アイドルの衣装のスタンダード“制服ふう”衣装、いつから始まった!?
日本タレント名鑑 / 2017年8月29日 10時25分
9月には“生誕25年祭”ライブを行う制服向上委員会
AKB48グループや乃木坂46を中心に、大人数アイドルグループの衣装として“制服ふう”衣装は今やスタンダードなものになってきています。中高生世代のメンバーが中心のグループにおいて、制服衣装はその魅力をさらにアップさせるのに効果的なアイテムだといえます。このアイドルグループの制服衣装は一体いつ頃から始まったのでしょうか。
大人数グループの先駆け「おニャン子クラブ」 放課後の女子高生のイメージながら制服の歌衣装は…
制服衣装は、10代の女の子の可愛らしさ、清楚さを際立たせ、主に男性ファン心をくすぐる要素は大きく、女子中高生世代中心のアイドルグループにとっては、キラーアイテムと言えます。大人数のグループの場合、必ずしも全員が美人タイプじゃないとしても、“制服マジック”で可愛く見えるという効果もあります。
大人数アイドルグループの先駆け的な存在が1985年にデビューした「おニャン子クラブ」でした。おニャン子クラブは、現在AKB48グループのプロデュースを手掛けている秋元康さんが作詞や企画を行っていたグループとしてよく知られています。
おニャン子クラブがレギュラー出演していたテレビ番組『夕やけニャンニャン』は、女子高生の放課後の“ワチャワチャ感”が魅力で、デビュー曲の『セーラー服を脱がさないで』をはじめ楽曲も女子高生たちの日常をちょっときわどいアプローチで描いたものが多かったです。歌衣装はメンバー揃いのものでしたが、「セーラーズ」などユニフォーム的に着用していたブランドの衣装が中心でした。
ジャケットでは2ndシングル『およしになってねTEACHER』や3rdシングル『じゃあね』などでメンバーが制服姿で登場していますが(『じゃあね』は女子大生スーツふう)、歌衣装ではありませんでした。番組の企画や雑誌の撮影などで制服姿になっていたり、派生ユニットで二人組の「うしろゆびさされ組」が、主題歌を担当したアニメのキャラクターをイメージした制服で歌っていたことはあります。
本格的に制服を歌衣装に取り入れたのは1992年結成の「制服向上委員会」
おニャン子クラブが1987年に解散して以降は、同じくフジテレビの番組発のグループのCoCoやribbonなどが頑張っていましたが、次第に“アイドル冬の時代”と言われるようになりグループアイドルの人気は下火になりました。そんな“冬の時代”の真っ只中の1992年に結成されたのが「制服向上委員会」。
その名の通り、制服を可愛く向上させることを目標に翌93年にデビューしましたが、ライブやテレビなどで歌う衣装は制服姿ということが当時はとても斬新でした。“清く正しく美しく”を活動スローガンとし、ライブなどの歌手活動のほか、社会問題に関する活動やボランティア活動も並行して行っています。
現在のAKB48グループらは制服衣装で激しいダンスを踊るのが見どころで、スカート丈はかなり短く、チアリーダーのようにスカートの中が見えるのが前提のダンスや振付になっているように思えますが、制服向上委員会の場合は、初期の頃は振付はマスゲームや行進をイメージさせるものが目立ち、その後ロック調の曲などで激しい振付のものも増えていますが、その動きにはおしとやかさ、慎ましさが根底にあります。
制服向上委員会は結成から25年たった現在も活動継続中で、女子アイドルグループとしては最長寿のグループとなっています。現在もライブをはじめ活動にあたっての衣装は制服で、スカート丈や着こなしなどあくまで清楚で、かつ、いかにもステージ衣装というより、実際の学校制服にしてもおかしくない、リアルな制服姿で活動しているのが特徴です。この9月には“生誕25年祭”ライブを行います。
AKB48の登場以降“アイドル戦国時代”で制服衣装は花盛り
“アイドル冬の時代”に終わりを告げたのがモーニング娘。の登場です。彼女らを輩出しデビュー後も出演していたテレビ番組『ASYAN』で制服ふう衣装を着て出演することもありました。
その後は『one・two・three』(2012年)などで制服ふう衣装を着用していますが、歌衣装としてはそれほど多くありません。ですがCMや写真集、雑誌の撮影で制服姿になることが多く、女子中高生らしい魅力を振りまいていました。
そして、AKB48が2006年にデビューして以来、制服ふう衣装で活躍。デザイン的に斬新であったり、スカート丈がかなり短かったり、華やかさと制服の清楚さとを融合したような衣装でのステージパフォーマンスで、ファンを惹きつけています。その後登場したSKE48、HKT48、NMB48ら姉妹グループもやはりAKB48を踏襲したような制服衣装が多いです。
一方、2011年に結成で“公式ライバル”として登場した「乃木坂46」や、その姉妹グループ「欅坂46」は、AKB48グループと比べるとスカート丈が長めで、比較的お嬢様的なイメージとなっています。楽曲の方向性や振付についてもお嬢様ふうの乃木坂46に対して、欅坂46は歌詞の内容や振付が激しいものが多く、それが対照的です。
それ以外でも、現在は制服ふう衣装で活躍しているアイドルグループは数多く存在しています。「SUPER☆GiRLS」は歌衣装やMVなどで制服ふう衣装を着用することもありますが、華やかさのある制服でどちらかといえばAKB48グループに近いイメージ。また成長期限定ユニット”として独自のスタンスで活動する「さくら学院」はライブ衣装は制服が多いですが、メンバーは小中学生のためパフォーマンスはあくまで清楚さと元気さが特徴で、制服もかなりリアルのもので、上記・制服向上委員会に近いものがあります。
女子中高生の制服姿は男性にとっては永遠の憧れで、年をとってもアイドルから卒業しないファンが数多い中では、そのニーズはなくなることはないでしょう。一方、アニメなどの影響で2次元チックな可愛い制服が好きな女性も増えており、それをリアルな可愛い女の子が着ている姿を好むというケースも目立ちます。華やかなもの、アニメチックなものから、清純な雰囲気の衣装、リアルなものまで、さまざまなバリエーションの制服衣装を着たアイドルグループが今後もシーンを盛り上げてくれることでしょう。
文/田中裕幸
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