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「マイナンバーの記載が必要な法定調書」ーー無記載はどうなる?(松嶋洋)

相談LINE / 2016年8月23日 20時0分

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大きな混乱が生じているマイナンバー制度ですが、税理士などの支払報酬などについて、支払先のマイナンバーを確認し、そのマイナンバーを記載した法定調書を税務署に提出する必要があります。
ここで問題になるのが、マイナンバーの提供を受けられない場合の取扱いです。制度に対する不信感が非常に強いですので、支払先によっては、マイナンバーの提供が受けられない、といった事態も生じると想定されます。

■国税庁の見解は?

マイナンバーの提供を受けられない場合の取扱いとして、国税庁は以下の見解を示しています。

(1)マイナンバーの記載のない法定調書であっても、税務署は提出に応じること
(2)マイナンバーの提供を支払先に粘り強く求めたが、支払先が提供に応じない旨を記録しておくこと

この点、番号法においても、マイナンバーを収集できなかったとしても、罰則はないとされています。

なお、提供すべき従業員などについて、マイナンバーを提供しなかったとしても、罰則はないとされているようです。

ただし、罰則はないとしても、法律上は問題が残ることになりますので、マイナンバーを収集できるよう、社内の整備などは必要になります。

■実際はどうなる?

マイナンバーの提供を受けられない場合、粘り強く求めた旨を記録するようになっていますが、実際のところどの程度要請すれば粘り強く求めたことになるのか、明確なものは見つかりません。このため、ケースバイケースで国税職員がチェックすることになると考えられます。

しかしながら、国税職員としても明確な基準がない以上、そこまで厳格なチェックはせず、書面が残っていれば原則として問題ないと判断するのではないか、と考えられます。

となれば、マイナンバーを提供しない方が企業にとっても支払先にとっても望ましい、といった逆説的な結論になってしまう可能性があります。

■制度が維持できるか?

このように考えていくと、マイナンバー制度が有用に機能するかどうか、大いに疑問があります。何より、マイナンバーカードの発行にも時間がかっているという体たらくもあります。

課税の公平の実現のためには必要な制度ですので、信頼を高めるために、国にはより一層の努力が必要と考えます。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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