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全世界が注目! 「小池百合子とゆかいな仲間たち」の戦いの勝者は誰だ

プレジデントオンライン / 2020年6月18日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ryosei Watanabe

■麹町ファン切望? の候補者分析

7月5日投開票の東京都知事選は、現職の小池百合子知事の圧勝予想が報じられている。新型コロナウイルスの感染者がいまだ2桁に上り、「第2波」の到来も見込まれる中で「都知事選なんて関心ない」「選挙や投票時の“3密”は大丈夫なのか」と思われる人々もいるだろう。だが、コロナ禍で実施されている地方選は少なくなく、告示(6月18日)後は粛々と選挙戦をスタートせざるを得ないのが現実だ。

メディアによっては小池氏と、れいわ新選組の山本太郎代表による「事実上の一騎打ち」と報じたり、過去2度の都知事選出馬で知名度を高めた元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏を含めた「三つ巴の戦い」にフォーカスを当てたりする記事が見られている。巨大都市・東京の選挙は無党派層が多く、その予想は難しいとされるが、今回は「麹町ファン」が切望しているだろう主要候補予定者の分析と批評をしてみることにした。

小池氏に限らず、現職首長が選挙で強いのは全国的な傾向だ。特に1期目の4年間が終わり、再選を目指す知事は「横綱」と言えるほど優位に立つ。東京都も例外ではなく、初代都知事の安井誠一郎氏が終戦直後の1947年5月から3期12年、次の東龍太郎氏は2期8年、美濃部亮吉氏は3期12年、そして鈴木俊一氏が4期16年と続いてきた。

■石原・猪瀬・舛添の3氏が3年間で交代する都民を愚弄した時間

その流れに異変が生じたのは、1995年に第13代都知事に就任した青島幸男氏からで、青島氏は再選不出馬を決めて1期限りで退任。その後登場した石原慎太郎氏は4選まで果たしたものの、任期を約2年半残す中で国政復帰を目指すと突然辞職し、都政の混乱が始まった。

石原氏から後継指名された猪瀬直樹副知事は2012年末の都知事選で史上最多となる434万票を獲得したが、医療法人から5000万円を受領した疑惑が発覚。翌年末に史上最短の在任期間という記録を残して辞任した。その次の舛添要一氏には、出張時の高額宿泊費やファーストクラスの利用、別荘がある神奈川県湯河原町への公用車移動など「政治とカネ」問題が浮上し、次々と報じられた「セコすぎる」対応が世論の反発を招いて約2年での退陣を余儀なくされている。

振り返ると、任期満了に伴う都知事選は2011年以来9年ぶりというから驚くほかない。安定した都政運営や継続性が求められる中、石原・猪瀬・舛添の3氏が3年間で交代するというのは滑稽というよりも、都民を愚弄(ぐろう)した時間になっていたともいえる。

■拙厳しい批判は「愛」の裏返しだが、小池百合子は可愛い

さて、そろそろ本題に入ろう。なお、これまでの拙稿を愛読している「麹町ファン」は知っているだろうと思うが、拙稿の厳しい批判の数々は「愛」の裏返しでもあることを理解の上、読み進めてもらえればと思う。

まず、事前の各種情勢調査を見ても現職の小池氏は圧勝する可能性が高いかもしれない。女性初の都知事として女性をサポートする政策や子育て支援策に重点を置き、コロナ対応でも大阪府の吉村洋文知事と並んで国を牽引している姿勢は、世論の支持がかなり高い。小池都政で都の「貯金」にあたる財政調整基金を一時約3000億円も増加させ、コロナ対策を含めた過去最大規模の予算を計上したのも評価できる。だが、なんとなく好きになれない。

カイロ大学の「学歴詐称」疑惑が突如湧いたが、これでもかとアンチ小池派による知事選をにらんだ攻撃が進んだ段階で、6月15日に同大の卒業証書や卒業証明書を公開。8日にはカイロ大が学長名で書類は「カイロ大学の正式な手続きにより発行された」との声明を出しており、それまでの批判を「完封」するだけでなく、相手にブーメランにして返すような「ドS」ぶりも発揮しているのである。卒業書類に添付された学生時代と思われる小池氏の写真にはツイッター上で「えっ、美人」「かわいすぎる!」との声もあるが、そんなことはどうでもいいことだろう。

■将来の総理候補「山本太郎」、どうせなら1人100万円を

そうした見方も考慮してか、マスコミは小池氏を「袋叩き」にしている感があるが、それは大メディアに任せるとして、小池氏はとにかくカタカナ語を好むことが多い。すでに忘れかけた英語の語彙力を試されているかのような気持ちに陥る。コロナ禍で自宅学習中の学生諸君には良いのかもしれないが、あれはやめてもらいたい。今回の知事選では「東京大改革2.0」を掲げるようだが、「東京アラート」の赤色といい、エヴァンゲリオンでも意識しているのだろうか。油断して赤面しないことを願うばかりだ。

