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モノレールとロープウエーのハイブリッド 異色の乗り物「スカイレール」が4月末で見納め 時刻表は読み物です

産経ニュース / 2024年4月25日 10時0分

桃花台東駅から延びていたピーチライナーの折り返し用ループ線。撤去工事が行われている

JR山陽線の瀬野駅(広島市安芸区)の前と高台にある住宅団地を結ぶ新交通システム「スカイレール」が4月30日で運行を終了する。懸垂式のモノレールとロープウエーを組み合わせたような乗り物で国内唯一。「スカイレールタウンみどり坂」の住民の足としてだけでなく、独特の乗り心地から、鉄道ファンからも人気があった。しかし、赤字が続いた上、独自規格のため設備維持、更新にコストがかかることなどから、廃止が決まった。

瀬野駅に隣接するみどり口駅から、みどり中央駅までの1・3キロを約6分で結び、途中にみどり中街駅がある。高低差は約200メートルもあり、カーブも急だ。時刻表にも「新交通」としてしっかり掲載されており、7~15分ごとの運行で、運賃は大人170円、小児90円と記載されている。

平成10年に運行開始。神戸製鋼所と三菱重工業が開発したシステム。ほかのニュータウンやテーマパークなどでの採用を目指したが、普及しなかった。

みどり口から山の上にあるみどり中央を目指してみよう。ゴンドラは座席が8席。つり革もついていて定員は25人だが、駅の説明板には37人まで乗れると書いてあった。

乗務員などはおらず、静かにドアが閉まって発車。平均時速は15キロというが、その加速ぶりはスリリングだ。どんどん高度を上げていき、窓から振り返ると、高架の軌道が住宅街を貫く壮大な景色が見えた。

乗り物としては楽しいが、住民にとってはあまり関係ないこと。1日1300人の利用者では採算がとれない。団地内に2駅しかなく、乗車するより徒歩や自家用車で山を下りる人たちは少なくないという。

利用者数のもくろみが外れ、姿を消した新交通システムで思い出されるのが、愛知県小牧市にある桃花台ニュータウンに住民の足として整備された「桃花台新交通」。愛称は「ピーチライナー」だ。小牧駅と桃花台東駅を7・4キロで結び、高架の専用軌道をゴムタイヤの車両が走行した。総建設費313億円かけて平成3年に開業したが、約4万人を予想していたニュータウン人口が2万8千人にとどまり、一度も黒字にならずに18年に廃線となった。

廃線から18年。一部では高架の撤去が進むが、先は長い。撤去について、愛知県尾張建設事務所道路整備課は「全体の事業費、事業期間に関しては現在、精査を進めている状況」と説明しているが、5年前には、撤去には十数年かかり、費用は概算で150億円という試算が出ていた。桃花台東駅にあった折り返し用のループ線は本年度の撤去完了まで、計5億円の費用がかかるという。

スカイレールの代わりに3月30日から、電気自動車(EV)バスの運行が始まった。住民の利便性は確保されているが、ピーチライナー同様、施設の撤去という問題に直面する。廃止とともに「負の遺産」との戦いが始まる。(鮫島敬三)

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