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役員退職金を支給して経費にするなら、月額の役員報酬は徐々にあげるべき

相談LINE / 2017年1月27日 20時0分

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平均功績倍率法によって役員退職金の適正額を計算することが通例ですが、この時によく問題になるのが、一時的な資金繰りや経営状況の都合によって、退任時に退職する役員の月額報酬を下げている場合があることです。
平均功績倍率法は、退任時の月額報酬にその役員の功績の度合いが最も反映されているということを前提とする、いわば年功序列的な考えで仕組みが設けられています。このため、上記のような一時的な理由による減額があれば、その役員の功績を反映しているとは言い難いため、適正と認められる過去の報酬月額、例えば最高報酬月額で計算できるかどうかが問題になります。

■最終を使わないと問題が残る

この点、必ずしも明確ではありませんが、最終報酬月額以外の報酬金額を使って平均功績倍率法を適用することに、裁判所や審判所は否定的な傾向があります。といいますのも、このような場合には大前提として平均功績倍率法を適用することが不適切であるため、平均功績倍率法を適用することができず、他の計算方法で適正額を計算せざるを得ない、と判断している事例が多いからです。

平均功績倍率法以外の方法として、一般的には以下の1年当たり平均額法が認められています。

役員退職金の適正額=類似法人の役員退職金の1年当たり平均額×勤続年数

この算式をご覧いただくと分かる通り、類似法人の平均額と言っても、その実納税者にはわかりません。しかしながら、これを基に裁判所や審判所は適正額を計算すべきと判断することが多くありますから、慎重な対応をする必要があります。

■直前の増額も危険

このため、役員退職金の支給を考えるのであれば、貰いたい金額から逆算し、徐々に役員報酬を増額させる必要があります。この点、退職直前に報酬を増額し、平均功績倍率法により計算される適正額を増額させて役員退職金を支給した裁決事例がありますが、審判所は役員報酬の増額に合理性がないとして、この場合の計算を否認しています。

このため、少しずつ増額させるべきですが、増額させるとなると、役員退職金ではなく支給する役員報酬の金額が、そもそも役員の功績に見合ったものかどうかチェックされます。このような事情もありますので、増額理由も明確にした上で行う必要があります。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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