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EUの新著作権法がもたらす「閉じたインターネット」

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月23日 16時0分

 このほかにも、以下のような条項が「インターネット時代に即した著作権」という観点からみて問題がある。

・著作物のテキスト&データマイニング利用は研究目的に限ってのみ著作権の例外が適用されるため、企業は商業目的でデータマイニングをする(ために著作物をコピーする)ことができない。
・EU内でずっと問題視されてきたジオブロッキング(ユーザーとサービス提供者の間の地理的要因によってオンラインサービスへのアクセスが拒否されてしまうこと)問題への解決策は示されなかった。
・ユーザーが公共の建物を自由に撮影してアップすることのできる「パノラマの自由」は、明確に条文に入っていなかった(つまりユーザーがエッフェル塔などを撮影してオンラインにアップすることが著作権侵害に当たる可能性がある)。


 さまざまな点からみて、「デジタルな利用のされ方を促す著作権」どころか、出版社や音楽業界などにのみ権利強化が偏重してしまった今回のEU改正著作権法草案。

 この草案による懸念は日本にとっても他人事ではない。著作権の保護期間は最初にEUで70年になり、それがアメリカにも適用され、いまTPPによって日本にもその影響が及ぼうとしているように、現在の国際的な自由貿易協定の潮流のなかでは、日本の法律がEU法に影響を受けずにいることは不可能だ。

 ましてや、著作権という分野はインターネットの登場によっていままさにボーダーレスで問題を考えていかなければならない領域だ。この草案を機に、「著作権のおよぶ範囲」「ユーザーの権利の範囲」がどのようなバランスでデザインされるべきか、日本でも根本的に考えていく必要がある。

Rio Nishiyama


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