伸びるコンビニ。苦戦するスーパー、百貨店
プレジデントオンライン / 2014年12月18日 8時45分
グローバル化、業界再編、リストラ……、企業を取り巻く環境は激変している。ライバル会社はどうなっているか、徹底レポートする。
■大丸東京店の人員は5分の1に縮小
セブン&アイHDがイオンに売上高で抜かれた時点で発表するようになったのが、およそ10兆円という、世界のチェーン全店売上高。そのセブン&アイHDを見れば、伸びるコンビニ、縮小するスーパー・百貨店・外食という近年の流れがはっきりわかる。
2009年度から12年度にかけての4年間に限っても、セブン-イレブン・ジャパンらのコンビニ部門の従業員が4000人以上増えたのとは対照的に、スーパーは約1400人、百貨店は870人、外食は330人、それぞれ減少している。当然、人件費総額もコンビニ以外は縮小。スーパーのイトーヨーカ堂は約100億円、百貨店のそごう・西武は80億円、外食のセブン&アイ・フードシステムズは47億円の減少で、その傾向は今年度に入っても変わらない。
とりわけ、生き残り競争が激しいのが百貨店だ。13年の全国売上高は16年ぶりに前年を上回ったが、リストラなどコストカットが繰り広げられてきたことは周知のところ。
高島屋の場合、単体ベースの人件費総額が00年度1000億円強から600億円台に減額。12年度平均給与640万円は、00年度647万円を下回る水準だ。大丸松坂屋百貨店へのテナント入居を推進するJ・フロントリテイリングの経営効率化も目立つ。13年度の売上高657億円を予想している大丸東京店の従業員は70人規模。パートなどを含めても100人体制だ。従業員300人、パート200人を数えていた数年前から大幅縮小。売り上げ規模が異なるとはいえ、2000人から2500人の伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店とは対照的だ。
流通や外食産業は、国内人口の減少に直面しており、今後は人材を含めグローバル化がキーワードになることはいうまでもない。
国内流通トップのイオンの店舗網は、専門店や金融を含め1万4000を超す。そのうち、およそ3000は海外店舗。成長戦略のひとつに「アジアシフト」を掲げ、グローバル化を急いでいる。
執行役の顔ぶれを見ても、商品本部長や戦略部長、経営企画室室長などの歴任者に交じり、マレーシアや広東など海外事業経験者も目立つ。
必然的に、同社の人事制度は、国籍や年齢などを問わず、能力と成果重視にシフトしており、同グループの中核企業であるイオンリテールを例にとれば、海外を含めた全国転勤が基本の「N(ナショナル)社員」の昇格試験は厳しいとされる。
(ビジネスリサーチ・ジャパン代表 鎌田 正文 ライヴ・アート=図版作成)
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