89歳男性の生きがいは20代の「彼女」…交際しながら介護もする「ジジ活」という新しい関係性
プレジデントオンライン / 2024年4月6日 13時15分
■パパ活ならぬ「ジジ活」をする51歳女性
トミコさん(51歳)は、介護福祉士の資格を持ち、実際に訪問介護の仕事をする一方で「ジジ活」もする女性だ。相手は75歳の独り暮らしの男性だ。
「年齢とともに注意力も筋力も落ちてくるし、単純な身体能力も落ちてきます。ちょっとしたところで転んでしまったり、よろけた時に自分の体を支えることができずに、倒れ込んでしまったりします。だから、一緒にいる時はいつでも対応できるように、さっと手を伸ばせば体を支えらえるくらいの距離感を保つようにしています」
また、一緒に行動をする時には、細かく声をかけるようにしているともいう。例えば、「次の角で曲がるけれど、段差があるから気をつけてね」「タイルが少し濡れてて滑るから気をつけてね」といった具合だ。
■75歳男性から「そろそろ…」と打診のLINE
「歩幅が小さいから歩くのもゆっくりだし、すり足になるからほんのちょっとの段差でもつまずいちゃう。また、高齢者の特徴なのですが視界も狭くなるんです。だからお酒を飲んだ時には要注意です。一緒に銀座などに飲みに行けば人も多いし、駅などには階段もある。私は普段仕事で高齢者の方に接しているので、自然に対応できますが、福祉関係のお仕事をされている方は、ジジ活に向いているなと思います」(トミコさん)
相手の方とは月2回程度会うそうで、「そろそろお時間を作ってくれないか」と打診のLINEが届くと、「では、少し寒くなってきたのでお鍋でも食べに行きましょうか」などと彼女からプランを提案するという。高齢者はインターネットで調べるのが得意ではないため、トミコさんに計画をゆだねるが、それもまた相手にとっては楽しみで、電車に1時間ほど乗って飲みに行くなどびっくりするほど活動的だという。
■「彼女+介護士」という超技能職
「怪我や病気、体調不良が若い人よりありがちなので、ドタキャンもあります。『あれ? 最近連絡が来ないな』と思っていたら、『お酒を飲んだら転んでしまい、大事を見て少し入院していました。退院したので会いましょう』なんてこともありました。もっと早く言ってくれたらお世話しに行ったのにと言いましたよ」(同)
彼女は完全に相手のニーズに合わせてお付き合いをしていると話す。ジジ活とはもはや、「彼女+介護士」という超技能職なのではないか。このまま交際が続けば、ここに家政婦も加わるかもしれない。
「結婚したから配偶者以外とは出会うことすら良くないこととされる風潮がありますし、ジジ活や風俗のようなものは倫理に反するという考えの人も多くいますが、私にとっては介護業務の延長……というか、こっちが本当の介護の仕事なんじゃないかと思っているくらい。人生にものすごく深く関わっているなという充実感がありますね」(同)
■「結局、自分の生きたいように生きるのが正解」
そう言うトミコさんは、かつて自分の祖母の介護もしてきた過去を持つ。
「介護の仕事の現場では、ふとした時に性の話になると、『こんな歳だから、性的なことはさすがにね』と言う女性もいます。そういう時、抑圧していないかと心配になります。私の祖母は96歳まで生きたのですが、晩年は認知症がひどく、食べても食べてないと言ったり、8時に起こしてくださいと言われたので起こすと、その3秒後には『寝かしてください』と言って寝てしまうような日々でした。そんな時期に、『おじいちゃん以外とデートしたかったな』『おしゃれして出かけたかったな』とずっと言っていました。
心残りだったのかなと思うんですよね。人と人の関係って様々で、夫や妻以外の相手と関係があったとしても、それを一概に悪とするのはおかしいと思います。配偶者以外の人との触れ合いの中で、自分の生きがいを見つける人もいるわけですし……。結局、自分の生きたいように生きるのが正解なのかもしれませんね」(同)
その人が生きたいように生きる時のサポートを、彼女はスペシャルな介護士として行っているのだと筆者には思えた。
■交通費2万円を支払い、20代と交際する89歳男性
実際、生きたいように生きているから長生きができていると話す男性がいる。コウスケさん(89歳)は、90歳を目前にパパ活をしているのだと話す。相手はなんと、彼が講師として呼ばれたセミナーに受講生として参加していた20代の女性だ。
「私がかつて就いていた仕事に興味があるということで、連絡先を交換し、次第に仲良くなっていったんです。そんな年下の女性に家に通ってもらうのは申し訳ないから、感謝の気持ちとして交通費ということで2万円をお支払いしています。10年以上前に妻をがんで亡くしまして以降独り暮らしです。そこに彼女が月1〜2度やってきて、食事をした後に、少しイチャイチャするのですが、この約半日の時間が本当に楽しくて。彼女が来る予定の数日前から、『一緒に何を食べようか』『どんなお酒を用意しようか』と考えて、前日に買い出しに行きます。時には電車に乗って食材を買いに行くこともありますよ。当日は朝からテーブルをセットしておいて、彼女をお迎えするんです」
■妻を亡くした悲しみから救ってくれた大事な存在
パパ活と本人は言うが、コウスケさんは妻が生きていた頃からすでに勃起障害があり、挿入はできない。そのため、裸になって抱き合う他、彼女に対して愛撫(あいぶ)をしたり、オモチャで気持ちよくしたりという行為を持っている。
「もともと女性が好きなほうで、妻がいながら別の女性と付き合ったこともありました。私は女性のイク姿を見るのが好きでたまらないんですね。その姿を見ることが生きがいだとも思ってます。だから今も、彼女をオモチャでいじってイカせていることで満足をしています。彼女が通ってくれる限り、元気でいられるとも思っています」
