人手不足解消のカギ、「賃上げ」が51.7%でトップ リスキリングによる成長や働きやすい環境の見える化などが課題に
PR TIMES / 2023年5月17日 19時45分
企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケート
ポストコロナに向けた経済活動・社会生活の正常化が急速に進むなかで、企業における人手不足感が多方面で高まり続けている。
帝国データバンクが実施した調査 では、2023年4月において正社員の人手が不足していると感じている企業の割合は 51.4%、非正社員では30.7%となった。4月の人手不足感として、正社員は2006年5月の調査開始以降で最も高い水準となり、非正社員は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染が拡大する前の2019年4月以来4年ぶりの3割超となった。
新型コロナに関する水際対策が2023年4月28日で終了となったほか、5月8日には感染症法上の位置づけが「5類」へ移行したことにより経済活動がさらに活性化している。このため、人手不足感がより深刻化することが予想され、多くの企業で人材確保や人手不足解消に向けた対応が喫緊の課題となっている。
そこで帝国データバンクは、企業における人材確保・人手不足の要因についてアンケートを行った。
<調査結果(要旨)>
『人手が不足していない要因』、「賃上げ」が51.7%でトップ。「働きやすい環境」や「定年延長」が3割台で続く
『人手が不足している要因』、「条件に見合った人材から応募がない」が54.6%でトップ。「業界の人気がない」は4割台に
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/660/resize/d43465-660-1b0ef12995ead44e1986-0.png ]
※調査対象は上場する外食主要100社。各社発表(店頭開示含む)に基づく。対象は、季節限定などを除いた各社定番メニューを主体とした
※対象期間:2023年5月12日~16日
※調査機関:帝国データバンク
人手が不足していない要因、「賃上げ」が51.7%でトップ。「働きやすい環境」や「定年延長」が3割台で続く
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/660/resize/d43465-660-2240aabe7522765f81eb-0.png ]
正社員・非正社員の人手不足の状況とその要因について尋ねたところ、『人手が不足していない要因』では、「賃金や賞与の引き上げ」と回答した企業の割合は51.7%と5割超となり、最も高かった(複数回答、以下同)。
次いで、清潔保持や休憩スペース、社内相談窓口の設置など「働きやすい職場環境づくり」(35.0%)、「定年延長やシニアの再雇用」(31.2%)が続いた。
「福利厚生の充実」(26.6%)、「公平で公正な人事評価」(22.0%)といった成長・安心できる職場に関する項目がそれぞれ2割を超えていた。また、「働き方の多様化やワークライフバランスの推進」や不要業務の削減や業務の簡素化など「業務プロセスの見直しなどによる効率化」(各18.8%)が2割近くとなった。
人手が不足している要因、「条件に見合った応募がない」が54.6%でトップ。「業界の人気がない」は4割台に
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/660/resize/d43465-660-66453ef968913d55dd52-0.png ]
『人手が不足している要因』では、「条件に見合った人材から応募がない」と回答した企業の割合が54.6%となり、最も高かった(複数回答、以下同)。とりわけ、即戦力を求める中小企業ではその傾向が強く、採用に苦難している状況がうかがえる。
次いで、「業界の人気がない」が45.4%、「企業の知名度が低い」が42.2%で続いた。また、長時間労働や3K労働など「労働環境が厳しいと受け止められる」(37.2%)、「賃金や賞与などに満足が得られない」(35.7%)が3割を超えた。
ほかにも、「時間外労働の上限規制や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用」が13.8%となり、国が進めている政策も人手不足の原因のひとつとなったと訴える企業が一定数みられた。効率化等も含む業務の見直しを実施するうえで、残業の削減と賃金のバランスを考慮した働き方改革に取り組むことが急務といえよう。
『建設』『運輸・倉庫』で「労働環境の厳しさ」による人手不足目立つ。『運輸』では「働き方改革」の逆作用も
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/660/resize/d43465-660-33229d93ed31f15d8a48-0.png ]
『人手が不足している要因』について、業界別に全体より10ポイント以上高かった項目をみると、『建設』では、「業界の人気がない」(64.1%、全体比+18.7ポイント)や、長時間労働などを含む「労働環境が厳しいと受け止められる」(58.8%、同+21.6ポイント)などの割合が高かった。
“2024年問題”が差し迫る『運輸・倉庫』では、「時間外労働の上限規制や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用」(32.6%、同+18.8ポイント)のほか、「業界の人気がない」(69.8%、同+24.4ポイント)、「労働環境が厳しいと受け止められる」(62.8%、同+25.6ポイント)などが目立った。また、『小売』は「賃金や賞与などに満足が得られない」など報酬に関する項目の割合が全体を大幅に上回っており、『不動産』は「資格や高度な技術・スキルが必要」、『卸売』は「企業の知名度が低い」が高かった。
<企業からの主な声>
人手が不足していない
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/43465/table/660_1_26181271550dbe1dc32a22f150c7619d.jpg ]
人手が不足している
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/43465/table/660_2_45cd529e76cb5a12b5eb28e2e0a17243.jpg ]
本アンケートの結果、『人手が不足していない要因』では、「賃金や賞与の引き上げ」が5割を超え、最も高かった。次いで、「働きやすい環境」「定年延長等」が3割を超えて続いた。他方、『人手が不足している要因』では、「条件に見合った人材から応募がない」が最も高く、5割を超えていた。次いで、「業界の人気がない」「企業の知名度が低い」が4割台で続き、「厳しい労働環境」「賃金水準」が3割台で並んだ。
人手不足感の上昇に歯止めをかけ、人材確保や人手不足の解消に導く最も重要なカギは「賃上げ」であると考えられ、それを実施しやすい環境の整備が必要であろう。また、賃上げ以外にも『成長・安心できる職場』や『働き方の多様性』など、人材確保・人手不足解消の7カ条(詳細は巻末に掲載)をバランスよく取り組むことが重要になる。特に『運輸』『建設』などの業界に関しては、人手不足がインフラ整備や日常生活に多大な悪影響を与えることが考えられるため、賃上げに加えて、企業間の価格転嫁を促す対策のほか、リスキリングなどによる人材の成長や労働環境、生産性向上に関する公的支援などを通じて、安定的に人材を確保できる基盤づくりが急がれる。
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