チャンス到来!? 「空き家」問題を解決する新ビジネスの成算
プレジデントオンライン / 2015年3月1日 20時15分
■「空き家」問題は解決できるのか
所有者が実際に入居しておらず、放置された「空き家」が、大きな社会問題に発展してきている。その数は2013年10月時点で全国約820万戸と住宅総数の13.5%を占め、実に7軒に1軒が野ざらしのままだ。都市部においては地域コミュニティーの崩壊や防災・防犯面での住民不安を生んでいる。
これには国・自治体が法制化を含む対策にようやく重い腰を上げる一方、民間企業は所有者にとり“持ち腐れ”になりかねない資産の有効活用を促す事業に乗り出した。
戸建て住宅最大手の積水ハウスと信託銀行最大手の三井住友信託銀行グループ、さらに警備保障大手の綜合警備保障(ALSOK)の3社は昨年11月、空き家の利活用を所有者に対して共同で提案するサービスの提供で提携した。三井住友信託銀グループの不動産仲介会社、三井住友トラスト不動産を窓口に、所有者に対して空き家の解体、売買、建て替えやリフォーム、さらに巡回などのセキュリティー管理、金融機関への紹介など、総合コンサルティング業務を展開する。3社それぞれが得意とする分野で連携し、空き家ビジネスに育成することを狙った。
不動産仲介大手としては、東急リバブルが空き家の売却支援サービスを昨年8月にスタートし、住友不動産販売も3月末までの期間限定で、同社の負担により空き家、空き地の売却を支援するサービスに乗り出した。このほか、事業構造改革により住宅分野を中核事業に位置づけるパナソニックは、一般社団法人の移住・住みかえ支援機構と連携し、空き家の再生事業に乗り出す方針で、両者は今年春にも物件情報サイトを設け、リフォームした住宅を子育て世代などに貸し出す計画が伝えられている。
■税制改正がビジネスチャンスを拡大か
民間大手がここにきて空き家ビジネスに注目し出した背景は、単に空き家のストック規模の大きさばかりでない。国や自治体が空き家対策に本腰を入れ始めたのに加え、税制改正が空き家ビジネスを後押しするとの判断があるからだ。実際、今年1月に実施された相続税の非課税枠の大幅引き下げにより、課税対象が拡大する大都市部を中心に相続税対策として今後、所有者が空き家の有効活用に乗り出すことが十分考えられ、ビジネスチャンスの拡大が予想される。
一方、昨年11月の臨時国会で、議員立法で提出された空き家の所有者に対する自治体の権限を強化した「空き家対策推進特別措置法」が成立したことも大きい。さらに2015年度税制改正で敷地200平方メートル以下の住宅地について更地の6分の1に軽減されている現行の固定資産税の特例が、隣接地などに危険が及ぶ場合などに更地並み課税が適用されるようになったことも、所有者に売却や改築、賃貸など空き家の利活用を促すとみられる。
また、大都市ばかりでなく、地方においても空き家ビジネスの可能性が生まれようとしている。安部政権が次の「アベノミクス」の目玉に据える「地方創生」には、地方移住者に対して空き家をリフォームして低家賃の賃貸住宅として提供する地方活性化策が盛り込まれた。その意味で、民間企業にとって空き家ビジネスは、まさに大きなビジネスチャンスに映ってくる。
しかし、中古住宅の価格評価がいまだ確立していない点に加えて、欧米に比べて遅れている中古住宅の流通など、空き家ビジネスが本格的な事業として成り立つまでには、飛び越えなければないハードルが高いのも現実だ。その意味で、空き家ビジネスを視野に入れる企業も、現時点で手探り状態での参入である事実は否めない。
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