エスビーら、持続可能なスパイス・ハーブの栽培を検証。“湿度”で育てる特許技術活用
Techable / 2022年8月3日 11時0分
エスビー食品株式会社(以下、エスビー)は、株式会社CULTIVERA(以下、カルティベラ)と共同で、超省資源型栽培の実証実験を「S&B忍野試験農場」にて開始。持続可能なスパイスやハーブの調達を目指します。
植物元来の力を引き出し、湿度で育てる同実験で活用するのは、カルティベラが有する特許栽培技術「Moisculture(モイスカルチャー)」。水と土の消費を抑えながら“湿度で育てる”という栽培方法です。
具体的には、特殊なファイバーを通じて水分を気化させ、高湿度の栽培空間を作ります。ここで栽培することで、植物の「毛細根(水分・養分を効率的に吸収する細い根っこ)」を活性化させるといいます。
毛細根の活性化により、栽培に必要な水と土の削減および農業排水ゼロを実現。また、湿度(生育環境)を常に調整できるため、栄養価が高く食味の良い作物をさまざまな環境条件下で育てられるというメリットもあるようです。
ちなみにカルティベラは、同技術を活用した“ポモナファーム”を運営しており、トマトなどを生産しています。
わさびでは良い傾向を確認この栽培技術を、エスビーの試験用施設「S&B忍野試験農場」に導入。最初に検証対象となったわさびでは、栽培時の水分コントロールで栄養が均一にいきわたりムラなく成長する傾向が見られたといいます。
そこで、同技術をパクチーやチャービルなどのハーブに適用すべく、今後検証を重ねていくとのこと。また、スパイスやハーブの機能性成分のコントロールについても期待しているようです。
迫りくる水資源不足解消に期待近年、人口増加に伴う世界的な食糧危機が取り沙汰されていますが、水資源に関しても深刻だといいます。国際連合の報告によると、2030年には人が必要とする水に対して40%不足すると予測されているようです。
そこで着目したいのが農業用水の節水。世界の淡水の69%は農業に利用されていると言われているため、農業用水を節約することは水資源確保という観点で大いに意味があるでしょう。
それを実現する「Moisculture」を活用した栽培方法は、水資源不足に待ったをかけるかもしれません。また、土の消費が少なく気候の影響も受けないため、農業に不向きな地域での栽培にも活用できそうです。
エスビーは今後、スパイスやハーブの持続可能な調達について国内で知見を深め、将来的に世界中のサプライヤーと連携していきたいとしています。
PR TIMES
株式会社CULTIVERA
(文・Higuchi)
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