月が星を食べる!?9月22日は「アルデバラン星食」が起こる!
sorae.jp / 2016年9月17日 15時15分
今月の22日、秋分の日に、日本で白昼の「アルデバラン星食(せいしょく)」が見られます。
しかし、おうし座の1等星アルデバランはまだ名が知れていても、星食は聞いたことのない方が多いのではないでしょうか。そこで日本ではまだまだマイナーなこの現象について、学生ライターの私が「ゼロから楽しむ天文」をコンセプトに紹介します!
「星食」とは~日食も星食も同じ掩蔽(えんぺい)現象~
月は地球の周りを一周27.3日かけて公転しており、その運行の途中で背後に星を隠すときがあります。それを「星食」と言います。
これは掩蔽(えんぺい)現象の一つであり、星食は月による恒星の掩蔽(えんぺい)です。
掩蔽とは、覆い隠すこと。月が恒星を掩蔽すると星食、太陽だと日食と言います。地球の影が月を隠せば月食です。他にも恒星が恒星を掩蔽すると食変光星など、それぞれ呼び名が違ってきます。
つまり掩蔽現象は組み合わせによって名前が変わり、その一部の組み合わせが日食、月食として有名になっているのです。
実は天文学を支えてきた星食観測~古代から現代まで~
星食は遥か昔から観測され、さまざまな宇宙の秘密を明らかにするために用いられてきました。
世界初の星食の記録は紀元前357年、アリストテレスが残した火星の星食の記録と言われています。1497年にはコペルニクスが今回見られるアルデバランの星食を記録しています。
また、日本最古の記録は640年、日本書紀で舒明(じょめい)天皇がこれまたアルデバランの星食を記録しています。
星食観測の結果は過去、月の運動を調べる、地球自転速度の不整を求める、観測地の経緯度を求めるなど様々な研究に使われました。海上保安庁も、精密な天体暦や航海暦の作成に用いていました。
現在はGPSや月レーザー測距などが代わりに使用されるようになりましたが、恒星の座標の誤差測定や新しい重星の発見などでは今でも重要な役割を担っています。
星食を見たい~チャンスは一瞬~
さて、22日に見られるアルデバラン星食。
午前8時29分潜入(恒星が月に隠れていくとき)、午前9時19分出現(恒星が月から出てくるとき)です。
月は地球に近いため大きく明るく見え、一方背後に隠れる恒星は遥か遠くにあり小さく見えます。そのため月の暗い方の縁(暗縁)側が、正確な観測がしやすいと言われます。
満月前は暗縁側で潜入、満月後は出現が起きますが、今回は満月後なので出現が見やすいときですね。
夜の観測が最も分かりやすいですが、アルデバランは明るい1等星のため、昼間でも空の条件が良ければ小型の望遠鏡でも観測できます。
天文年鑑や月刊の天文ガイドには星の予報が載っています。今回は出現が見やすいので正確な時刻を知り、望遠鏡を構えて出てくるアルデバランを確認しましょう。頑張って潜入観測に挑むのも素敵ですね。
現象の進行が分かりやすい日食などと違い、恒星はパッと消えてパッと現れるそうなのでよくよく注意して観測することをおすすめします。
最後に、「星食」についての要点をまとめてみます。
星食とは、月が恒星を背後に隠す現象のこと 現在も天文学では研究に用いられる重要な現象である 明るい星の星食は、昼間でも個人で観測可能いにしえの賢人も眺めた「星食」。
あまり有名でない現象だからこそ、知ればまた一つ宇宙に近づけた気がしませんか?
今月も宇宙(そら)を見上げましょう!
Imege Credit: Sorae.jp
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