累計40色以上「BRUNOのホットプレート」が毎シーズン期間限定カラーを発売する深い理由
プレジデントオンライン / 2021年8月6日 15時15分
■「ホーロー鍋」を参考に開発したホットプレート
BRUNO コンパクトホットプレートは2014年に発売した。
開発の意図について、イデアインターナショナル プロモーション部の上村美穂さんは「インテリアの一部としてライフスタイルに取り入れられる調理家電を、という当時の商品開発者の思いからコンパクトホットプレートが作られました」と話す。
「BRUNOは、2012年に立ち上がったブランドです。『大人を愉しむライフスタイルブランド』というコンセプトのもと、インテリア雑貨やキッチン用品などを扱ってきました。そのなかで、とりわけ人気が高かったのが、リビングやダイニング周りの生活家電でした。こうした背景から、テーブルを囲んで、気の知れた仲間や家族と調理工程まで楽しめるようなアイテムを世の中に届けたいと開発したのがコンパクトホットプレート誕生のきっかけです」
ただ、ホットプレートは昔からある調理器具のため、普通に新商品を出しただけでは消費者の目には留まらない。
そこで、BRUNOは新たに、2~3人で使うのにちょうど良いサイズの「コンパクトホットプレート」という調理家電を生み出し、重厚で後片付けが大変なホットプレートの常識を覆すことを試みたのだ。
「使い勝手がよく、かつ生活に馴染むような調理家電を目指しました。アイデアの参考にしたのは、見た目がおしゃれでインテリアとしても汎用性のあるデザインのホーロー鍋。デザインのおしゃれさだけでなく、使いやすさも意識しながら当時の商品部やデザイナーが試行錯誤した末、今の形になりました」
■インスタ流行を先取りし、SNSで認知を拡大
「BRUNOが人気になった理由は主に3つある」と上村さんは話す。
「まず1つ目はBRUNOが発売された当時、ちょうどインスタグラムの潮流が来ていたことでした。フォトジェニックな写真を求めたり、おしゃれな女子会を企画したりするなど、『インスタ映え』という言葉が流行する前のトレンドの波に乗れたことが大きいと思います。調理器具らしからぬ、ポップなカラーやデザインを施したBRUNOのアイテムは、インスタグラムとの相性も良く、調理した様子を投稿するユーザーの方を中心に、SNSで認知が広まっていきました」
また、「BRUNO AMBASSADOR(ブルーノアンバサダー)」の存在も大きい。BRUNOで表現したい世界観や料理のレシピなどを一緒に作り、魅力を発信する役割を担っている。
「BRUNOの世界観に共感してくださる料理家の方などに一人ひとりお声がけし、パートナーのような形で関わってもらっています。アンバサダー自身が商品のファンでいてくださるので、BRUNOアイテムの使い方や楽しみ方などをSNSで発信してくださったことで、自然と拡散していきました」
■顧客調査で判明した「ギフト需要」の強さ
コンパクトホットプレートの販売台数を伸ばすきっかけとなった2つめの要因は、ギフト需要を取り込めたことだ。
「調理器具として日常使いする需要に加え、ギフト需要の大きさもお客様の動向分析やアンケート調査でわかりました。BRUNOの商品の良さを知っている方を中心に、ギフトとして選んでいただいている状況です。BRUNOの店舗でも、ギフトに悩まれて来店される方も多い印象です。さまざまなライフスタイルのニーズに応えられるようにギフト用商品の種類を増やしたり、オリジナルのリボンやカードといったギフトサービスを充実させたりと、ギフトならではの付加価値を提供できるよう努めています」
■期間限定カラーを次々投入し、新たなファンを増やす
コンパクトホットプレートのスタンダードカラーはホワイト、レッド、ネイビーの3種類だが、シーズン毎にさまざまな限定色を発売している。
これまで発売されたカラーは実に40種類以上。その理由について、上村さんは「多様化するライフスタイルに寄り添い、それぞれの暮らしに合ったカラーを提案したい思いがある」と語る。
「ブランドイメージや世界観に合うようなカラーを、その時々の流行に合わせて選んでいます。ホワイト、レッド、ネイビー、その他販路限定カラーのほか季節限定、キャラクターコラボなど、多種多様なカラーバリエーションを展開することで、『興味はあったけど、好みの色がなかったために買わなかった』お客様に購買喚起することができます。インテリアやライフスタイルの趣味嗜好は人それぞれで、既存のスタンダードなカラーだけでは全てのニーズは満たせません。期間限定のカラーを毎シーズン投入することで、コンパクトホットプレートをまだ購入していないお客様に訴求でき、新たなファンを作るきっかけにもなっているのです」
■体験価値重視のプロモーションがコロナ禍で追い風に
そして3つ目は、コロナ禍で料理をする機会が増え、巣篭もり消費による需要が高まったことである。
上村さんは「時短や便利さに加えて、商品を使うことによる楽しさ、高揚感といった商品スペックに寄らない提案を今まで行ってきたのが大きい」と話す。
「機能面だけでなくBRUNOのアイテムを使ってできることや提供できる空間など、ブランドの体験価値を重視したブランド発信やプロモーションを行ってきたので、他社商品にはないベネフィットをお客様に届けられていると考えています。また、SNSやアンケートからお客様の声を拾って商品開発に活かす際も、そのまま反映するのではなく、半歩先を行くようなアイデアまで昇華させ、ちょっとした『驚き』や『ときめき』をお客様に感じてもらえるように心がけているのも、BRUNOが選ばれる所以となっています」
■ECとリアル店舗で送客しあえる環境作りに取り組む
ただ、緊急事態宣言や外出自粛要請が続くなかで、リアル店舗の営業は苦しい状況に立たされている。どのような打開策を立てているのか。
「リアル店舗はコロナ禍の影響で来店者数に影響が出てしまうこともあり、EC販路での販売に注力する動きがあります。特に直営店ではECとリアル店舗双方で送客しあえる環境づくりに取り組んでいます。また、ファンとの交流やBRUNOの魅力を伝える目的で行っていたリアルイベントができなくなったので、オンラインイベントでBRUNOの意外な使い方や生活に取り入れるための豆知識などを配信し、ブランドイメージを高める取り組みにも挑戦しています」
「世の中に対してBRUNOは何ができるのかを常に考えながら、今後も人々の生活に根ざした商品開発やプロモーションアプローチを展開できればと考えています。将来的にはキッチンカテゴリにこだわらず第2、第3のヒット商品を生み出し、ライフスタイルブランドとしてのブランド認知を高めていきたいです」
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フリーライター
1986年生まれ。ビジネス、ライフスタイル、エンタメ、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
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(フリーライター 古田島 大介)
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