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取引先が破産の申立て!貸倒損失として計上できるタイミングは?(松嶋洋)

相談LINE / 2016年8月1日 19時0分

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債権が法律上切り捨てられた場合には、その切り捨てられた債権について、貸倒損失が認められます。法律上切り捨てられた、という要件については、法人税の通達において、以下のいずれかの場合を言うとされています。

■「破産の申立」だけでは貸倒損失とは認められない!

(1)会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられた金額
(2)法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられた金額
(3)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額

ご覧いただくと分かりますが、資金繰りに問題がある債務者に一番多いと思われる破産の申立てがあった場合は、この要件に該当しません。このため、破産の申立て段階では、貸倒損失は認められません。

■貸倒損失が認められるタイミングは「破産の終結決定の時点」

破産した債務者に対する金銭債権については、破産の終結決定がなされた段階において、貸倒損失が認められるとした事例があります。このため、単に破産の申立てをしただけでは、貸倒損失は認められず、原則として終結決定まで待って経費とする必要があります。

なお、破産の申立てがあった場合には、個別評価金銭債権として、50%の貸倒引当金を法人の経費とすることになります。

■破産した債権者の状況を見ておかないと損をする可能性も…

本コラムでも取り上げましたが、原則として、貸倒損失のタイミングは一義的に決まりますので、会社の任意のタイミングで貸倒損失を計上することはできません。となれば、破産の申立てがあった場合には、破産の終結決定がなされた段階で経費としなければなりませんので、破産した債務者の状況についても絶えずキャッチアップしておく必要があります。

なお、先の事例ではこのようなキャッチアップを債権者である会社で行うことが難しいこともあるため、終結決定の段階まで把握することは現実問題としてできない、といいた反論を納税者がしていますが、その反論は国税不服審判所からは受け入れられていません。

となると、税金の時効である5年を経過した後になって、破産の終結決定がなされたことを知った場合には、永久に経費とすることができないという憂き目を見るため、注意してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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