創造する―」というナレーションに重なるように、その歴史的背景を感じずにはいられない立体的な作品が私たちの眼前に迫ってくる。ヴィム・ヴェンダース監督が2年の月日をかけて映像化した、アンゼルムの芸術作品の全貌が“圧倒的没入感”で立ち現れ、「まだ高みに到達していない。私は止まらないんだ」と、進化を止めようとしないアンゼルムの声が静かにそして高らかに響く予告編となっている。
併せて解禁となった新たな場面写真は、アンゼルムのインタビューカットや、ナチス式の敬礼をする自身の姿を撮影したシリーズ「占領」の1枚の他、アンゼルムの幼少期を演じるヴェンダースの孫甥アントン・ヴェンダースや青年期を演じる、アンゼルム息子のダニエル・キーファーのカットも追加された。また、巨大な作品の前に佇む、アンゼルムとヴェンダース監督のスチール写真も。
制作期間には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」とヴェンダース監督は語る。キャストには、アンゼルム・キーファー本人の他、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の孫甥、アントン・ヴェンダースが務めている。
2025年3月下旬から6月下旬まで、世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーの大規模個展が開催されることも決定している。
また、東京・青山にあるファーガス・マカフリー東京で、アンゼルム・キーファーの個展「Opus Magnum」が現在開催中。展示は6月29日まで。
『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』
6.21(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開
https://unpfilm.com/anselm/
監督:ヴィム・ヴェンダース
エグゼクティブプロデューサー:ジェレミー・トーマス 撮影:フランツ・ラスティグ ステレオグラファー:セバスチャンクレイマー 編集:マクシーン・ゲディケ 作曲:レオナルド・キュスナー
出演:アンゼルム・キーファー ダニエル・キーファー アントン・ヴェンダース
2023年/ドイツ/93分/1.50:1/ドイツ語・英語/原題:Anselm/カラー・B&W/5.1ch/3D&2D 字幕:吉川美奈子 配給:アンプラグ
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