岸田文雄首相、「意外な交代人事」の裏舞台 "党改革"への思惑がにじむ「渡海政調会長」
東洋経済オンライン / 2023年12月22日 19時50分
結成後、同研究会は学者や官僚、当時の後藤田正晴・党選挙制度調査会長(故人)らを講師に勉強会を重ね「政治改革への提言」をまとめて、当時の安倍晋太郎幹事長ら党執行部に実現を求めた。
同提言の主な内容は①公職選挙法については、比例代表制を加味した小選挙区制の導入を研究すべき②早急に衆議院の定数是正を行う③議員活動を保障するため、事務所維持費、秘書の人件費など必要な基礎活動費は国の負担とする④政治資金集めのパーティーは政治団体による開催に限定し、収支公開を義務付ける――などだ。
まさに、今回の巨額裏金疑惑の発覚を受けての政治改革論議を予見していたような内容ともみえる。そして、その中心人物の一人として、その後も一貫して「政治とカネ」問題への厳しい対応を主張し続けてきたのが渡海氏なのだ。
前回総裁選で野田聖子氏の「20人目の推薦人」に
さらに、岸田首相誕生の舞台となった2021年9月の自民党総裁選では、土壇場で20人の推薦人を確保して出馬にこぎつけた野田聖子氏の「最後の推薦人」となったのが渡海氏。
野田氏の出馬については、総裁争いで優位に立っていた岸田陣営が「ライバルの高市氏(早苗・現経済安保相)の票を減らすたに様々な裏工作を展開し、その結果として、渡海氏が推薦人に加わってくれたことが、今回の渡海氏起用に結びついた」(岸田派幹部)との経緯もあるとみられている。
今回の交代人事第2弾については、萩生田、高木両氏が14日の段階で、安倍派の閣僚らの辞任に合わせて辞表を提出していたが、岸田首相が2024年度予算案の編成作業を終える22日まで後任人事を先送りし、萩生田、高木両氏もこれに従った。
この人事に先立ち、政府は22日午前、首相官邸で与党との政策懇談会を開き、2024年度予算案を提示し、了承された。同予算案の一般会計総額は約112兆700億円で、過去最大だった23年度当初予算(114兆3812億円)を下回り、12年ぶりの減額となり、同日午後の臨時閣議で決定した。
岸田政権維持への貢献は「予断許さず」
これを受けて、岸田首相は同日午後、渡海政調会長、浜田国対委員長などの人事を正式決定、両氏は直ちに党内調整や野党対応などの職務をスタートさせた。ただ、東京地検の捜査次第では、「自民党全体が激震に見舞われ、岸田政権崩壊の危機が迫る可能性もある」(自民長老)だけに、渡海、浜田両氏の起用が岸田首相の目論見通りの「政権維持への大きな貢献となるかは予断を許さない状況」(同)が続くことは間違いない。
泉 宏:政治ジャーナリスト
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