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【アダルトVRフェスタ】主催者「リアルはコスパ悪い」 超満員で入場不可の"アダルトVRフェスタ01"という試みとその先

ニコニコニュース / 2016年6月12日 20時0分

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2016年6月12日、アダルトVRを集めた日本で初めてのイベント、"アダルトVRフェスタ01"が東京・秋葉原のイベントスペースにて催された。だが、主催側の想定をはるかに超える来場者が集まり、屋外で待機していた参加予定者たちは開始時間直前に入場中止となる騒ぎとなった。大きな告知もなかったのにこれほどまでに人を集めたアダルトは、やはりVR普及の鍵となる。一般入場前にイベントを取材したリポートと、所感をお届けしよう。

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http://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/adult-vr01

文/小山オンデマンド

■みんな好き。違いは言うか言わないかだけ

 会場となったのは秋葉原中央通り沿い、規模の大きなPC販売店の直上にあるワンフロア。ゲスト&プレス体験会の時点で、ビルの4階から1階まで入場者が列をなしていた。予定時刻と同時に待機列が順に入場し、ものの5分で会場は身動きの取りづらい熱気あふれる空間となった。

 会場内の展示は、企業によるものと、一般クリエイターによる2方向に大きく分けられた。前者は、全球カメラで撮影して3D化した実写AVをOculus Riftで再生。それらに、乳首、局部などプレイヤーの敏感な部分を刺激するフィードバック用デバイス群が添えられていた。さらにそこで流されていたAVの出演者も来場しており、AVメーカーや販売店側からのアプローチのものと知れる。

 一方のクリエーター展示は、よりゲーム的なアプローチ。いずれもヘッドマウントディスプレイを装着したまま体験することになる。スカートをたくし上げているポリゴンキャラクターの股間に腹筋ローラーを使いながら近づいていくもの、空気で膨らませたドールにスマートフォンを固定し、のしかかったりなどすることで、画面内でキャラクターと行為に及んでいるように感じられるもの、さらにはARによる画像合成を利用し、画面内で見えているフィギュアに露出させたり、道具を用いていたずらしたりなど、非常にゲーム的な感覚が取り入れらたものが多数だった。

 ひとえにアダルトVRと言っても実際には幅があり、志向しているものは異なっている。だがすべてが「つぎに来るのはVRだ」という認識ひとつで連帯しているのだ。

 以下に各展示の概要と記者たちの感想を並べていこう。

■VR腹筋ローラー&大人のBabulus[IT芸社漢組]

 展示室の机の上には、スカートを持ち上げた女の子が見上げるように映るモニター、床には通販番組で有名になった腹筋を鍛えるローラーが置いてあった。これにヘッドマウントディスプレイという組み合わせを見れば、その意図が即座にわかる。「スポーツジムでAVが観られたら、サボらず通えるのに」とか、「厳しい部活の練習を、エロい妄想でなんとか乗り切った」といった中学生的な発想の賜物だ。いい意味で(笑)。

 ローラーを持って前に進むと、スカートを持ち上げた女の子の股間が迫ってくる! だが、自然に前後しているとどうしても下を向いてしまう。しかたなく腹筋どころか背筋もどこも攣りそうな体勢を維持して見上げると、これがかなりの臨場感&トレーニングに! バカバカしいながらも、これで「頑張って!」だとか「見たくないなら帰るからね」など音声で煽られたら、イヤでも腹筋が割れそうな気がした。

 併せて展示されていた、手を模した上下運動を全自動で行うマシンとVR映像が連動したソフトは、一転して、仰向けで上半身だけを起こして、ハンズフリーで気持ちよくなれるというもの。衆目を集めていた場では何も取り出さずにマシンを空回りさせたが、膝まくらで甘えられたり、拘束されているシチュエーションを再現したりなど、さまざまな展開が考えられ、じつはいちばん実用化に向いているのかもと感じた。

■Irisちゃんとおうちで初H[VR18 IMAGINATORS]

 ゲーマーであれば、VRと聞いてまず思い浮かべるのはエロゲーへの転用。その可能性を充分に感じさせてくれたのがこれだ。Irisちゃんは国内外を問わずVRコンテンツを配信するプラットフォーム、ImagineVRのキャラクター。彼女とふたりきりの部屋でいちゃつくというコンテンツなのだ。

 プレイヤーはヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを装着し、ベッドに座っているような体勢を取る。彼女へと手を伸ばすと、センサーカメラによって画面内でも自分の手がシルエットとなって伸び、両手を使って胸や顔などにタッチすると、触れた部位によって、恥ずかしがったりなど、彼女が違った反応を返すのだ。

 さらにはみずからの手で押し倒すこともできるなど、従来のエロゲー以上に、クリアした後でも、また何度も楽しみたくなって、中古に出したりや転売したりせずにコレクション化するプレイヤーが多くなるんじゃないだろうか。その結果として、全体の売り上げが向上すると思う。秀作がたくさん出ればという条件はあるけれども。

 さらに実際は音声認識が可能で、音声合成技術によって返事をしてくるとのことだが、取材の場では通信回線の帯域不足でこれは試せなかった。制作したVR IMAGINATORの金春根代表によれば、「合成音声の代わりに人気声優などでボイスを収録すれば、さらにリアルさは増します。そのためには5000語程度は収録しなければなりませんが」とのこと。リアルな声でのやりとりが加われば、格段に高揚感が高まり、フィードバックの物足りなさを相殺してくれるのかもしれない。

■なないちゃんとあそぼ![VRJCC]

 その隣のブースから体験者の「うおお!」というどよめきが聞こえてきた。"なないちゃんとあそぼ!"のブースだ。エアーで膨らませたドール(着衣済み)にスマートフォンを取り付け、プレイヤーはヘッドマウントディスプレイを装着し、ドールと相対する。プレイヤーの画面内では、ドールがポリゴンキャラクターに変換されており、いくつかのシチュエーションで触れ合うことが可能だった。

 たとえばドールを下向きにすれば、映像ではなないちゃんがうつ伏せに。自分が下になって向きあって抱きかかえれば、自分に跨って気持ちよさそうにしているなないちゃんの姿が味わえるというもの。キーとなるのはスマートフォンの加速度センサーなので、ドールは精巧なものでも簡素なものでも構わないという。コンテンツ自体の出来も、首や手の仕草が細かく、途中で醒めることも少なそうだ。

 体験したVRコンテンツ全体を通じて言えることだが、左右だけでなく上下を見渡せる視点がVRの斬新なポイントなので、対象の女の子を見上げたり、見下ろすシチュエーションは興奮度が高く、よりリアリティを感じられるものとなった。

 肝心な内容はと言うと、全裸で立っているキャラクターを眺め回すシーンと、ベッド上でもつれ合うシーンだ。立っているキャラクターを眺めているプレイヤーは、ほかの展示同様に表示されたVR空間を楽しんでいるだけだったが、シーンがベッド上に移行し、ドールを手にしたところで趣が変わった。傍から眺めているとなんとも滑稽な(そして身につまされる)動きをプレイヤーはくり返しているわけだが、他愛のないビニル製のドールがプレイヤーの没入感を数段引き上げているのだ。

■VR+1D体験![アダルトフェスタTV×ラムタラ×PICO]

 もっとも大きなブースであるにも関わらず、大行列を作っていたのが実写のAVとデバイスを連動させて、"本物以上"のバーチャルセックスを体験できると謳う"VR+1D"のブースだ。Oculus Liftやヘッドフォンとともに装着するデバイスは、具体的には、電動のホールや乳首に付ける電動グッズ。あらためてこれらの機器を前にすると、VRという言葉が出始めたころから誰もが想像していたものが、ついに実用化されたという想いで感慨深い。さすがにその場で装着はできなかったが、映像の状況に応じてグッズが連動するらしい。アテンドによれば、連動できるグッズはまだまだ増えていくとのこと。

 映像自体は、上下左右180度見渡せるもの何種類かをダイジェストでつなぎ合わせたものだった。完全にオトコ目線で、デートものの映像は当然として、複数プレイものや女性から迫ってくるものが臨場感があって向いている印象。中でもキスを迫ってきた映像には、思わずのけぞってしまったほどだ。また仰向けに寝転び、女性になされるがまま、胸、背中からお尻にかけての曲線など、触れられているところとは別の場所を眺められることが、これほどまでに臨場感を持たせるとは思いもしなかった。

