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大量閉店「サンマルクカフェ」が陥った“想定外の事態”。地方と都市部で異なる課題に苦しむハメに

日刊SPA! / 2024年3月30日 8時53分

また、セントラルキッチンを持たないビジネスモデル「ファブレス」での展開を基本軸としているのも特色。グループ店舗で提供するパンについては、製パン大手「タカキベーカリー」が提供する冷凍パン生地を使うことで、焼き立てを提供できる体制を取っています。セントラルキッチンでの大量生産で高収益化を狙う他の飲食大手とは異なる体制です。店内調理を基本とすると厨房の負荷が高くなってしまいますが、徹底したマニュアル化で効率化を図っているようです。

◆駅前・SC立地が足かせに…405店舗が333店舗に減少

高利益率を維持していたサンマルクHDも、コロナ禍では大幅に業績が悪化しました。必需性の低いカフェ・レストラン業態であるほか、駅前や商店街、SCなどの商業施設を主な出店立地としていたためです。2020年3月期から23年3月期の業績は次の通りで、特に21年3月期、22年3月期は商業施設の休業や時短営業の影響も受けました。

【サンマルクHD(2020年3月期~2023年3月期)】
売上高:689億円→440億円→477億円→578億円
営業利益:41.6億円→▲40.,4億円→▲35.8億円→2.4億円
売上高(レストラン事業):358億円→233億円→263億円→334億円
売上高(喫茶事業):311億円→195億円→212億円→245億円
総店舗数:932店→864店→839店→793店

主力とするサンマルクカフェの閉店が著しく、20年3月期末から23年3月期末にかけて店舗数は405から333店舗へと減少しています。22年3月期から26年3月期を想定した中期経営計画では当初、不採算店を閉鎖しつつも鎌倉パスタを筆頭にレストラン事業の店舗を増やす計画を発表していました。26年3月期末時点でグループ950店舗という目標です。ただ、不採算店の閉鎖は進んだ一方で、消費活動の回復は当初予想よりも遅く、総店舗数は上記の通り減少し続けています。

◆以前の高収益体制に戻るも、拡大は難しい?

規模は縮小したとはいえ、不採算店の閉鎖により収益性は改善した模様です。直近24年3月期3Q時点で1店舗当たりの売上高はコロナ禍以前の98%まで回復しています。24年3月期通年では売上高630億円、営業利益20億円を予想しており、売上・収益ともに改善しているようです。営業利益10%台となっていた以前の高収益体制に戻るのも近いでしょう。

ですが、店舗数の拡大についてはいくつかのハードルがあります。中計では従来通りの出店に加え、郊外立地を模索すると記載されています。しかし地方や郊外におけるサンマルクカフェの知名度はあまり高くはありません。そして、縮小が続いた都市部では拡大の余地が無いのが現状です。

鎌倉パスタについてはパスタ1品あたり概ね1,100~1,400円という決して安くはない価格帯が足かせとなります。外食各社の値上げが続く中、利益率に目をつむって値下げする、またはセットで何かを付けてお得感を出すといった施策で集客し拡大できそうですが、同社が目指してきた高収益体制に反する施策です。

以上のことからして、既存業態で拡大するのは難しいというのが、筆者の見立てです。

<TEXT/山口伸>

【山口伸】
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_

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