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刑務所ライブ500回超。“受刑者のアイドル”仕掛け人の信念「車と家を売って資金を捻出」

日刊SPA! / 2024年4月28日 8時53分

 自分が困っているときに、必ず誰かや社会の仕組みが助けてくれたから、私も誰かの役に立ちたいという思いはずっと持っています。受刑者の過去の行いは決して許されることではありません。しかし犯罪に至るまでには、本人が何かに困窮して、しかも誰からも手を差し伸べられなかった不幸な状況があったと思うんです。そういうものを何とかできないかな、とは常に考えています」

◆活動費用のために「車や家を売却した」

 プリズンコンサートで全国の刑事施設などを巡る交通費は、当然自腹だ。さらに、プリズンコンサートは無償で行われる。費用の捻出はどうしているのか。

「金銭的にはいつも苦しいですよ。ただ、Paix2をメジャーデビューさせる時点で、それはわかっていました。だから私は、2人に『社会貢献の一環として活動するから、正直、お金にはならない。それでも歌手になった以上、地球に引っ掻き傷くらいは付けて生きた証を残そうよ。せっかくこういう道筋が出来たんだから継続してプリズンコンサートをやろう』と話し、同意してもらいました。

 ありがたいことにスポンサーを名乗り出てくれる人や、さまざまな地域に住む知り合いからのご好意で、今の活動が成り立っています。きれいな話ばかりではなく、信じていた人に裏切られて多額の借金を抱えたり、足元を見られて恫喝されたことも一度や二度ではありません。ただそれ以上に、活動に賛同して支えてくれる人が多いことに、私自身が救われます。もちろん、私はPaix2の活動費用の捻出にあたって、それまで乗っていた車を売却し、生命保険を解約し、自宅も売却して、全額を充てています。

 受刑者を慰問するというのは、物見遊山ではいけません。人生すべてを賭して本気で向き合わずして、伝えられることは何もありません。また、それぞれの被害者となった方々にも失礼です。覚悟があったから、注目されない時期でも腐らずに続けてこれたと思っています」

◆出所して社会で頑張っている姿に「胸が熱くなる」

 20年以上精力的に傾けたプリズンコンサートによって、受刑者の間でPaix2は確かな知名度を得た。当然、彼らとの交流も生まれる。なかには深く印象に刻まれる人もいるという。

「ありがたいことに出所後、ライブに足を運んでくれる方も大勢いて、皆さんが社会で頑張っておられる姿を見ると胸が熱くなります。ある元受刑者の方からご連絡をいただき、お目にかかることになりました。ライブにも熱心に通っていただいていたあるとき、ぱたりといらっしゃらなくなりました。すると一通の手紙が刑務所から届きました。また罪を犯してしまったことを謝罪する内容の手紙でした。私の周りには、相手にするのを辞めたほうが良いという人もいました。けれども、私は放っておくのは違うと思ったんです。

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