監視カメラやNシステム、DNA鑑定も危ない 警察の「デジタル捜査」で個人情報は大丈夫か

東洋経済オンライン / 2017年1月2日 8時0分

監視カメラやNシステム、GPS尾行、DNA鑑定など、警察のデジタル捜査には、個人情報を侵す危険性もある(写真: wattanaphob / PIXTA)

イケメンの刑事が正義感に燃えながら、聞き込みや尾行、張り込みで見事に犯人を割り出し、取調室で被疑者を厳しく追及する。犯人は否認するが、次第に追い込まれ自白し、事件は30分で解決する。これがテレビの刑事ドラマ、あるいは”警察24時間ドキュメント“のパターンだ。

筆者は現職時代、多くの事件の捜査に携わってきたが、こんなに格好いい捜査は経験したことがない。捜査は無駄の積み重ねで、無駄のない捜査は危険と教わった。”現場100回”という言葉すらあった。検挙率はいつも10%以下、思い出すのは未解決事件のことばかりだ。

自分が体験した捜査と現在のそれとは全く違う。マスメディアが伝える捜査には、捜査用の監視カメラや「Nシステム」(自動車ナンバー自動読取装置)、GPS(全地球測位システム)尾行、DNA鑑定といった手法が頻繁に登場する。これらは科学技術の進展を利用した、捜査のデジタル化や効率化の結果だろう。前回の「警察の『職務質問』は一体どこまで正当なのか」に続き、今回は、これまでの古典的なアナログ捜査の大転換を推し進めている、警察捜査の現状と問題点を説明したい。

■低迷を続けている警察の検挙率

警察は検挙率にこだわる。「検挙率」とは、犯罪の認知件数に対する、検挙件数の割り合いをいう。「認知」とは、被害の届け出だけではなく、告訴・告発のほかその他の端緒で、犯罪の発生を確認することも指す。「検挙」とは、犯罪について被疑者を特定し、検察官などに送致・送付または微罪処分(軽微な犯罪で検察官への一括報告で終わる処分)に必要な捜査を遂げることをいっている。

刑法犯が2002年をピークに毎年10万件単位で激減する中、検挙件数や検挙人員は減少を続けている。2015年の検挙件数は、34万6183件で2006年比46.0%減。検挙人員は23万9355人で同37.7%減という具合いだ。刑法犯以外の覚せい剤取締法違反など、特別法犯の検挙件数や検挙人員も減っている。

結果として検挙率は低迷。昭和期に60%台を誇っていた刑法犯の検挙率は、2001年に19.8%まで落ち込んだ後、2006年に31.2%へと回復、2015年にはようやく32.5%となった。(警察庁『平成27年の犯罪』)。

警察の犯罪捜査は大きく分けると、「任意捜査」と「強制捜査」に分けられる。強制捜査には2種類あり、人に対する強制捜査が逮捕・勾留で、物や場所に対する強制捜査が捜索・差し押さえ・検証などである。いずれもその法的な根拠は刑事訴訟法(刑訴法)だ。警察官が強制捜査を行うときには、裁判官の発する令状が必要で、これを令状主義といっている。

東洋経済オンライン

トピックスRSS

ランキング