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ウェッブ宇宙望遠鏡で捉えた超新星「SN 1987A」の残骸 爆発から35年後の姿

sorae.jp / 2023年9月8日 21時0分

こちらは「かじき座」(旗魚座)の方向で1987年2月に発見された超新星「SN 1987A」の残骸です。約16万8000光年先の大マゼラン雲(大マゼラン銀河)で発生したSN 1987Aは、当時岐阜県の神岡鉱山跡で稼働していたニュートリノ検出器「カミオカンデ」によってニュートリノ(超新星ニュートリノ)が検出されたことで知られています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された超新星「SN 1987A」(Credit: NASA, ESA, CSA, M. Matsuura (Cardiff University), R. Arendt (NASA’s Goddard Spaceflight Center & University of Maryland, Baltimore County), C. Fransson (Stockholm University), J. Larsson (KTH Royal Institute of Technology), A. Pagan (STScI))】

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された超新星「SN 1987A」(Credit: NASA, ESA, CSA, M. Matsuura (Cardiff University), R. Arendt (NASA’s Goddard Spaceflight Center & University of Maryland, Baltimore County), C. Fransson (Stockholm University), J. Larsson (KTH Royal Institute of Technology), A. Pagan (STScI))】

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で2022年の9月1日と9月2日に取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています(※)。

※…この画像では1.5μmと2.0μmを青、1.64μmをシアン、3.22μmを黄、4.05μmをオレンジ、4.44μmを赤で着色しています。

ウェッブ宇宙望遠鏡を運用するアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、ここに写っているのは爆発から35年が経過したSN 1987Aの残骸で、中央の明るいリングとその上下にある2つの淡いリングが砂時計のような形を描き出しています。中央のリングは爆発した星から超新星爆発の数万年前に放出されたとみられる物質で構成されていて、爆発の衝撃波が到達したことで生じた幾つものホットスポットが明るく見えています。

中央のリングの内側には鍵穴のような形をした構造があり、その中心には爆発時に放出されたガスと塵が非常に高い密度で塊状に集まっているとみられています。赤外線には塵に遮られにくい性質があるものの、塊状に集まった物質の密度はウェッブ宇宙望遠鏡が捉える近赤外線でも透過できないほどの高密度だといい、画像では水色の領域の中心部分に小さな暗い穴が生じたように見えています。

STScIによれば、SN 1987Aのリングや鍵穴といったこれらの構造は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」などの観測でも捉えられていましたが、ウェッブ宇宙望遠鏡による観測では鍵穴を取り囲むような三日月状の構造が新たに捉えられました。この構造は超新星爆発時に放出されたガスの外層の一部ではないかと考えられています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された超新星「SN 1987A」(注釈付きバージョン)(Credit: NASA, ESA, CSA, M. Matsuura (Cardiff University), R. Arendt (NASA’s Goddard Spaceflight Center & University of Maryland, Baltimore County), C. Fransson (Stockholm University), J. Larsson (KTH Royal Institute of Technology), A. Pagan (STScI))】

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された超新星「SN 1987A」(注釈付きバージョン)(Credit: NASA, ESA, CSA, M. Matsuura (Cardiff University), R. Arendt (NASA’s Goddard Spaceflight Center & University of Maryland, Baltimore County), C. Fransson (Stockholm University), J. Larsson (KTH Royal Institute of Technology), A. Pagan (STScI))】

SN 1987Aを起こした星は中性子星を残したと考えられていますが、実際に中性子星が誕生したのかどうかはまだ確認されておらず、SN 1987Aには幾つかの謎が残されているといいます。ハッブル宇宙望遠鏡やX線観測衛星「チャンドラ(Chandra)」などとともに、ウェッブ宇宙望遠鏡によるSN 1987Aの観測は今後も継続的に行われるということです。

ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCamで観測したSN 1987Aの画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)、STScIから公開されています。

 

Source

Image Credit: NASA, ESA, CSA, M. Matsuura (Cardiff University), R. Arendt (NASA’s Goddard Spaceflight Center & University of Maryland, Baltimore County), C. Fransson (Stockholm University), J. Larsson (KTH Royal Institute of Technology), A. Pagan (STScI) NASA - Webb Reveals New Structures Within Iconic Supernova ESA/Webb - SN 1987A (NIRCam image) STScI - Webb Reveals New Structures Within Iconic Supernova

文/sorae編集部

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