大統領選共和党候補たちの不安だらけの外国ツアー
ニューズウィーク日本版 / 2015年6月26日 11時0分
米大統領選に名乗りを上げる政治家にとって、外国訪問は避けて通れない通過儀礼になっている。訪問先は主に、ロンドン、ベルリン、テルアビブなど、緊密な同盟国の首都や主要都市だ。東京を訪れる場合もある。
州知事や上院議員が世界のリーダーたちと会談し、国際的課題に精通していることを示す機会はめったにない。そうした場で立派に振る舞えれば、有権者に「次の大統領」としてイメージしてもらいやすくなる。
来年の大統領選への出馬を予定する共和党の政治家たちには、この通過儀礼が特に重要な意味を持つ。本選挙では、前国務長官である民主党のヒラリー・クリントンと争う可能性が高いからだ。しかしこれまでのところ、外国訪問でかえって不安材料を露呈する結果になっている。
大統領選を目指す政治家の外国訪問のお手本は、08年のオバマ候補(当時は上院議員)のベルリン訪問だ。オバマはベルリンの野外で20万人を超す市民を前に演説し、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領の外交に終止符を打つと宣言した。
来年の大統領選に挑むジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も今月ベルリンを訪れ、政財界のリーダー1000人を前に講演を行った。しかしこの講演では、父であるジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が冷戦終結と東西ドイツ統一で果たした貢献を強調し、不人気な兄ジョージ・W・ブッシュには触れずじまいだった。
馬脚を現した最有力候補
結局、ジェブ・ブッシュのベルリン訪問は、兄ブッシュ政権がいまだに記憶に新しいなか、有権者がブッシュ家の大統領を望むのかという疑問をあらためて際立たせただけだった。
それでも、外交を論じようとしただけ評価できるのかもしれない。共和党の有力候補の1人であるウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーは、先月イスラエルを訪問した際、メディアの質問を受け付けなかった。代わりにエルサレムで撮影した写真をツイッターに投稿したが、これではまるで観光客だ。有権者は、ウォーカーの中東政策について評価のしようがない。
ウォーカーは、過去の失敗に懲りたのかもしれない。2月には、自分はウィスコンシン州で労働組合に対処した経験があるので、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)にも適切に対応できると発言。共和党のレーガン元大統領による最も重要な外交上の決断は何だと思うかと問われたときは、81年にストライキを行った航空管制官たちを解雇したことだと答えた。
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