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ハリウッドの人種差別は本当だった

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月29日 16時54分

 アカデミー賞主演男優賞・女優賞、助演男優賞・女優賞にノミネートされた20人は、2年連続で白人ばかりだったことが波紋を巻き起こしている。「#OscarsSoWhite(オスカーはこんなに真っ白)」のハッシュタグが多くのフォロワーを引きつけ、黒人映画監督のスパイク・リーや黒人俳優のウィル・スミスはアカデミー賞授賞式をボイコットすると宣言した。これは本当に、彼らが言うとおりの白人優遇・人種差別の表れだろうか。

【参考記事】オバマ時代になってかえって難しくなった人種問題

 先週、南カリフォルニア大学(USC)アネンバーグ・コミュニケーション・ジャーナリズム学部が発表した調査報告書で、黒人をはじめとするマイノリティーの怒りが単なる言いがかりではないことが明らかになった。

出演者が白人ばかりの映画は儲からない

 同報告書は、ストリーミング配信されたものも含め、2014年以降に発表された映画やテレビ番組の人種的多様性を統計的に調べたもの。それによると、白人以外が監督した映画やテレビ番組は414作品のうち13%だけだった。女性監督となると、主な映画109作品のうちわずかに3.4%しかいない。そのうち黒人女性監督はたった2人。『グローリー 明日への行進』のエバ・デュバーネイ監督と『ベル―ある伯爵令嬢の恋―』のアマ・アサンテ監督だけだ。

 カメラの前に立つマイノリティーも決して多くない。人種や民族的マイノリティーでセリフがある出演者は調査対象の全作品中28.3%だけだった。こうした結果から、ハリウッドは未だにストレートの白人男性専用の会員制クラブだ、とこの報告書は結論付ける。

【参考記事】ネバーランドを探して

 もう1つの意外な問題点は、マイノリティーや女性を排除することで、映画業界の業績に悪影響が出るかもしれないということだ。2013年に公開された映画163作品を調べたカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アフリカ系アメリカ人研究センターの昨年の研究によれば、マイノリティーの俳優がキャストの21~30%を占めている作品は、平均1億4330万ドルの興行収入を上げたが、マイノリティーがキャストの10%未満の作品は5320万ドルしか稼げていなかったという。

 ハリウッドにおける白人優位は根深い問題だが、USCの調査から言えるのは、スクリーン上の多様性を改善する1つの手段は映画を製作するスタジオがもっと女性やマイノリティーの社員を増やすことだ。複数の研究によれば、女性監督が撮った映画は男性監督が撮った映画より女優キャストが5.4%多い。同様に、マイノリティー監督が作った映画ではキャストに占めるマイノリティーの割合は43.7%となり、白人が撮った映画の26.2%を大きく上回る。

 さて、ハリウッドはこの現状をうまくリメイクできるだろうか。

ポーラ・メヒア

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