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大荒れの民主党大会で会場を鎮めたミシェルのスピーチ

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月27日 15時30分

 もう一つは、「トランプが勝ったら、彼が最高裁判事を任命することになる。その場合には、長年かけてリベラルが勝ち取ってきた、中絶の権利、同性婚の権利、人種や宗教による差別の禁止、などが奪われてしまう。ヒラリー当選を応援するしかない」と、危機感を覚えるグループだ。

 サラ・シルバーマンは、会場でブーイングをしているサンダース支持者に向かって「ちょっと言わせてもらえる? Bernie or Bustの人たち、あんたたち、馬鹿げているわよ」と、話しかけていたが、私が取材したサンダース支持者の一人も「彼らの行動は、バーニーがせっかく始めた改革を妨害する逆効果しかない」と苛立ちを露わにしている。

 だが前回2008年の選挙でヒラリーを応援した民主党員の1人は、「落胆しているサンダース支持者の気持ちはわかる」と言う。「選挙では、感情の投資が大きい。すべてをつぎ込んだ後ですっかり失うのは辛いものだ。特に、これが初めての人は、傷も深い。立ち直るのには時間がかかるだろうね」と。



 興味深いのは、民主党大会がサンダース支持者の強い要望に応えて採用した「roll-call vote(州ごとに票数を読み上げる投票方法)」の予想外の効果だ。それぞれの州が、お国自慢をした後に、2人の候補者を褒める言葉を添え、票数を読み上げていく。時間がかかるが、これを繰り返すうちに、ブーイングより拍手と笑顔が会場に広まっていった。

 そして、バーモント州の発表の後に、サンダースがマイクを持って立ち上がり、公式にヒラリーを候補に指名することを発表した。これにより、大会は大歓声の中で採決に移行し、会場が「AYE」と合唱でヒラリー指名を承認し、揉めることなく採決の儀式は終わった。

 一部のサンダース支持者は抗議のために会場を立ち去ったが、会場にはお祭りムードが広まり、ブーイングは消えていった。参加者は、それぞれが自分の意見を表明することの重要さを示したのであり、民主党の「癒やし」と「団結」の可能性をわずかながらも感じさせた。

<ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート>

≪筆者・渡辺由佳里氏の連載コラム「ベストセラーからアメリカを読む」≫

渡辺由佳里(エッセイスト)


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