業界初、海底・海中と揺れる洋上母船間での水中音響通信による安定した映像伝送を実現
PR TIMES / 2020年11月18日 17時15分
波浪などによる水中音響通信の乱れを自動補正し、安定した映像伝送を実現する技術を実海面で実証
[画像1: https://prtimes.jp/i/17036/438/resize/d17036-438-579824-0.jpg ]
OKI、およびOKIグループの海洋計測、調査に関するコンサルティングから海洋計測機器の開発・販売までを行っているOKIシーテック(社長:中井 敏久、本社:静岡県沼津市)は、2020年10月、波浪によって揺れ動く洋上の母船に対して海底・海中から安定した映像を伝送する、水中音響通信技術を用いた実証実験に成功しました。本実証実験は、波浪が発生する実海面での水中音響通信による映像伝送を実現させたものであり、業界で初めてとなります。これにより、活用が期待される海洋鉱物資源を探査・調査する作業の効率を飛躍的に高めることが可能となります。なお本実証実験は駿河湾内海域において、OKIシーテックの計測船「ひびき」を用いて実施しました。
日本近海には、海底熱水鉱床(注1)、コバルトリッチクラスト(注2)、メタンハイドレート(注3)などの海洋鉱物資源が豊富に存在することが明らかになっており、金属鉱物資源の新たな供給源になることが期待されています。これを受けて、海底・海中の様子を撮影する水中無人機を用いた海洋鉱物資源の探査・調査が広く行われるようになっていますが、従来は探査を終えた水中無人機を洋上の母船に回収してカメラ映像や音響画像などのデータを確認していたため、必要な収集データが得られるまで再探査を繰り返す必要がありました。そこで母船と水中無人機に通信機器を搭載し、収集データを通信する方法がとられていますが、有線で接続する方法では岩陰などの通信ケーブルの取りまわしが煩雑という課題が、また光や電波を用いて無線で接続する方法では、光や電波の水中における伝搬損失が大きいため、一定の距離以上での通信が困難という課題があります。これらの課題を解決する方法として注目されているのが、水中音響通信技術です。
水中音響通信は、音波を利用することにより、光や電波による通信よりも長距離での伝送が可能で、通信ケーブルの取りまわしの問題もありません。しかし、従来の水中音響通信技術では、波浪による母船の揺れによって受信する音波に周波数の変化(ドップラー効果(注4))が生じるため、通信障害などを引き起こす課題があり、波浪に強いロバスト性(注5)を有する技術・機器の開発が求められていました。
このたびOKIシーテックは、琉球大学、沖縄工業高等専門学校と共同で開発したドップラー補正機能(注6)により波浪の影響を補正する、ロバスト性に優れた水中音響通信技術を開発しました。OKIシーテックの計測船「ひびき」を用いて駿河湾内海域で実施した今回の実証実験では、この技術を用いることで、母船が波浪の影響を受ける場合でも、揺れのない環境と同等の通信速度、品質が実現できることを確認しました。これにより、母船の移動や揺れを抑制するためのアンカーリングなどの仕組みが不要となり、かつ水中無人機などの収集データを母船で即時に確認することが可能となるため、効率的な海洋鉱物資源調査の実現に貢献できると考えています。
実験概要
・実験環境:駿河湾内水深約100m海域における鉛直方向通信
・波浪状況:波高0.5m程度(海況(注7)2相当)
・人工的上下動の長さ:1.25m(海況3相当)
・伝送速度:32kbps
・伝送動画の画素数:640×360
・動画圧縮規格:H.265
・画像再生状況:海況3相当環境下で良好再生状況を確認
[画像2: https://prtimes.jp/i/17036/438/resize/d17036-438-967698-1.jpg ]
OKIとOKIシーテックは本技術を、実際の海中の探査・調査で水中無人機が活動する深度で利用できるよう、さらに進化させると同時に、得意とするラギダイズ技術(注8)や水中音響計測主体の専門機器・測定器材を装備した国内唯一の固定式計測バージなどの実験環境を活かしながら、商品開発を進めてまいります。OKIは引き続き、長年にわたり培ってきたコア技術である海洋・音響技術の応用を進め、沿岸監視、海洋資源開発、海洋土木/海洋構造物といった事業領域におけるさまざまな課題解決に取り組んでいきます。
用語解説
注1:海底熱水鉱床
地下深部に浸透した海水がマグマ等により熱せられ、熱水が海底に噴出し、周辺の海水によって冷却される過程で、銅、鉛、亜鉛、金、銀等の各種金属が沈殿してできたもの
注2:コバルトリッチクラスト
深海底に存在する鉱物資源のひとつで、1000m以深の海山の斜面や頂上などの岩盤を皮殻の様に覆い、コバルトを特徴的に含むマンガンクラストの一種
注3:メタンハイドレート
天然ガスの原料であるメタンガスが海底下で氷状に固まっている物質のことで、火を点けると燃えるために「燃える氷」とも呼ばれている
注4:ドップラー効果
音波や電磁波など波の発生源と観測者との相対的な速度によって、発生波の周波数とは異なる周波数が観測される現象
注5:ロバスト性
応力や環境の変化といった外的要因による影響を内部で阻止する仕組みや性質
注6: ドップラー補正機能(特許第6707737号 琉球大学、沖縄工業高等専門学校、OKIシーテック)
水中音響通信において、ドップラー効果により生じる受信音波の周波数変化量を自動的に検知し、変化に応じた補正処理を施すことによって、安定した通信を実現する機能
注7:海況
風浪階級のことで、風浪の程度を示す階級。船や沿岸から見てわかるように定めたもので、気象庁風浪階級表では10階級に分けられている。
注8:ラギダイズ技術
製品などに、耐熱や防水、耐衝撃等の耐環境性を付与すること
沖電気工業株式会社および株式会社オキシーテックは、通称をそれぞれ「OKI」「OKIシーテック」とします。
その他、本文に記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
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