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子どもは薄々気づいている「この競争は無駄だ」と それでも手を差し伸べられるのは誰? 桜井信一の攻める中学受験

産経ニュース / 2024年5月11日 10時0分

皆さんは「メンター」という言葉をご存知でしょうか。中学受験塾にはあまり出てこないこの言葉、実はやる気係のことなのです。医学部専門予備校には強力なメンターがいます。講師の良し悪しよりもどれくらい強力なメンターがいるかが合格実績を上げるポイント。医学部専門予備校の隠し球とでもいいましょうか。

大手の予備校にも「チューター」と呼ばれる人がいます。これはお世話係に近い。しかし、メンターはその言葉通り、折れそうになった心をサポートしたり、怠け心が顔を出すとすぐに喝を入れたりします。2、3日様子を見たりしないのです。その日のうちに対処してくるのです。

このメンターさん、私の聞いた話では女性が多い。しかも、タメ口で強烈に怖いらしい。独身が既婚かは不明。そこを聞くと誰かにメンターしてもらわないといけないらしい。

メンターに休みなんてありません。朝から深夜まで働きます。すべての書類に目を通し、全員の成績を把握しています。そして、最後の受験校を決めるのもメンターが先頭に立って判断するのです。

予備校というのはどうしても男女の距離が近くなる。団結して受験に臨むのはいいのですが、行き過ぎると恋に発展してしまう。これを遮るのもメンターの役目。「ワタシですら耐えてるのに何考えてるのっ!あなたたちは受験生でしょ!」とふたりを引き離すメンターもいれば、「オトコはね、胃袋掴むのがコツよ。受験が終わったら料理の勉強でもしなさい」と優しくおせっかいしてくれるメンターもいるのです。

中学受験には、このメンター制度がない。小学生にはあまり強く言えないから他人が関わるのはなかなか難しいでしょう。親がメンターになるのもまた厄介。破壊係になる親が多いのです。

医学部専門予備校は高い。べらぼうに高い。しかし、メンターの存在を考えると、それくらいは仕方ないと思ってしまうそうです。それくらい、うまく受験生を運んでくれるらしい。

ただし、メンターでもどうしようもない子がいます。それは、まるでやる気のない子。親に言われて嫌々来ている子。これはどうしようもないのです。少しのやる気がないと引き出せないし喝を入れることもできない。

中学受験もまるでやる気のない子がいます。これではどんなに良い教材を準備して、良い塾に入れて、親が頑張ってもどうしようもないのです。

さて、どうしてやる気がないのでしょう。いつもここに行きつくわけですが、最初は少しのやる気はあったと思うのです。でも、少し頑張ってみたけどまるで伸びなかった。それどころか勉強はどんどん難しくなる。暗記する量も増えてきたけど、やってない量がとんでもないことになっている。

子どもながらに薄々気づいていると思うのです。「この競争は無駄だ」と。それでも、やめるわけにいかない子どもたちに手を差し伸べてやれるのは現状を把握できる親だけです。

どうか、我が子だけのメンターになってほしい。そうすれば道は開けますから。

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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