「結婚式」挙げる? 挙げない? 厳格な父親に従って「両家食事会」をした夫婦が今、思うこと
オトナンサー / 2024年5月11日 8時10分
結婚式を挙げるか、挙げないか、挙げるとしたらどんな結婚式にするのか――。結婚式はワクワク感が伴うものと思いきや、双方の考え方が違うとケンカの原因にもなる、センシティブな案件です。
親族は何人まで呼ぶか、友達はどんな関係性の人を呼ぶか。どこで挙げるか。宗教はどうするか……それらに頭を悩ませ過ぎて、マリッジブルーに突入する人を何人も見てきました。中には破談になったり、関係が悪化したりするケースもあります。
「結婚式は二人だけのための儀式ではない」という声もありますが、二人の気持ちが乗らない結婚式を挙げると、後々しこりが残ります。いっそ挙げない方がいい、というカップルももちろんいます。
■結婚式をすると「自己肯定感」が上がる?
リクルートブライダル総研が行った「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、2022年4月から2023年3月に「挙式、披露宴・パーティー」を実施、もしくは実施予定だった会員の費用総額は平均327.1万円で、前年の同調査から23.3万円アップしていたそうです。そして、結婚式は「自己肯定感が高まる場」であり、「自分たちが楽しむ」という気持ちを大切にする兆しが見えているといいます。
「披露宴やウエディングパーティーの満足度」と「結婚式を通して得たこと」という質問に対しては、「満足」の計が97.8%で、前年から1.5ポイント増加。さらに、「結婚式を通して、自分自身やこれまでの人生が好きになったと思う」と答えた人は78.1%で、年々増加しています。これは、自分たちの意思で結婚式を挙げるカップルが増えていることと、二人が思い描く結婚式が実現できるほどウエディング市場が成熟している、という背景があるのではないでしょうか。
「結婚式に、夫の昔の悪い友達が来て、最悪な思いをした」「あんなに準備したのに、上司のスピーチが不愉快で台なしになってしまった」という話はいくらでもありますが、ここで「挙げなければよかった」の事例を紹介しても何の意味もありません。物事に完璧などなし。結婚式に対する人の感覚はさまざまです。
■挙式だけのはずだったのに、強引に食事会を開催。結果は…
希実枝さん(38歳、仮名)と雄輔さん(34歳、同)は結婚当時、20代。職場で知り合い、1年足らずで結婚を決めました。2人ともまだ若く、貯金もなし。神社で挙式だけ行うことに決めました。貸し衣装で、着付けの費用も含めても当時18万円ほどだったといいます。
そこへ、昔かたぎで厳格な希実枝さんの父親が、「挙式だけで終わらせるなんて恥ずかしい。自分が費用を出すから挙式後、親族で食事会をしよう」と言い出しました。それならばと甘えることにしたのですが、式の日が近づくにつれ、父親から「引き出物はどうなっているんだ!?」「招待状は?」「宿泊場所は?」と言われ、二人への負担がどんどん増えていく結果に。既にもろもろ走り出していたし、食事会の店は既に父親がおさえていたので、やめることもできません。
二人は、当日に宿泊する人たちのホテル代や引き出物の費用など、想定外の出費を負担することになり、結局、父に借用書を書いてお金を借りることに。希実枝さんは、雄輔さんに申し訳ないという思いと、当日、気難しい父親がまた何か言ってこないかと、当日を憂鬱(ゆううつ)な気持ちで迎えることになりました。
しかし、ふたを開けてみると、食事会は久々に集まった祖父母や親戚、雄輔さんの祖父母や家族、親戚がみんな笑顔で、とてもいい時間を過ごしたといいます。
「あの日以降、あの場で祝ってくれた人たちが全員集まることは二度とありませんでした。その後、親戚の中に亡くなる方もいて。もし挙式だけだったら、あの思い出はできませんでした。親孝行、祖父母孝行になったのかは分かりません。でも強引な父親のおかげで、かけがえのない幸せな思い出として私の中に大切に残っています」
気持ち的には結果オーライでよかったですが、お金は返さないといけないので大変でしたね。しこりが残らなくてよかったです。
結婚式を挙げるのも挙げないのも二人の選択。身の丈に合った結婚式を挙げればいいと思います。挙げたくても状況的に無理なのであれば、「できる状態になってから行う」と家族を説得するのもありです。
結婚は、親族をも巻き込むことです。「結婚式は両方の家族が満足のいくようにするのがいい」という意見もありますが、これがなかなか難しいもの。お互いの両親のタイプを知らせ合い、「ここは譲ろう」「ここは僕たちの意見を通そう」と建設的に決めるのがいいでしょう。
改めて、新しい家族を築く第一歩としての視点で結婚式を捉えてみると、相手の違った一面も見えてきます。他者を巻き込む初めての共同作業です。どんなふうに当日を迎えたとしても、結果としてそれがいい思い出になるのか、悪い記憶として残るのかは、自分次第です。
「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美
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