妻が亡くなった後はしばらく消沈して、半ば鬱(うつ)のようになっていたと話すコウスケさんだが、今はそんな沈んだ時期があったことを感じさせないほど大きな笑顔を見せる。彼女の存在が、この溌剌とした笑顔につながっているというのは大いにあるだろう。
■熟年離婚した53歳男性が性的に弾けた理由
現在、68歳になるヒロシさん(仮名)は今から約15年前、ある決意をした。
「ちょうど50歳を過ぎた時に妻と離婚をしたんです。原因は妻の浮気です。ただの浮気なら修復しようと思えたのですが、子供も連れて相手の男と旅行まで行っていた。子供を巻き込んでいたのがどうしても許せなくて、離婚をしたんです。別れたのが53歳の時。ずっと家族のためにと仕事を一生懸命やってきたのですが、このまま仕事だけしていても後悔するなと思って、これからは自分のために時間とお金を使おうと決めたんです。離婚で鬱っぽくなっていたのかもしれないですが、ちょうど一気に性欲がなくなってきたという焦りもありました。面倒くさいからいいやと思ったら、男も終わってしまうんじゃないかということで、最後にあがいてやるって気持ちでしたね」
ヒロシさんにとって「自分のために時間とお金を使う」ことは、習い事をしたり、趣味を楽しんだり、おしゃれをするという意味ではなかった。なんと、性的に弾けてしまったのだ。
出会い系サイトや交際クラブに登録をしたり、既婚者合コンに参加をしたりした。当然、風俗も行けば、ハプニングバーなどややアンダーグラウンドな遊び場にも足を運び、常に5〜6人の女性と同時並行で付き合っている状態が続いていたという。
■「自分を解放している女性」に魅力を感じた
「人が経験しないことをしてやろうって気持ちもありましたね。某ホテルで複数プレイのパーティが開催されていたので、そういうものに参加したこともあります。危険だったら即逃げようと思いながら恐る恐る行ったんですが、結果的には大丈夫なもので、ホッとしました(笑)」(ヒロシさん)
この15年間で数えきれないほどの女性と体の関係を持ったというヒロシさんは、「自分を解放している女性」との付き合いにとても惹かれたという。
「女性と出会っていろんな話をすると、その部分での興味や関心があるのかないのかわかってくるじゃないですか。ある人はあるし、ない人はない。女性って本当に両極端だなと思います。女性が性的に自分を解放してくれたら、男ってそれでものすごくその気になっちゃうんだよね。でも、女性がそのようになれるのは30代も半ばを過ぎてからなのかな。男って、やりたいだけの人もいるのかもしれないけれど、それだけを望んでいるわけではないと思うんですよね。少なくとも俺は、それだけを望んでいなかった。一緒にいて楽しいというか、信頼できる相手が欲しい。女性だって、お金なのかセックスなのか、相手に望むものは人によって違うと思うけれど、それだけを望んでいるわけではないでしょう?」(同)
■「結局、みんな満足できるセックスをしたい」
現在、一緒に暮らしている女性がいるが、他にも付き合いを続けている女性が2人おり、体力がなくなりつつある今、このまま続けていけるかどうかが悩みどころだという。しかし、いつまでも男として格好良くいたいという気持ちがあり、その気持ちは歳を重ねても変わらないだろうという確信もある。
70歳が目の前に迫ってきたからこそ、「何もしなければ、おじいちゃん化してしまう」という気持ちとのせめぎ合いがあるのだとヒロシさんは話す。
「きれいな女性と一緒に街を歩いているとみんなが見てくれるじゃないですか。その優越感って男にとってはモチベーションになるんです。でも、それだけじゃ足りない。どんなにきれいな奥さんがいても、そこに信頼とか一緒にいて楽しいというのがないと、長い間一緒にいるうちにやっぱり満たされなくなっていく。結果、みんなしたいんですよ。一緒にいて楽しい相手と、満足できるセックスを。
そのセックスをできない人間が、妬みで批判するだけなんだと思っています。倫理観や道徳観を守って生きていったところで、誰かがそれを褒めてくれるかといったらそんなことはないでしょう。結局、幸せで充実していて、楽しい人生だったというのは自分が決めることなんですよね。避妊をするとか性病を持ち運ばないなどの最低限のルールは必要だけれど、その範囲内で楽しむ分にはいいんじゃないかな。最後、死ぬ時に俺の人生まんざらでもなかったって思えるように生きるのがいいよね。俺は今死んでも、そう思えますよ」
15年間の性的な冒険を経て、思い残すことがなくなったとヒロシさんは話した。性的により良い人生を生きる……今時の言葉なら“セクシャルウェルネス”だと言えるのではないだろうか。
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フリーライター
1977年生まれ。東京都出身。編集プロダクション・オフィスキング所属。高校卒業後、ショーダンサー、出版社アルバイトなどを経てフリーライターに。雑誌やウェブで性をテーマに取材・執筆を行う。処女作『16歳だった 私の援助交際記』』(幻冬舎)がベストセラーに。主な著書に『ネット風俗嬢』(リンダパブリッシャーズ)、『漂流遊女『漂流遊女』 (ミリオン出版)、『高齢者風俗嬢』(洋泉社)、『副業愛人』(徳間書店)など。2022年にAV女優などの仲間と一般社団法人sienteを発足。AVや風俗などセクシャルウェルネス産業に対する差別や偏見をなくすための活動をしている。
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(フリーライター 中山 美里)
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