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「昇進した社員が無能になる」に対する驚く対処法 イグノーベル賞を受賞したおもしろすぎる研究

東洋経済オンライン / 2023年12月27日 17時30分

(写真:kouta/PIXTA)

ノーベル賞のパロディとして創設され、世界中の独創性に富んださまざまな研究や発明の中からさらに「人々を笑わせ、同時に考えさせる研究」に贈られるのがイグノーベル賞です。私たちの日常で遭遇するぼんやりした「?」や滑稽な出来事、事件を科学的に解き明かして、見事イグノーベル賞を受賞した研究を紹介した書籍『ヘンな科学 “イグノーベル賞”研究40講』より一部抜粋・再構成してお届けします。

昇進させる従業員はランダムで選ぶと良い

「ピーターの法則」について聞いたことはあるだろうか。組織の労働についての法則で、1960年代に提唱された。職場で、「なんであんなでくのぼう上司が出世できたのだろう?」と思っている多くの人は、この法則に納得ができるはずだ。

ピーターの法則は、もともとは優秀だった人が役立たずの管理職と化してしまう仕組みを、次のように説明している。

階層のある組織の中では、優秀な人が抜擢されて出世する。しかし新しい役職では以前と必要なスキルが異なるため、無能になってしまう場合もある。出世してもたまたまその役職に必要なスキルを持ち合わせている人もいるので、従業員たちは無能になるまで階層を登り続けることになる。

つまり、無能なヒラ社員はその無能さゆえにずっと同じ階級に居座り、有能な社員は無能なマネージャーと化すまで地位を上り詰めていく。こうして、組織全体が無能な人たちで蔓延するというのだ。

ならば、どうやって出世する人を選べば良いのか?その方法を、数学的なシミュレーションを使って考え抜いた研究者がいる。2010年の経営学賞を受賞した、アレッサンドロ・プルチーノ准教授をはじめとするイタリアの物理学者たちだ。面白半分で始めた研究が思いの外大掛かりなことになり、イグノーベル賞を受賞してさらに大ごとになってしまった、という。

シミュレーションを行うにあたっては、次のような会社を想定した。階層はヒラから社長までの6段階、下の階層ほど人員が多く、60歳になると定年退職する。各社員にはランダムで年齢と有能度を割り当て、有能度の平均が10段階中の7になるよう初期設定した。

通常、従業員を昇格させる基準は会社によって様々だ。今回のシミュレーションで研究チームは、「一番優秀な人を昇格させる」「一番無能な人を昇格させる」「ランダムで昇格させる」の3つを試すことにした。

合計で6パターンのシミュレーション

この3つの基準に、有能な人は出世してもそれなりに有能であるとする「常識仮説」と、出世前と出世後では能力は異なるとする「ピーター仮説」の2説を掛け合わせた。合計で6パターンのシミュレーションを行ったのである。シミュレーションで昇格のチャンスが訪れるのは、誰かが定年退職した時と、誰かの有能度が4を下回ってクビになったとする時だ。

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