86歳の母親をトラック運転手の息子(61)と妻(59)が殴り蹴り…死亡。近隣住民が語る一家の謎「母親が住んでいることも知らなかった」「日中は絶えず洗濯機の音が聞こえた」
集英社オンライン / 2024年4月13日 12時8分
育てた息子とその嫁から殴る蹴るの仕打ち……86歳の老婆は死に際になにを思っただろうーー。埼玉県警上尾署は12日、同居する女性(86)に殴る蹴るなどの暴行を加えたとして、自称トラック運転手の山崎雅道容疑者(61)とその妻の無職、牧子容疑者(59)を暴行の疑いで逮捕した。
現場はバブル真っ盛りにできた集合住宅
事件の現場となったのは、JR上尾駅から徒歩25分ほどの距離にある、集合住宅の一室。社会部記者はこう解説する。
「4月11日の午後5時半ごろ、雅道容疑者から『母親の意識がない』と119番通報があり、救急隊員が駆けつけると、母親がトイレで倒れており、その場で死亡が確認された。ほぼ同時刻に妻の牧子容疑者は近くの上尾署に出頭し、事件は発覚。母親の皮膚にはあざのような変色があった」
亡くなった母親は、雅道容疑者と牧子容疑者の3人で暮らしていた。
「ここはバブル真っ盛りの1986年にできた団地(新興住宅)でよ、上尾なら東京へ楽に通勤できるって理由で、当時は若いファミリー層がバンバン移り住んできた。でも今はこの有り様よ。建物の老朽化は進んでるし、当時のファミリーも年老いたからみんな引っ越したり、老人ホームに移ったね。
だから今住んでいるのは年寄りばかりだし、ここら辺は工場も近いから、ここ10年くらいの間に中国やベトナム、タイといった外国人従業員たちの社宅として使われることも増えた。あとはNPO団体が借り上げるという形で、生活保護受給者も多いね。朝になると、作業着を着た外国人が自転車を漕いで出勤していくのも見慣れた光景になったよ」(近隣住民)
間取りの多くは3DKで家賃は平均5万円代。そんな集合住宅で事件は起きた。当日の様子を、容疑者の階下に住む女性(60代)はこう語る。
「夕方の6時前くらいかな? 団地の前に救急車が止まったのですが、ここは高齢者や体の悪い方も多いので、救急車が来ることは日常茶飯事って感じで『まあいつものことだろう』と思っていました。
ところがその後、向かいの棟に住む知り合いから『お前ん家の前、パトカーもいるぞ』と連絡があり異変に気づいたという感じで、外に出たらパトカーが2台に捜査車両みたいなバンの他、消防車まで停まっていたので『え、いったい何が起きたの?』と驚きましたね。その後も警察車両があわただしく行ったり来たりしていたのを覚えています」
別の近隣住民の女性 (50代)は、遺体が運ばれる様子を目撃したという。
「夜の10時ごろに、ご遺体らしきものが運ばれる様子をちょうど見てしまいました。青いビニールシートで包まれて、その上からガムテープでぐるぐる巻きにされていました。それを捜査員らしき2人で運んでいました」
「ちょうど去年の5月ごろに引っ越してきた」
前出の階下に住む女性(60代)、は当日の夜10時ごろに警察の訪問があり「昨夜(11日の午前0時から6時)にかけて誰かを殴ったり変な音が上の階から聞こえてこなかったか?」と聞かれたが、そうした物騒な音が聞こえたことはなかったという。
「もちろん団地ですからドアを閉めたり、ドンドンと歩いたりといった周囲の生活音が聞こえることはあります。それこそ最近は、外国人の居住者も増えたので、夜に窓を開けて会話していて『うるさいな〜』と思うこともあります。
ですが、上の階の人 に対して迷惑だと思ったことありません。もともと2年くらい空き家で、あそこはちょうど去年の5月ごろに引っ越してきたんですけど、これまで誰かを殴るような音なんて聞こえたことは一度もないし、たまに女性の話し声が聞こえるくらい。しいていうなら日中は絶えず洗濯機を回しているような『グルングルン』という音は鳴っていました。
だから『やたら洗濯機を回している家だな』とは思っていました。あと過去に一度だけ、窓から歌謡曲のような音楽が聞こえてきたことはありますが、ふだんは本当に静かだし、昨夜もなにも音は聞こえませんでしたね」
また、近隣に住む50代男性はこう語る。
「去年の夏ごろかな? ポストの前で一度だけ容疑者夫婦を見かけたことはありましたね。本当に素朴な印象で、『こんにちは〜』とこちらが挨拶したら『どうも〜』と返してくれた。それでどこに住んでいるのか外から見ていたら、あの事件があった部屋に入っていった。
だから今回の事件を知ってから、『え、あそこ3人暮らしだったのか』と初めてお母さんも同居していることを知ったんだよ、それくらい付き合いのない家だった」
長年、民生委員を務めている70代の女性は「どうしてこんなことになってしまったのか...」と唇を噛み締めていた。
「なんとなくですが、あそこのご家庭はもしかしたら介護疲れを起こしていて、限界になったんじゃないかな?って思っています。
この団地には高齢の親と一緒に住みながら介護をしているご家庭も多く、認知症を患っている方も少なくありません。もちろん今回がそういった状況だったのかどうか、まだわかっていませんが… 私たちも何か手助けできたんじゃないかと思うと辛いですね」
山崎容疑者らは容疑を認めていて、警察は傷害致死の疑いも視野に捜査をしていくという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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