投資初心者のNG思考!大失敗の最大の理由は…
トウシル / 2021年3月11日 6時0分
投資初心者のNG思考!大失敗の最大の理由は…
勉強熱心な初心者投資家。でも…
2020年春のコロナ・ショックによる株価急落後、株式投資を新たに始めようとする個人投資家が増えています。ネット証券各社の新規口座開設数もコロナ前に比べて大きく伸びているようです。
初心者投資家の最近の傾向は「勉強熱心でしっかりしている」という点です。
以前は、株式投資を半ばギャンブル的にとらえて、ネット、SNS(交流サイト)などで影響力のある個人投資家たちの「この株は上がる!」といった書き込みをうのみにして何も考えずに投資してしまう、というケースがとても多かったです。
しかし最近は、筆者が講師を行う株式投資セミナーにも、初心者の方が数多く学びにきていただいています。さらに、筆者の著書の売れ行きもコロナ・ショック後の方が明らかに伸びていることから、多くの個人投資家がしっかりと学んだ上で株式投資に向き合おうとしているのだと強く感じます。
このこと自体は実に素晴らしいことで、筆者としても応援したいと考えています。しかし、株式マーケットの荒波に揉まれてきた筆者としては、初心者が「純真無垢」すぎることに心配な点もあります。
初心者にとっては「講師が言ったことが正しい」
初心者は、まだ自分自身での判断軸がしっかりしていません。そのため、初心者が株式投資を学ぶときは、本の著者や講師の人が言ったことが正しい、と思いがちです。したがって、「誰から学ぶか」は、その後の個人投資家人生がうまくいくかどうかを左右する重要な要素となります。
例えば初心者向けの株式投資の本に「株価は長期的には右肩上がりです」とアベノミクス相場後の日経平均株価の株価チャートが載っていれば、「確かに右肩上がりだ!」と思ってしまうでしょう。
ところが、バブル崩壊後、60%を超える株価下落局面は3回ありましたし、日経平均株価が3万円に到達しても、ほとんど株価が上昇していない個別株も多々あるのです。
また、「よい会社の株を見つけて適正な株価で買えば、一時的に株価が落ちてもやがて回復して上昇に転じるため成功できる」というコメントもよく見聞きします。そして、実際にうまくいっているケースの株価チャートを示すのです。
でも、それは結果論であって、そもそも、初心者の方がよい会社の株を正しく見つけることができるかどうかは疑わしいところです。
あるいは、「もともと50倍だったPER(株価収益率)が30倍になったなら、かなり株価は割安になったと判断できる」とセミナーで聞いたら、きっとほとんどの初心者の方は「その通りだ」と思うはずです。セミナー講師もそう言っているし、初心者向けの株式投資の本にもそう書かれているからです。
絶対に本の通り、講師の言った通りになるのですか?
筆者が特に初心者の皆さんに考えてもらいたいこと、それは「本当に、本に書いてある通りに、セミナー講師の人が言った通りになりますか?」「もしそうならなかったらどうするのですか?」ということです。
確かに日本株も米国株も、長期間右肩上がりになっていますが、過去には世界恐慌でNYダウ平均株価がおよそ90%の大暴落となったケースをはじめ、50%以上の暴落となることもありました。100年、200年スパンなら確かに右肩上がりになるのでしょうが、10年、20年程度の期間であれば、逆に株価が下がってしまうこともあるでしょう。
PERについては、トウシルで過去にも書きましたが、株価が下落してPERが低下している場合は手を出すべきではない、というのが実践的な考え方です。割安になったのではなく業績悪化を織り込んでいる可能性が高いからです。
ですから、初心者の方は次の3点にはぜひとも気をつけていただきたいと思います。
・過去の株価が右肩上がりだから今後もそうなるとは必ずしもいえない
・よい会社を見つけて適切な株価で買い長期保有すれば成功するとは必ずしもいえない(そもそもよい会社の見つけ方が難しい)
・PERが低下したら株価は割安になったとは必ずしもいえない
株価のトレンドを併用すれば解決できる
初心者向けの本に書かれていることや、セミナーで講師が初心者に対して教えている内容が間違っているとは筆者も思っていません。正しいことを教えていると思います。
でも、教科書通りの正論のとおりには必ずしもいかないのが、株式マーケットなのです。株式マーケットがイレギュラーな動きをするようなとき、多くの個人投資家は多額の損失を被ってしまい、中には再起不能なほどの損失を作ってしまう人もいます。
PERが大きく低下したから割安になったと思って投資したら、全然下げ止まらず買値から3分の1とか5分の1になってしまった…などということは、決して珍しい話ではありません。
では、個人投資家としてはどうすればよいでしょうか。
まず、株式投資の世界は誰もが想像できないような出来事が起こる可能性があることを認識してください。昨年2020年のコロナ・ショックの急落も驚きましたが、それ以上にその後の株価急上昇でコロナ前の水準すら軽々と上抜いたことの方が驚きでした。誰もこんなことは予想できなかったはずです。
先入観を捨て、株価の動きに従って行動する
その上で、いつ何が起こってもおかしくないように、「今後株価はこうなるに違いない」という先入観を捨て、株価の動きに従って行動することが重要です。
例えば「優良な会社を長期保有すれば必ず株価は上昇する」とか「PERが大きく下がったから割安だ。だから買うべきだ」と思っても、株価が下落している間は手を出さないようにします。
こうすれば、株価が自分の先入観と異なる動きになったとしても、大きな損失を避けることができるのです。
「よい会社の株を長期的に保有すれば株価は必ず上昇する。でも株価が下がっている間は保有を避ける」
「PERが下がっているから株価は割安になった。でも株価が下がっている間は安易に買うのはやめる」
このように、株価が下がっている間に買い向かうことを避けるだけで、大きな損失をかなりの割合で防ぐことができるはずです。
個人投資家、失敗の最大の理由
個人投資家の失敗の最大の理由は、買った株がその後、大きく値下がりして塩漬け株になってしまうことです。ですから下がっている間は買わなければよいし、もし買った株が下がったら早めに損切りをしておけば大きな損失は回避できます。筆者は25日移動平均線を割り込んだら売却ないし損切り、割り込んでいる間は新規に買わない、というルールをしっかり守っています。
コロナ・ショック後に株式投資を始めた方は、株価急落に巻き込まれた経験がないので、おそらく急落のイメージが湧かないでしょう。
だからこそ、いつまでも右肩上がりの上昇が続くと思わずに、株価が大きく下がったとしても対応できるような売買のルールをあらかじめ作っておくことを強くお勧めします。
(足立 武志)
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