総裁任期延長論、心中穏やかでないポスト安倍の面々
政治山 / 2016年9月12日 17時30分
自民党内で、党総裁任期を連続2期6年から3期9年に延長すべきだとの声があります。現行の党則や総裁公選規程に従うと安倍総裁の任期は2018年9月までで、招致に成功した2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えることができません。また、安倍首相の悲願である憲法改正への具体的な取り組みにも時間的に厳しいと見られます。
リオ・パラリンピックに向けてエールを送る安倍首相(首相官邸フェイスブックページより)
二階幹事長就任で議論が本格化
任期延長論は2014年12月の衆院選直後から出始めました。当初は延長論に慎重とみられていた二階俊博氏は「任期延長は大いに検討に値する」と公言していましたが、今年8月には党幹事長に就任。自身の口から延長論について明言しない安倍首相の思惑を反映した人事と憶測する声もあります。
党総裁の任期は2003年9月に当時の小泉純一郎総裁が再選後、1期あたり2年から3年に延長されました。その後、2005年の“郵政選挙”で大勝すると3期9年の延長論が出ましたが、小泉首相自身が受け入れなかった経緯があります。
任期は過去に何度も変更、連続3選禁止は過去に変更なし
自民党の総裁任期は過去に何度も変更されています。結党した1955年から1972年までは2年、1972年から1978年までは3年、1978年から2003年まで2年、2003年以降は3年――と、2年と3年の変更を繰り返しています。連続選出については1974年以降、総裁公選規程10条により、連続3選を禁じています。ただ、中曽根康弘氏は1986年の衆参同日選大勝により、2期目の任期を1年延長しました。
安倍首相は第1次安倍政権が発足した2006年に第21代総裁となり、2012年9月に第25代総裁に再任され、2015年9月に無投票再選により2期目に入りました。安倍首相以前に総裁が再任されて返り咲いた例はなく、再任についての規定も特にありません。
ポスト安倍の面々から異論が続出
「ポスト安倍」の面々からは任期延長論に慎重な発言が相次いでいます。石破茂氏は「2年先のことなんて誰にも分からない。なぜ今なのか」と異を唱え、岸田文雄外相も「時期尚早」とし、小泉進次郎氏も「なぜ今議論すべきなのか理解できない」と疑問を投げかけています。野田聖子氏も「人気のあった小泉首相も任期を守った。安倍首相も守る人だ」と反対の立場を明確にしています。
一方で、「2年後に何かあってバタバタするのではなく、今できる議論を優先的に処理しておくことは有事の備えでもある」という意見もあります。二階幹事長をはじめとする党執行部は月内にも議論を本格化させる予定で準備を進めています。年内には結論を出し、来年1月に開催する党大会で党則を改正する日程が有力視されています。
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