「将来の総理候補」とも一部から期待される山本氏は、昨年夏の参議院選挙で自身が当選できたにもかかわらず、れいわ新選組として2人の重度障害者の当選を優先させた。約67万票を獲得した参議院選挙東京選挙区(2013年)ではなく、全国比例で出馬して個人名で100万票近くも集めた「革命児的存在」だ。日焼けした肌にがっちりとした体格は格好良いと評判になっている。

脱原発や反TPP、消費税廃止などを唱え、都知事選の公約にも東京五輪・パラリンピックの中止や「全都民に10万円給付」など大胆なメニューを用意している。どうせならば、「1人100万円」と言ってほしかったのは私だけではないだろう。コロナ禍で人通りが減少する中、得意としてきた街頭活動の効果がどこまで表れるかは未知数だが、次期衆議院選挙や来年夏の東京都議選に向けたテコ入れにも期待がかかる。立候補表明した6月15日の記者会見で「(小池氏は)かなり強い。チャレンジャーとして最大限やる」と語った山本氏。「れいわ旋風」とまで評された昨年の勢いは失われ、政党支持率も低位に落ち着く中、どこまで風を吹かせることができるか「モノ言う政治家」の真価が問われる。

■和製サンダースの宇都宮健児の誠実さにうっとり

その姿が米国のバーニー・サンダース氏を彷彿(ほうふつ)とさせることから「和製サンダース」の異名を持つ宇都宮健児氏は、「サラ金・消費者金融問題」などに精通し、日弁連会長も務めた人物だ。貧困問題にも取り組み、学校給食の完全無償化や都立大の授業料無償化を目指す。その支持者は熱い思いを持つことで知られ、2012年と2014年の都知事選に出馬し、それぞれ90票近くを獲得して次点となった。前回知事選は野党共闘候補への一本化に伴い出馬辞退に追い込まれたが、今回はサンダース氏のようにあきらめない姿勢で「3度目の正直」を狙う。地味すぎるとの声が上がる一方、その真摯な受け答えには「誠実な男性にうっとりしてしまう」とファンになる人も出ているようだ。

今回の都知事選は主要3候補予定者の他にも注目すべき人物がいる。その筆頭はNHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首だ。立花氏は当初、実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏の出馬を期待し、それを支援するため政治団体「ホリエモン新党」まで結成した。5月末に刊行された堀江氏の著書は、出馬への注目もあって売れ筋商品となったが、最終的に堀江氏自身は出馬を見送った。そのため、立花氏はホリエモン新党公認、N国推薦で出馬するとともに、知事選には現職の小池氏と同姓同名の「小池百合子」氏を擁立する計画をぶち上げている。この「天才的手法」は、今年4月の衆議院静岡4区補選でも断行しており、圧勝が予想される小池氏の得票を削り得る「合法的手段」となる。最近は党勢が低下し、一部からは「何を目指しているのか分からない」との声もあがるが、注目度の高い都知事選に出馬することにより、どこまで党勢を回復させることにつなげられるのか注目の一戦となる。

■小野泰輔氏の東大学位記コピーにはドン引き

もう1人の注目人物は、東京から遠く離れた熊本県の副知事を務めていた小野泰輔氏だ。日本維新の会の推薦を受け、維新も遠藤敬国対委員長が国民民主党の小沢一郎衆議院議員に支援を要請するなど力を入れている。6月9日に立候補表明した記者会見では、来年夏に予定される東京五輪・パラリンピックの「2024年への再延期」も視野にIOCなどと再交渉していくことを掲げ、小池氏批判に執念を燃やすような街頭演説をスタートしている。だが、記者会見で自身が卒業した東大法学部の学位記のコピーを手に「私も疑われていますかね?」と笑みを浮かべた姿には、さすがに「僕ちゃん、東大出ているんだよ。すごいでしょ! といわんばかりの姿勢にはドン引き」(都内の20代女性)といったあきれ声も漏れる。

他にも多くの立候補予定者が名を挙げており、オリンピック・パラリンピックがなくなった今年の夏はそれに代わるようにユニークな人物たちの舌戦が街中に響きわたりそうだ。それにしても「都知事選って、なぜ暑い時期に、しかもコロナ禍の今やらないといけないのか」という率直な疑問も湧いてくる。1400万人の都民の皆様にはマスクを着用しつつ熱中症と「3密」に気をつけて、「小池百合子とゆかいな仲間たち」の戦いという珍妙なコンテンツに注目してもらいたい。

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麹町 文子(こうじまち・あやこ)
政経ジャーナリスト
1987年岩手県生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。プレジデントオンライン(プレジデント社)、現代ビジネス(講談社)などに寄稿。婚活中。

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(政経ジャーナリスト 麹町 文子)

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