「国が勧めている新NISAには裏があるのでは」お金のプロがいつまでも資産を増やせない人からよく受ける質問
プレジデントオンライン / 2024年5月14日 9時15分
■絶対に儲かる投資法って、あるの?
ファイナンシャルプランナーを名乗っていると、「藤原さん、お金の仕事やっているんだってね、株ってアレだろ……」などと、親しい友人から、さほど親しくない知人に至るまで、プライベートの場で、投資についていろいろと聞かれます。
これが仕事がらみであれば、聞いてくる人は、ある程度は投資の知識・経験があるので、その内容は「相場の見通し」や「投資方法」等と、非常に明確です。
しかし、プライベートとなると、その多くは投資未経験者ということもあって、投資に対する漠然とした思いを、本音で、率直にぶつけてくることも多いのです。
今回は、そんなプライベートで私がよく聞く、投資未経験者の質問に答えてみたいと思います。
「絶対に儲かる投資法って、あるの?」
残念ながら、いわゆる投資必勝法は、ありません。
もしあれば、私が教えてほしいです。
しかし中には、「でも、この投資法では100%儲かっているみたいだが」などと、雑誌やネット記事等を持ち出してきて、さも証拠を突き付けるかの如く、迫ってくる人もいます。
■初心者が騙されやすい投資詐欺の常套手段
ただ、それらの多くは、「一定の限られた条件(相場環境など)のみで通用した手法」、すなわち再現性のないものです。たとえば、「不動産バブル時の不動産投資」や「円安時の外貨投資」など、都合の良い一部分を切り取ったものであるケースがほとんどです。
もしくは、超人的な才能を持った人(それは、ごくまれに存在する)による投資実績のケースです。
それをあたかも、誰でも、いつでも、通用する投資法かのごとくうたっているものは少なくありません。
そしてそれは、投資詐欺の常套手段とも言えます。
なので、そのようなものを見て、「投資必勝法があるかも」と興味を抱いてしまうような人には、「美味しい話には気を付けてください」と言っています。
「投資必勝法があればいいよね~」などと冗談めかして聞いてきながらも、中には、目は本気みたいな人もいますので。
■国が勧めてくるものには、何か裏があるのか
国が勧めている(お得な)制度や商品について、何か裏があるんだろうと、訝る人もいます。
たとえば新NISAについては、「これは財政難の国が、非課税をエサに、国民の資産を吸い上げるためだ」と言ってくる人がいました。
また、かつて個人向け国債が発売された際には、「借金まみれの国の国債なんて、もはや金融機関が買ってくれないから、個人に押し付けるための商品だ」と言っていた人もいました。
ネットの陰謀論などを漁ってきて、国家破綻やハイパーインフレなどを絡めて、アレコレ邪推する人もいるわけです。
そして、それを鼻息荒く、議論をふっかけてくるのです。
国家破綻やハイパーインフレ等の議論については、世間でもいろいろと意見があるところですが、あまりにも鼻息が荒い人の場合には、あまり突っ込んだ反応を示すと火に油を注ぐことになるので(それは面倒)、そこそこに話を合わせてやり過ごしております。
ただ、国家破綻やハイパーインフレ等のワードは、(不安を煽って勧誘してくる)投資詐欺の常套手段とも言えます。
なので、そのようなワードに食いついてしまうような人にも、「美味しい話には気を付けてください」と言っています。
「国家破綻の可能性もあるよね~」などと冗談めかして言ってくるも、中には、目は本気みたいな人もいますので。
■投資をしない人の言い訳とは
株は、まとまったお金が必要だから……(だから、やらない)。これは、私が今までで、一番よく聞いてきた声かもしれません。
ちなみに、これとよく似た声に、「株は、お金持ちがやるものだろう」があります。これらについては、結論から言えば、「いいえ」です。
たしかに、ニトリやキーエンスのように数百万円を必要とする銘柄もありますが、そのような銘柄はほんの一部です。
たとえば、野村ホールディングスは約9万円、ENEOSホールディングスは約7万円、そして日本電信電話(NTT)は約2万円と、数万円程度から購入できます。
実に、全銘柄の3~4割(1500銘柄程度)は、10万円以下で購入できるのです。
また、積立であれば月1万円程度から可能ですし、多くのネット証券では1株単位(通常の売買代金の100分の1)で購入できる制度もあります。
この最低投資額については、ちょっと調べればわかることです。
でも、それをしないで、「株は、まとまったお金が必要(だから、やらない)」と言ってくるということは、投資をしていない自分に対して、投資をしていない言い訳を与えているわけですね。
でもそれは、投資に興味があることの裏返しとも言えますが(まったく投資に興味なければ、何も言ってこないはず)。
■投資で失敗すると自己破産するのか
株で失敗したら、自己破産や、路頭に迷うことになるかも……(だから、やらない)という人もいます。
