CIAを敵に回せばトランプも危ない
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月23日 19時42分
だがCIAの上層部は「楽観的な様子だった」と言うのは、つい先日CIA本部を訪問した元情報分析官だ。彼いわく、ポンペオはむしろ「クズみたいな仕事しかせず、本部の中枢に入り浸って自分の利益のためにしか動かない連中を排除したがっている」という印象を与えていたという。
ポンペオは陸軍士官学校の名門ウェストポイントとハーバード大法科大学院を卒業した。上院指名承認公聴会はそつのない答弁で無難に切り抜け、反対派を黙らせた。テロ容疑者に対して「水責め」などの拷問を復活させると言ったトランプの主張とは対照的に、ポンペオは「(拷問は)絶対にない」と証言。ロシアが米大統領選に介入したと結論付けた情報機関の報告書についても「疑念はない」と述べて、全面的に支持する姿勢を見せた。ロシア政府の疑惑について、トランプ周辺も含め「どこまでも実態を追求していく」と約束した。だがシャピロはこう指摘する。「無理とは言わないが、ポンペオのボスが誰になるかによる。今のところフリンになりそうだ」
【参考記事】水責めだけじゃないCIAの拷問法
これまでも大きく報道されてきた通り、フリンはロシア政府との関係を懸念されている。ロシアに行けば常に要人待遇で、ロシア政府がプロパガンダに利用する英語ニュース専門局RT(旧ロシア・トゥデー)にもたびたび出演してきた。大統領就任式のわずか1週間前には、新たな疑惑も浮上した。オバマが12月末にスパイと疑われるロシア人35人の国外退去を命じたことを巡ってセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と複数回電話していたというものだ。ショーン・スペンサー大統領報道官は電話について、「トランプが就任後にプーチンと電話会談するための話し合いだ」と説明した。
CIAを毛嫌いするフリン
フリンは「CIAを毛嫌いしている」と、彼を知るベテランの共和党議員は言った。新政権との関係をぎくしゃくさせないため、匿名を条件に本誌の取材に応じた。その議員によると、フリンはCIAがベンガジの事件へのイランの関与を隠ぺいし(事実無根だ)、国際テロ組織アルカイダの指導者としてウサマ・ビンラディンが果たした役割を最小限に見せかけたという疑念を抱いてきたという。「フリン以外、トランプの政権人事はすべて受け入れられる。みんな大富豪だから、少なくとも盗みはしない。だが冗談を抜きにして、フリンだけは恐ろしい」
【参考記事】ロシア大使射殺はCIAの仕業か?
この記事に関連するニュース
-
「もしトラ」で関係構築急ぐ、対日の先行きにも懸念 台湾・頼清徳政権の行方(下)
産経ニュース / 2024年5月22日 20時54分
-
米、台湾との「非公式関係」深め中国を抑止 トランプ前政権閣僚は「戦略的曖昧さ」を批判
産経ニュース / 2024年5月20日 22時22分
-
中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──欧米で相次ぐ逮捕劇の背景にあるもの
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月20日 21時25分
-
【佐藤優コラム】ナワリヌイ氏の死亡情報めぐり内調が証明 日本政府の高い諜報能力
東スポWEB / 2024年5月2日 16時12分
-
焦点:「トランプ2.0」に備えよ、同盟各国が陰に陽に働きかけ
ロイター / 2024年4月25日 15時33分
ランキング
-
1アイルランドなど欧州3国、パレスチナを国家承認 ハマスは歓迎
AFPBB News / 2024年5月22日 19時30分
-
2パレスチナを国家承認へ 欧州3国、イスラエル反発
共同通信 / 2024年5月22日 22時19分
-
3ロシア国防省、バルト海の領海線見直し案削除 周辺国の懸念表明後
ロイター / 2024年5月23日 0時6分
-
4ウクライナ軍、ロシアのミサイル艦「ツィクロン」撃破…全てのミサイル艦破壊と主張
読売新聞 / 2024年5月22日 22時32分
-
5イラン大統領ヘリ墜落、同行の首席補佐官「濃霧となったのは事故の2〜3時間後」
読売新聞 / 2024年5月22日 20時43分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください