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「膠着状態」に入ったウクライナ戦争の不都合な真実...西側の支援はそろそろ限界か?

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月11日 12時30分

さらに、プーチンはウクライナとの交渉の可能性について、「ウクライナは、全ての資源(人的資源、兵器、弾薬等)が尽きてから停戦し、交渉を開始することで、交渉を続けている間に資源の回復を図るという戦術の可能性もある」との趣旨の発言をした。

また、その3日後の9月15日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、ウクライナ情勢について演説し、現在「交渉」についていろいろ言われているものは西側の陰謀だと断じた。そして、ウクライナ侵攻から間もない2022年3月に行われた和平交渉で、ウクライナのNATO加盟とは別の形での安全保障について事実上合意に至ったが、西側勢力から署名しないよう圧力がかかり、失敗したと批判している。

「両雄」は並び立たない

過去の交渉の失敗の経緯から、プーチンもラブロフも、たとえ交渉してもそれは相手側の時間稼ぎにすぎないと考えている。残念ながら、ロシアは現在、前向きに交渉に応じることはないと言わざるを得ない。

ロシアは、最初の和平交渉が西側の圧力によって失敗した後、反転攻勢を受けて大きく前線を後退させたため、予備役の部分動員を行わざるを得なくなった経緯がある。さらに、長引く戦闘に対処するため、軍事部門に投資を行い、総動員体制に準ずる国内体制まで整備した。さらにイランや北朝鮮との軍事協力にも動いている。ロシアはもう覚悟を決めているのである。ウクライナの武器弾薬要求は、NATOの供給能力を上回っていると認めているNATOとは対照的だ。つまり、部分動員令を発した昨年秋の時点で、ロシアは大きな転換点を迎えていたのだ。果たしてその事実を西側諸国は認識できているのだろうか。

9月の国連総会で国際社会に対ロシアでの団結を訴えたゼレンスキー BRENDAN MCDERMIDーREUTERS

現在進行形のウクライナの反転攻勢の成否については、人によって評価が大きく異なっており、確かなことは不明だが、ウクライナ側が思ったような結果を出せていないことは確かである。また、「資源」の観点からもロシア側が優勢であることも、基本的な共通認識となっているだろう。もちろん、ウクライナに対して欧米が、人的資源を含め、これまで以上の大規模支援を投入できるというなら話は変わってくるが、来年の米大統領選次第では、支援は今後縮小局面に入る可能性もある。

では、ロシア側は今後停戦の機運が高まったときにどのような条件で何を目標として行動するだろうか。まず指摘すべきは、ゼレンスキーとプーチンは互いに並び立たないということ。ゼレンスキーはプーチンとの交渉自体を拒否しており、プーチンはゼレンスキーとの最初の和平交渉の失敗以来、交渉は時間稼ぎとして信を置いていない。つまり、プーチンがいなくなるか、ゼレンスキーがいなくなるかだ。

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