 どちらかというと受け身の人は、このVRとデバイスがあれば、かなりの満足度を得られるだろう。リアリティがありすぎて問題になりそうな気すらするレベルだ。ただ、リアリティで高揚させられた気分も、軟らかいところに触れているはずの手先にフィードバックがあるわけではないので、いつしか物足りなさとなっていく。どこか1ヵ所がリアルさを帯びてくると、リアルさの足りないところ──匂い、温度、湿度、空気の動きなど触感の先に横たわる課題が気になり、人の貪欲さには限りがないことを感じた。

■D=60[ゲスの極みエンジニア]

 ブーンという掃除機のような轟音の先を見ると、目線を模したのサングラスをした愛らしい女性が、怪しい段ボール箱に向かって手を差し出しながらモミモミし続けているという謎のブースがあった。説明書きには、夢の箱"D=60"というキーワードが書いてある。

 若い時分にする噂として「自動車から手を出して空気を掴むと、おっぱいの感覚が味わえるぜ!」というのを聞いたことはないだろうか? 綾瀬はるか主演で映画にもなった『おっぱいバレー』の中でも青春のエピソードのひとつとして取り上げられており、速度によって時速40キロならC、80キロならEという風にカップ数が上がるという。オトナになって実際に試したという人はわりといると思われるが、この風をいつでも自由に揉めるように、エンジニアたちがマシンとして作り上げてしまったというのが、この『D-60』なのだ。名前はそのまま、"時速60キロならDカップのおっぱいと同じ感触"という意味だ。

 「バカだなぁ」と思いながら手を箱の穴に入れると、センサーでスイッチが起動し、強風が手に当たる。これだけだと単純なシステムのようだが、手の大きさや位置などを認識して風が調整されている模様。確かに柔らかい何かを感じることができたが、指の付け根までの手のひらで収まる感じ。カップの大小なども変えられるとのことだったが、「Dカップって手のひらからあふれるんじゃないの?」と。だが、実際にやってみることが大切で、「夢を叶えてくれてありがとう」という想いでいっぱいになった。

 ほかにも、フィギュアをおっぱいの模型や、アダルトグッズとAR合成することでほくそ笑める"クロマキーAR"や、日本未発売のヘッドマウントディスプレイ"Pico"の展示(脱がない女性が5人、ダンスを踊る映像が観られた)、それから訳あって語れないシークレット出展など、ひとつひとつを体験するだけで90分が経過した。

■どこの地平へとたどり着くのか

 取材を終えて表通りに出ると、歩行者天国の路上に広がる、ゆうに600人は超えようかという入場待ちの列。これはアダルトVRに対する期待が証明された形だろう。粗削りなものや、セクシーというよりは笑いに繋がるものなども多かったが、ひときわ強くVRの到来を感じさせるイベントだったことは間違いない。

 インタビューから見えたのは、主催、展示企業、展示クリエイター、それぞれの思惑が少しずつズレていたことだ。企業は従来のAVの延長線として、ビジネスがそこにあると判断し、DVDがBlu-Rayに遷移していったように、高解像度な映像を3D化させていっている。一方でクリエイターたちは、「これが実現できたらおもしろくない?」と、アイデアをVR化することで、いままで楽しんでいたものを、映像の技術こそいまの時点では他愛ないが、さらに楽しくさせていこうとしていた。そして、アダルトVRのすばらしさを世に広めたい、リアルはコスパが悪い、性を社会から分離することによって性にまつわる不幸なできごとをなくしたい、と語って煙に巻く主催者。

 アダルト業界ならずともつぎにVRが来るのは明らかで、そこに向けて出口を求めていたアダルト周辺のそれぞれの思惑が臨界点を超え、出資者も現れてこのイベントととしての形を成したのだろう。残念ながらこの日の展示は少人数(一般参加はおそらく50~60人)かつ、あっという間に(開始1時間半程度)で終わってしまったが、8月に予定しているという大きな箱での催しに向けて、今日満たされなかったアダルトVRへの熱量はさらに増し、開放されることとなる。

 他愛ないポリゴンキャラクターによるアダルトVRは、ゲームVRの文脈からやってくる技術や蓄積されたノウハウと融合することで、いずれ爆発的に進化する。そのとき、コストパフォーマンスの視点で遺伝子の意思に逆らい始めた人類は、どこの地平へとたどり着くのか、編集部でも見届けていきたいと思う。

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