日本の自動車産業を左右するダイハツの失地回復 過去の自動車業界の不祥事との比較から読み解く
東洋経済オンライン / 2023年12月22日 13時56分
3. 現段階では、ダイハツ経営陣、および親会社のトヨタ自動車は適切に問題に向き合っている
タカタや三菱自動車の事件では、死傷者が出ていることも、問題を深刻化させた。今回は、大規模な事故を発生させるレベルの不正には至っていないように見える。
長期にわたる大規模不正を現経営陣が把握していなかったこと、長らく是正されていなかったことは大きな問題ではあるが、知っていて故意に行っていたというのとは事態の深刻さは異なっている。
また、ダイハツの親会社のトヨタ自動車は日本のトップ企業であるだけでなく、世界的企業である。本問題に対して徹底した対応が求められているし、またその覚悟も持っているように見える。事後対応も適正に行われることが期待される。
今回の不正によるダイハツのビジネス面でのダメージ、信頼性、ブランドの失墜は著しいが、今後の対応を適正に行うことで、信頼回復、また業績回復は不可能とはいえない。
2017年、自動車業界だけでなく、東芝の粉飾決算、神戸製鋼データ改ざんなどの不正行為が相次いで、日本の製造業の信頼性を損なう結果になってしまった。
ダイハツだけでなく、自動車業界全体が今回の不正に真摯に向き合い、再発防止を徹底する必要がある。日本の基幹産業である自動車産業の信頼性を守ることは、日本の信頼性の確保にもつながる、重要な課題である。
西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
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