潜入スパイもの“三国志” スリリングな諜報戦を描いた中国時代劇ドラマ『風起隴西－SPY of Three Kingdoms－』の魅力

『風起隴西（ふうきろうせい）－SPY of Three Kingdoms -』（C）2022 New Classics Television Entertainment Investment Co.Ltd

　『鳳凰の飛翔』のチェン・クン、『鎮魂』のバイ・ユー共演の中国時代劇『風起隴西（ふうきろうせい）－SPY of Three Kingdoms－』が、5月14日よりBS11で無料放送される。原作は『風起洛陽～神都に翔ける蒼き炎～』などで知られる鬼才作家・馬伯庸。本作品の見どころを紹介する。

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■二重スパイ？ 両国から追い詰められる主人公・陳恭

　舞台は曹魏（そうぎ）・蜀漢（しょっかん）・孫呉（そんご）が三つ巴となって覇権争いを繰り広げていた三国時代の末期。蜀漢の軍師である諸葛亮（しょかつりょう）は曹魏を討つため北伐を開始するが、「街亭の戦い」で曹魏に敗れてしまう。この敗戦の責任をとって処刑されたのが、諸葛亮が自ら抜擢した配下の馬謖（ばしょく）。三国志で有名な故事「泣いて馬謖を斬る」のきっかけとなるエピソードから物語は幕を開ける。

　しかし、この作品の魅力は“三国志をまったく知らない人でも楽しめる”内容となっていること。史実が背景に描かれているものの、ストーリーの中心は蜀漢と曹魏のスパイの攻防を描いた歴史フィクション。多くの三国志作品と同様、蜀漢の視点から描かれる。

　蜀漢の諜報機関「司聞曹」が、敵国の曹魏に潜入させた間諜（スパイ）・白帝（はくてい）から得た情報が間違っていたことが原因で「街亭の戦い」に敗れてしまったという架空の設定から物語が動き出す。「送り込んだ白帝が祖国を裏切り、敵に寝返って偽の情報をつかませたに違いない（つまり二重スパイ）」と睨んだ諜報機関のトップ・馮膺（ふうよう）は、密偵の家系に生まれた荀ク（じゅんく）に白帝を暗殺する極秘任務を命じる。ところが、白帝の正体は荀クの義兄弟であり、従妹・テキ悦（てきえつ）の夫である陳恭（ちんきょう）なのだ。白帝を始末しないと自分の命も危うい。しかし、陳恭が裏切るとは思っていない荀クは葛藤する。

　やがて陳恭と再会した荀クは、陳恭が送った情報が何者かの手によってすり替えられていたことを知る。「燭龍」と呼ばれる敵国のスパイが司聞曹に潜伏していることを知った2人は、燭龍を炙り出すべく動き出すが、燭龍の正体は意外にもあっさりと判明。しかし、燭龍には驚くべき秘密が隠されていた…。

　諜報機関を舞台に、名もなき英雄（スパイ）たちの諜報戦をスリリングに描いた、良質な歴史サスペンス作品となっている。

■チェン・クン、バイ・ユー共演　原作は鬼才・馬伯庸

　スパイとして曹魏に潜入する主人公の陳恭を演じるのは、中国では永遠の男神とうたわれるチェン・クン。多面的な顔を使い分けて敵国の情報を収集するベテランスパイ役をクールに演じる。実は陳恭の妻・テキ悦も同じくスパイで、曹魏の関連組織・五仙道に潜入する身。陳恭とテキ悦の切ない夫婦愛も見どころのひとつだ。妻への情熱的な愛を抱き続ける一途な男の姿を、チェン・クンは確かな演技力で魅力的に演じる。

　陳恭の義兄弟で固い友情で結ばれている荀クを演じるのは、『鎮魂』『紳士探偵Ｌ 魔都・上海の事件録』などで知られるバイ・ユー。騙し・騙される世界の中で、唯一陳恭を信じ続ける一本気なキャラクターを好演する。その他、蜀漢の諜報機関のトップの老練な策士に『瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜』など話題作への出演が続くニエ・ユエン、荀クが助ける美しく謎めいた妓楼の楽師に『孤高の花 〜General&I〜』『雲中歌〜愛を奏でる〜』などで知られるアジアのスター俳優アンジェラベイビーなど、豪華な顔ぶれが集結した。

　原作は『風起洛陽（ふうきらくよう）～神都に翔ける蒼き炎～』など、これまでにいくつもの作品が映像化されヒットしている人気作家・馬伯庸のデビュー作。「史実を曲解せず、破壊しない」を前提として、あえて歴史に登場しない名もなき人物の視点から、従来の三国志にはないスパイ要素を入れ込み、新感覚の良質歴史サスペンスに仕立てた。演出は『ブレイド・マスター』『修羅:黒衣の反逆』など、中国アクション映画に新風を吹き込んだ映画監督ルー・ヤンが担当した。

　中国時代劇だけど潜入スパイもの、そして義兄弟の固い絆を描いた本作。物語ラストでは2人の深い絆に熱いモノが込み上げる…！『風起隴西（ふうきろうせい）－SPY of Three Kingdoms－』は、BS11で5月14日より毎週月～金曜後1:00～放送。BS11はBSの視聴環境があれば、全国で無料視聴可能だ。