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夫と死別、70代女性につきつけられた残酷な現実 戸建てを売って生活を楽しみたいだけなのに

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 19時0分

それでも長年住んだ一戸建てからの引っ越しは、荷物の整理や断捨離も大変です。物理的に荷物の量を減らしてサイズダウンしないと、引っ越しの意味がなくなります。高齢になればなるほど、その負担は計り知れません。

そのため、孫が遊びに来たときに戸建ては飛び跳ねても安心とか、息子たちが家族で来ても皆で泊まれると、さまざまな理由を付け、ついつい引っ越しを先延ばしにしてきました。

そんな孫たちもいつしか大学生になり、祖父母の家に近寄らなくなった頃、最愛のご主人が心筋梗塞であっけなくこの世を去ってしまいました。

駅前のアクセスのよい部屋

大きな5LDKの戸建ては、真千子さん1人で住むには広すぎます。ご主人がいなくなってからは、夜の物音にも敏感になってしまい、眠りも浅くなるなど、いよいよ引っ越しの必要性を感じるようになってきました。

そうなると新居に夢が膨らみます。せっかく思い切って断捨離するのですから、今度は駅前のアクセスのいい場所に住みたいと考えました。

真千子さんの住んでいた戸建ては、街の喧騒から少し離れた郊外にあります。生活するには静かで快適なのですが、1人で住むには少し静かすぎるのです。またちょっと出かけようにも、駅まで10分以上歩かねばなりません。

若い頃は「早く戻ってご飯を作らないと」とか、「子どもが帰ってくるから」と、出かけても気忙しかったのが、今や何の制約もありません。今まで行きたくても行けなかった美術館や展覧会にコンサート……。そんな文化的な生活を楽しむためにも、ぜひ交通のアクセスのいい所に住みたい! と強く思いました。

快適な新しい生活をイメージしなければ、ご主人を失った喪失感とこの大量の荷物の整理に心が折れそうだったのです。

息子たちに片付けを手伝ってもらいながら、家中の荷物が半分くらいになった頃、そろそろ部屋探しをしてみることにしました。

条件は、前から考えていた駅近のアクセスの良いエリア。広さは40平方メートルほどで、家賃は12万円までとしました。

真千子さん自身の年金は、専業主婦だったため遺族年金を受給したとしても、それほど多くはありません。それでも年金で生活すれば、足りないのは住居にかかる費用だけです。

膨らんだ夢が一気にしぼんで

家を売却すれば、安く見積もっても数千万にはなるでしょう。あとはご主人が残してくれた株式や現金等の金融資産が5000万円以上あります。最後はもしかしたら有料老人ホームに入所するかもしれないので、この10年ほどの間は賃貸に住む、としての予算組みでした。

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