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【任天堂も注意喚起】スマホやノートPC、ゲーム機が突然充電できなくなる? リチウムイオンバッテリーの正しい取り扱い方

集英社オンライン / 2023年1月6日 10時1分

任天堂サポートによる「充電せずに放置してはいけない」というツイートが話題になったリチウムイオンバッテリー。スマホやノートPCには欠かせない存在だが、正しく取り扱わないと、デバイスが突然利用できなくなることも。ユーザーが管理するうえで気をつけたいポイントについて、おさらいしておこう。

「リチウムイオンバッテリー」って何?

現代では、スマートフォンやノートパソコン、ポータブルゲーム機など、数多くの電子機器が普及しており、こうした製品の大部分が、内蔵型のバッテリーによって駆動しています。こうしたバッテリーには、実にさまざまな種類が存在しますが、昨今の機器で特に多く使われているのが「リチウムイオン二次電池(リチウムイオンバッテリー)」です。




「二次電池」とは、充電可能な電池であることを意味する言葉です。二次電池にはさまざまな金属元素を活用したものが存在しますが、リチウムイオンバッテリーでは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動して充放電する仕組みになっています。

このリチウムイオンバッテリーは高性能である反面、使用上の注意点として知っておきたいこともいくつかあります。ここでは、充電管理の大切さを中心に、そのポイントをおさらいしておきましょう。

ちなみに、紛らわしい言葉に「リチウム電池」がありますが、こちらは一般には、負極に金属リチウムを使った一次電池(使い捨て電池)のことを指します。リチウムイオンバッテリーとは別物なので注意しましょう。

リチウムイオンバッテリーは、スマートフォンやノートパソコンだけでなく、Nintendo Switchなどのポータブルゲーム機などにも採用されている(写真:Shutterstock.com/Proxima Studio)

定期的に充電してあげよう

先日、任天堂サポートのTwitterアカウントが「ゲーム機などに内蔵されているリチウムイオンバッテリーは、あまり長い間、充電も使用もしていない状態が続くと、充電できなくなることがあります。半年に一度は充電してあげてください」とツイートしたことが話題になりました。

このように、リチウムイオンバッテリーを搭載した電子機器は、「定期的に充電する」ことが非常に重要です。

大前提として、使用する機器ごとの注意事項はしっかり読んでおこう。Nintendo Switchの例に関しては、サポートページに注意事項が丁寧に記載されている(https://www.nintendo.co.jp/support/switch/power/warning.html

なぜ定期的に充電しなければならないかというと、バッテリーを安全に使うために、「電池パック」として内部に組み込まれた保護機能が作動するからです。

そもそも、リチウムイオンバッテリーを長時間放置すると「過放電」という現象が生じます。その結果として、バッテリー内部に使用されている銅などの物質が電解質に溶け出して組成が変わると、化学反応によってガスが発生してしまいます。

多くの方は、ニュースなどで電子機器の電池パックが膨張した写真を見たことがあるでしょうし、中には実際に手持ちの機器で体験したことがある人もいるかもしれません。要するに、あの状態はバッテリーが傷んで発生したガスによって、電池パックが膨れているわけです。

膨張してしまったリチウムイオンバッテリーの電池パックは、火災などの事故に繋がるリスクを孕みます。これを防ぐため、ある程度バッテリーが放電し続けた場合、それ以上放電しないように放電経路が遮断されるのです。

反対に、電池容量が100%を超えているのに、さらに充電しようとしてしまう「過充電」という現象も存在します。こちらもガスの発生や発熱などにつながるため、電池パックの保護回路によって制御されています。

もちろん、「リチウムイオンバッテリー」という概念は間口がかなり広いもの。製品によって、化学的な構成や、制御する仕組みもさまざまでしょう。上述した仕組みの例は、あくまでも概念を理解するための一助として捉えていただければと思います(たとえば、過放電を抑制する仕組みがない場合には、機器の電源を切ったり、機器からバッテリーを取り外して湿気の少ない場所で保管するなどの対策が必要な場合もあります)。

劣化させずに使うためポイント

電子機器は長く使っていると、徐々に電池容量が少なくなっていきます。
リチウムイオンバッテリーが劣化するのは、①主に通電したとき、②時間が経ったとき、③温度が高いときの3つです。

1つ目の「通電したとき」は、日常的に使ううえで基本的に避けようがありません。放電と充電を繰り返せば、その分バッテリーは劣化していきます。厳密にはバッテリーの仕様や、端末・充電器が備える制御機構によっても変わるところですが、リチウムイオンバッテリーを採用している最近のデバイスでは、「容量を使い切ってから充電したほうがよい」「中途半端な容量で充電するとバッテリーによくない」といったことは、基本的に考えなくてOK。神経質になりすぎず、好きなタイミングで充電しましょう。

ちなみに、「継ぎ足し充電がNG」なのは、リチウムイオンバッテリーが普及する以前に使われていた「ニッケル水素電池」で知られていた作法です。こちらは残量を使い切らずに充電すると、使える電池容量が少なくなる「メモリー効果」という現象がありました。

2つ目の「時間が経ったとき」も避けようがありませんが、ユーザーが使用方法を工夫することで、劣化を緩やかにすることはできます。たとえば、デバイスやバッテリーを長期間使用しない場合には、バッテリーを100%の状態で保存するのではなく、40~80%程度の容量にしてから保存しましょう。これで経時劣化を最小限に抑えられます。

3つ目の温度が高いときの劣化についても、ユーザーの工夫である程度避けられます。たとえば、充電しながらの操作は、バッテリーを傷める原因になりやすいとされています。スマートフォンで充電ケーブルを挿しながら、処理の重いゲームを長時間プレイしたりすると、バッテリーの最大容量が減るスピードが早まる可能性があるので、注意しましょう。ほかには、炎天下などの高温環境下などに放置したりするのもバッテリー劣化を早めるので、避けたほうがベターです。

また、ストーブの近くやこたつの中などの高温下で充電したり、炎天下の車内に放置したりすることは、発熱・発火などの原因になることがあるとされています。絶対にやめましょう。

ちなみに、氷点下など気温が極端に低いときにバッテリー性能が急に悪くなる現象もありますが、これは基本的に一過性のものです。

気温が戻れば、バッテリー性能も元に戻ります。ただし注意したいのは、気温が低い状態で無理にバッテリーを急速充電しようとすること。これはバッテリーを劣化させますので、避けてください。

これだけは覚えておきたい3つのポイント(図は筆者作成)

リチウムイオンバッテリーは、こうした複数の要因が組み合わさって徐々に劣化してくものです。たとえば、長期的に利用したいノートパソコンなどでは、現実的に、定期的にメーカーなどにバッテリーの交換を依頼することになるでしょう。

ただし、充電しながらの使用をなるべく控えたり(ポータブル使用にも対応した家庭用ゲーム機などでは難しいかもしれませんが…)、氷点下での急速充電を避けたり、ポータブル電源などを長期間放置するときには40~80%にしてから保存したりと、ユーザーが工夫できることも多々あります。

現代に必要不可欠な存在となったモバイルデバイス。長く快適に使い続けるためにも、リチウムイオンバッテリーの正しい知識を頭に入れておくとよいでしょう。


文・写真/井上晃

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