「仕事が落ち着いたら休もう」はダメ…心理カウンセラーが警鐘「絶対やってはいけない休み方」2パターン
プレジデントオンライン / 2024年4月12日 15時15分
※本稿は、下園壮太『「がんばらない」仕組み』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■エネルギー的に「正しい休み方」
「休む」という行為は、「がんばらない仕組み」の中核を成す要素ですが、もちろん、ただなんとなく休めばいいというものではありません。
「エネルギー的に正しい休み方」
というものがあるのです。
この休み方を間違えると、「頑張る系システム」のスイッチをオフにすることができず、十分にエネルギーを回復することができません。
それでは、効果的に休むノウハウについてお伝えしましょう。
「働き方改革」が進んでいるかに見えるビジネス社会ですが、まだまだ「多忙でなければ、できるビジネスパーソンとはいえない」といった空気感があります。
しかも困ったことに、ビジネスパーソン自身が“多忙自慢”をするケースさえあるようです。
ただ、僭越ながら私が申し上げたいのは、
「忙しいと疲れたは、自慢にならない」
ということ。
これは、元内閣総理大臣・吉田茂さんの言葉としても有名ですが、「がんばらない仕組み」をつくる上で、非常に大切なことを私たちに教えてくれます。
「疲労」や「多忙」を自慢しても、結果的に自分の首をしめるだけで、誰の得にもなりません。
そんなことなら、むしろ
「いかにがんばらないか」
「いかにうまく休んだか」
といったことを自慢し合ってほしいくらいです。
とはいえ、
「実際忙しいし、周りも忙しそうにしているから、休みたくても休めない」
という人は多いでしょう。
そこで、私が提案したいのが、
「まず、休む日を決めてしまう」
ということです。
■「本当はムリをしているのに、頑張り続けるほうがラク」な状態
「そんなのあたりまえじゃないか」と思われるかもしれませんが、実際にこれを適切に行なえている人は、あまり多くありません。
世の中の大半の人は、
「仕事が落ち着いたら休もう」
「休めるときがきたら休もう」
と考え、“能動的に休む”ということができていないのです。
たしかに、まだ一段階のやる気満々の時期なら、無休で走っても、多少のムリはききます。体力・気力にも余裕があるので、「この辺で休もう」と判断することもできるでしょう。
ですが、本当に「休み」が必要となる二段階、三段階に突入すると、思うように仕事が進まないために、
「何か調子が出ないなあ。能力が足りないのかも」
「成果も出ていないのに、休むわけにはいかない」
「ここで休むとみんなに迷惑をかけるし、不要な人材だと思われそう」
と追い詰められます。
結果的に、思考が停止してしまい、
「本当はムリをしているのに、頑張り続けるほうがラク」
という状態になってしまうのです。
■“機械的に”自分を休ませる方法
ですから、休まなくても大丈夫なうちに、
「休むことを計画に組み入れてしまう」
ことが必要になります。
「12月の第一月曜日は絶対に休む」
といった具合に決め打ちしてしまうのもいいですし、一年のはじめに、その年の有給休暇をバランスよく振り分けておく、といったやり方も考えられるでしょう。
ここでも、
「なるべくシステマティックに自分に休みを取らせる」
ということが、とにかく重要になります。
ちなみに自衛隊では、一つの戦場で一定期間の戦いを終えると、弾薬と食料を補給し、疲労のリカバリーを行ないます。そのときに
「君、休みか。体が空いてるね。あちらの戦場に向かってくれ」
なんてことは絶対にいいません。
なぜなら、
「自分にはわからない疲労がたまっているのだから、解消しておかなければいけない」
ということを、きちんと理解しているからです。
もちろん、すべての職場が自衛隊のような考えを持っているわけではない、ということは重々承知しております。
休みを先に決めておいたが、急な案件が入り、出社しなくてはいけなくなった、といった個人の力ではどうにもならない事態に直面することもあるでしょう。
しかし休みに対する認識を改め、“主体的に”それを取り入れようと心がけることは、誰にでもできます。
「休みたいのに休めない」
ふと、そんな思いが頭をかすめたら、その思考のスイッチを切りましょう。そして、
「まだ休まなくて大丈夫だけど、だからこそいま休んでおこう」
と自分にいい聞かせてください。
それが、あなたの心身を守ることにつながります。
■休日は、なるべく“省エネ”で過ごす
一週間の仕事を終え、待ちに待った休日を迎えると、
「よし、ストレス発散だ! 思いっきり遊ぶぞ!」
とはしゃいでしまうのは、よくあることですよね。
休みの日の過ごし方はさまざまですが、多くの人が「どこで何をして遊ぼうか」と、とにかく「アクティブに過ごす」ことを計画するのではないかと思います。
それはすばらしい。
仕事に追われる毎日から解放されて、家族や恋人、友達と心ゆくまで楽しむことは、いいストレス発散になります。
ただしそのメリットが得られるのは、エネルギーが消耗し切っていないときに限ります。別のいい方をすれば、「一日の疲れは、その日のうちに取る」ことができているときに限ります。
そうでなければ、休日に多くのエネルギーを要することを行なうのは、あまりおすすめできません。
仕事だろうと、遊びだろうと、エネルギーを使うという意味では同じだからです。
疲労感が抜けていないようなら、休日は文字どおり休む。
エネルギー的には、
「日中をできるだけ省エネで過ごす」
ことが肝心なのです。
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心理カウンセラー
MR(メンタル・レスキュー)協会理事長、同シニアインストラクター。1959年、鹿児島県生まれ。防衛大学卒業後、陸上自衛隊入隊。1996年より陸上自衛隊初の心理教官として多くのカウンセリングを手がける。自衛隊の衛生隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルケア、自殺予防、コンバットストレス(惨事ストレス)コントロールについての指導、教育を行なう。2015年に退官し、現在は講演や研修、著作活動を通して独自のカウンセリング技術の普及に努めている。著書に『寛容力のコツ』(三笠書房《知的生きかた文庫》)、『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』(朝日新書)、『「気にしすぎて疲れる」がなくなる本』(清流出版)など多数。
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(心理カウンセラー 下園 壮太)
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