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トランプ「護衛官」、バー司法長官のロシア疑惑

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月26日 13時5分

まず、バーはロシアと深いつながりのある会社ベクター・グループから配当金を受け取っていた。同社のハワード・ローバー社長は90年代にロシアを訪れた際、トランプを同伴させている(この訪問がモスクワのトランプ・タワー建設計画の発端になったとされる)。

シュガーマンによれば、ドナルド・トランプJr.はトランプ・タワーで(大統領選中の16年6月に)行われたトランプ陣営とロシア人弁護士との会談を準備するに当たり、ローバーに電話をしていたとされる。

「ローバーとロシアの縁は深い。モスクワにトランプ・タワーを建てる計画を支援していたともされる。もともとバーの判断力には問題があるが、これほどトランプに近く、ロシア疑惑とも近い会社と金銭的な関係を持っていたのはまずい」



次はモスクワのアルファ銀行との関係だ。17年3月から司法長官に就任するまでの間、バーが弁護士として所属していた法律事務所カークランド&エリスはアルファ銀行の代理人だった。また同事務所の共同経営者で、やはりアルファ銀行とつながっているブライアン・ベンチョースキーは17年6月、トランプから司法省犯罪対策部門のトップに指名されている(昨年7月にようやく承認された)。

ベンチョースキーは同法律事務所でアルファ銀行の代理人を務め、同銀行とトランプのファミリー企業トランプ・オーガニゼーションがオンライン上で怪しげなやりとりをしていたとの疑惑にも対応していた。

また同銀行の株主にはロシアの富豪ゲルマン・ハンがいる。そしてこの男の娘婿で弁護士のアレックス・バンデルズワンは、ロシア疑惑の捜査で虚偽の供述をしたとして訴追されている。

「弁護士の職業規範に照らすと、バーが同銀行の法律顧問だったかどうかはとても重要だ」と前出のフリシュは言う。「もしも法律顧問の立場であれば、直接的な関わりはないとしても、利益相反の疑いが生じ得る」

次は米オクジフ・キャピタル・マネジメントという名のヘッジファンド。バーは16年から18年まで役員会に名を連ねていた。そしてこの会社も怪しい。

共謀疑惑の発生地点

このファンドは米大富豪ジフ兄弟の出資金を元手に、資金運用のプロであるアメリカ人のダン・オクが立ち上げたもの。07年の上場後もジフ兄弟は同社の株式を保有しているが、彼らはロシア政府から目を付けられてもいる。ロシア政府と対立する米資産家ビル・ブラウダーと仕事上のつながりがあるからだ。

16年6月のトランプ陣営幹部とロシア人弁護士の秘密会談で、ジフ兄弟の名前が出たことも分かっている。問題の弁護士ナタリア・ベセルニツカヤが、ヒラリー・クリントンによる「違法行為」の証拠をちらつかせたときのことだという。

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