たしかに、株式投資では、投資資金は最悪ゼロになる可能性もあります。
しかし、投資資金がゼロになったからと言って、「生活資金のすべてを株に突っ込む」「身の丈以上の借金をして株を買う」といった無茶なことをしていない限り、自己破産や路頭に迷うようなことは、まずあり得ないはずです。
そして、そんな無茶なことをする人は、ほとんどいないはずですね。
これはおそらく、株式投資について、かなり(面白おかしく)誇張された話を、もしくは小説・ドラマなどを、断片的に見聞きした人の持つイメージでしょう。
実際、「株=ギャンブル」のイメージで描かれていることは、よくあることです。
そして、これも少し勉強すれば、相当無茶な投資でもしない限り、自己破産などはあり得ないことは分かるはずです。
やはり、前述の「株は、まとまったお金が必要だから……」と同じで、投資に興味があるのに、投資をしていない人ほど、(投資をしていないことを正当化するために)投資をしていない言い訳を見つけるものだなぁ、と感じております。
■意外に多い「NISAを買ってみたいんだけど……」
NISAを買ってみたいんだけど……。
NISAのことを、株や投資信託のような、何らかの金融商品と思っている人もいます。なので、「新NISAを買ってみたい」となるわけですね。
NISA(少額投資非課税制度)とは、「株や投資信託等からの収益が、一定範囲まで非課税となる」制度であって、金融商品ではありません。なので、新NISAを買うことはできません。
投資経験者からすれば、思いもよらない勘違いだと感じるかもしれませんが、投資未経験者からすれば、わりと普通に感じることのようです。
これは、新NISAが話題となり始めた昨年あたりから、よく聞く勘違いです。
そんなプライベートでの声(勘違い)をよく聞くようになってからは、とくに投資未経験者向けのセミナー等では、
NISAとは「入れ物」であって、そこに株や投資信託等の商品を「入れる」ものである。
NISA「を」買うのではなく、NISA「で」買うものである。
と、NISAの制度内容以前に、まずはNISAの位置付けをしっかりイメージとして理解してもらうよう、心がけております。
■お金のプロがモヤモヤしていることとは
それでは最後に、プライベートの場で、私自身、少しモヤモヤしていることについて書いておきます。
それは、聞けば何でも教えてくれるとばかりに、頻繁に、情報のタダ取りをしてくる人です。
もっとも、「ちょっと聞きたいんだけど……」と、たまに聞かれるくらいであれば、こちらも頼られて悪い気はしませんし、できる限りはお答えするようにはしています。
しかし、明らかに度を過ぎての頻度で来られると、困ってしまうわけです。
先日も、「週1回くらいで投資の情報交換をしないか?」と言われました。
情報交換と言っても、その人は投資経験ゼロなので、これはどう考えても、私が一方的に情報を提供するだけなのは、目に見えています。
もともと、そのような人の存在にはモヤモヤしていたのですが、ここ最近、プライベートでの投資絡みの話題が増えるに伴い、そんな情報タダ取りに直面することが増えてきたのです。
■情報をタダ取りする人へ、お金のプロの対処法
そのような(頻繁な)情報のタダ取りは、ほぼ間違いなく、プライベートの場で発生します。
お金が絡むビジネスの場では、情報も有料ということは広く認識されているせいか、仕事関連ではほとんど発生しません(例外もありますが)。身内・友人・知人が相手のプライベートだと、ついつい油断してしまうのでしょうか。
コンサルタント業の方など、とくに無形のサービス提供を生業とされている人の中には、「ちょっと教えてよ」と、頻繁に友人や知人から言われて、(無下に断れないケースも多くて)モヤモヤしている方も多いかと思います。
そんな情報タダ取りにうやむやに対応していては、ずっとモヤモヤしたままです。そして、私もずっとモヤモヤしておりました。
ただ、最近は、プライベートでの投資談義が増えてきたこともあり、度を過ぎるような場合には、「普段、有料で投資相談などをやっていて、もし、無料でやってしまうと、他のお客様に怒られてしまうので、残念ながらできない」といった文句で、ハッキリと断るようになりました。
今のところ、この当たり障りのない断り文句で、上手く断ることができています。
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ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。
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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)
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