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日本人メジャーリーガーが次々と肘を壊すわけ

プレジデントオンライン / 2015年4月18日 11時15分

2015年MLBオープン戦初登板、右上腕三頭筋の張りを訴え降板。翌日、靭帯断裂が発覚した。(写真=AFLO)

■次に危ないのはこの人だ!

日本の球界ではトップに君臨したピッチャーたちが、海を渡ってメジャーリーグ(MLB)の舞台に立つと、深刻な怪我を負う事態が頻発している。

3月6日、ダルビッシュ有(レンジャーズ)の右肘側副靭帯の損傷が発覚、靭帯の修復手術(トミー・ジョン手術)を受けることになり、今季の出場が絶望的となった。

昨年7月、田中将大(ヤンキース)の右肘靭帯部分断裂が発覚したことも記憶に新しい。そのほかにも、2011年に松坂大輔(今季からソフトバンク)、12年に和田毅(カブス)、13年に藤川球児(レンジャーズ)が肘の靭帯を損傷。同級生である3人が靭帯の修復手術を受けた。日本人ピッチャーの身に、何が起きているのか。

怪我の遠因は諸説あるが多くの日本メディアが報じているのは、MLBが日本のプロ野球と異なるボールを使用していること、日本より短いサイクルで先発投手の登板機会が回ってくるとする、“過酷説”である。

元巨人の投手で、ロサンゼルス・ドジャースのスカウトを13年務めた小島圭市氏に話を聞いた。アメリカのマイナーリーグでもプレー経験があり、日米の野球事情を知る人物である。

「ベースボールと野球の違いはあると思います。日本のボールよりアメリカのボールのほうが重いわけですから、当然、負担がかかります。登板間隔についても同じことが言えます。人間には慣れというものが存在しますから、適応に時間がかかります」(小島氏)

とはいえ、これだけが原因とは思えない。なぜなら、黒田博樹(今季から広島)、上原浩治(レッドソックス)といった投手は、大きな怪我をしていないからである。

そこで、次に挙げられるのが“投球フォーム説”だ。小島氏は「黒田投手や上原投手が重大な故障をしていない1つの要因として考えられるのは、投球フォームに起因します。彼らはどちらかというと、“力投”しない投球フォームなのです。わかりやすく言えば、余分な力を入れることなく、柔らかく投げているということです。松坂、藤川両投手は力投型、和田投手は、特殊なフォームだった」と分析している。

松坂や和田、藤川が怪我を発症したのが30歳を超えてからだったのに対し、ダルビッシュや田中が20代で怪我を負ったというのも、気になる点だ。怪我の年齢が若くなっているという現状も、投球フォームにあるのだろうか。

小島氏は、「剛」か「柔」であるかが重要なテーマだとこう提言する。

「ダルビッシュ投手は、高校時代も含めて、日本にいたころは『柔』らかく投げていました。一方、田中投手は力投型の投球フォームで『剛』といえました。ところが、彼らは近い時期に怪我をしました。

要因は彼らのその後のスタイルの変化にあります。ダルビッシュ投手は、アメリカに渡る1年前に、2カ月で約10キロの体重を増やし、パワーピッチングをするようになりました。それまでの『柔』の投手から『剛』に変わったのです。逆に、田中投手はアメリカに渡ってから『柔』に転換しつつあります。2学年離れている2人の怪我が重なったのは、ダルビッシュ投手のほうが『柔』の時期が長かったからだと思います。日本ハムの大谷翔平投手は高校時代まで『柔』でした。今は『剛』になったので、彼も心配です」

さらに昨今の日米で共通して話題となっているのが、ジュニア期の“登板過多説”だ。例えば、田中投手は高校時代と日本のプロ野球時代には連投・完投を多くこなし、登板過多の傾向があった。

アメリカ国内でも、ピッチャーの肘の問題が同じようにあり、ジュニア期の登板過多を問題視する声がある。だが、アメリカと日本が決定的に異なるのは、そうした問題に対し、迅速に取り組む組織の柔軟さがあることだ。事実、昨年11月、MLBと米国野球連盟は対策に乗り出した。18歳以下のアマチュアのピッチャーを対象にしたガイドライン「Pitch Smart」を作成。1日の投球数や投球数により必要となる登板後の休養日数などを示した。

日本は対策を講じられるのか。

(スポーツライター 氏原 英明 写真=AFLO)

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