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1人の天才が「Amazon」を思いついた思考の裏側 ビジネスやイノベーションの「発端」は意外と凡庸

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 16時30分

1994年末までにベゾスは決断を下していた。ニューヨークでの仕事を辞め、妻と車で大陸を横断してワシントン州シアトルに向かった。

同年11月、ベゾスはAmazon.comのURLを登録し、数カ月後にオンライン書店を立ち上げる。顧客から本の注文が入ると、ベゾスはオレゴンの取次から定価の半額でそれを仕入れた。1、2日後に本が郵送されてくると、包装し直して顧客に発送し、小さな利益を得た。

アマゾンがこのシステムをほかの商品にも広げて、現在の「エブリシングストア(何でも買える店)」になるまでには、数年を要した。

だがベゾスは、Think Biggerのいくつかの重要原則がはっきり表れた手法でイノベーションに取り組み、成功への布石を敷いた。

第一に、インターネットでものを売るという、野心的なアイデアに着手した。
第二に、階層を上げ下げできる課題を見つけた。
第三に、他社の取り組みを調べ、それらのどこがなぜ、うまくいっていないのかを研究して、自分に解決できる課題を特定した。
第四に、コンピュータ科学や金融、営業など、多様な分野のアイデアを組み合わせて、新しいビジネスモデルを開発した。

あとから考えれば、課題を分解するのは当たり前に思えるかもしれない。解決策から逆算して考えれば、それが課題のどの部分を解決したかがすぐわかる。

だが、手探りで解決策を見つけるのは本当に難しい。その証拠に、当時アマゾンに似た企業がたくさん生まれていたわけではなかった。だがネイスミスやベゾスなどのイノベーターが示すように、それは困難な取り組みだが、大きな実を結ぶことがあるのだ。

課題をサブ課題に分解する手間を取らずに、いきなり解決策を探せば、スピードは速まるが、質が低下する。課題を分解する方法は、人によってまったく違う。分解それ自体がアイデア創出の行為であり、サブ課題を見れば、その人が課題を解決するカギだと信じている要素がわかる。

日常生活の平凡な課題であっても、最初に思ったよりずっと複雑な場合がある。課題分解の作業は、思った以上に時間と思考、調査を要する取り組みなのだ。

(翻訳:櫻井祐子)

シーナ・アイエンガー:コロンビア大学ビジネススクール教授

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