石川・のと鉄道七尾線、廃線区間の足は「空港バス」 穴水―輪島間、特急バスと空港連絡バスが主軸
東洋経済オンライン / 2023年12月28日 6時30分
ローカル鉄道の廃止反対理由として、「鉄道がなくなると町がさびれてしまう」としばしば述べられる。しかし現実には鉄道の乗客が高齢者と高校生だけとなり、利用客数が極端に減少してしまったからこそ廃止論議が起こる。消えた鉄道の沿線地域と、鉄道を代替した公共交通機関は今、どうなっているのか。今回は能登半島の日本海側へ通じていた、七尾線の穴水―輪島間を見る。
七尾線は、私鉄の七尾鉄道として1898年4月24日に津幡仮停車場―七尾間などが開業した。120年以上の長い歴史を持つ鉄道だ。1907年に国に買収されて以後、細かく延伸を繰り返し、輪島まで全線開業したのは1935年7月30日である。
【写真でわかる】2001年に廃止された石川県のと鉄道七尾線の穴水―輪島間。現在の公共交通機関はどのようになっているのか。
三セク鉄道からバスへ転換
ただ、JR西日本となってから後、1991年9月1日に津幡―和倉温泉間の電化が完成し大阪や名古屋からの電車特急が乗り入れるようになった一方、和倉温泉―輪島間は、先に1988年、能登線(穴水―蛸島間)の経営移管を受けていた、のと鉄道へと転換された。
その後、利用客減少により七尾線の穴水―輪島間20.4kmは2001年4月1日、能登線が2005年4月1日に廃止。のと鉄道は和倉温泉―穴水間のみ(列車は七尾まで乗り入れ)で営業を続けている。
能登半島の大きさは想像以上だ。かつて、金沢から走っていた七尾線の急行列車は、速度が出ないディーゼル列車とは言え、輪島までの119.5kmを2時間20~30分。能登線へ乗り入れる急行も、終点の蛸島まで160.2kmに3時間15分ほどを要していた。穴水までの99.1kmでも、1時間40~50分かかっていた。
今回は金沢からの特急からのと鉄道の列車に乗り継ぎ、穴水には13時53分に到着した。七尾での接続がよくても、今でも金沢―穴水間の所要時間は、2時間を切るのがせいぜいだ。
のと鉄道の列車内では、運転士から「奥能登まるごとフリーきっぷ」を3000円で購入。のと鉄道と北鉄奥能登バスの路線バスの全線が、2日間乗り降り自由となる便利なきっぷだ。
のと鉄道はJR西日本とだけではなく、こうした北陸鉄道のバスグループとの連携も目立つ。能登半島北部一円に路線を持つ、北鉄奥能登バスも北陸鉄道の子会社である。穴水駅では、金沢駅前と珠洲方面とを結ぶ特急バスの回数券も発売している。こうした連携が現実的な選択であることが、次第にわかってくる。
小規模ながら空港アクセスも担う
この記事に関連するニュース
-
能登半島地震、被災地で見た「地域の足」の現状 各社連携し運行、復興のカギは「現地への関心」
東洋経済オンライン / 2024年5月22日 6時30分
-
「大丈夫でしたか?とお声がけをしたい。でもうかつに聞くことは…」“全線復旧”した能登半島の鉄道が抱える“ほんとうの復旧”までの距離
文春オンライン / 2024年5月20日 6時0分
-
北陸鉄道、地震の影響3億円超 能登で建物被害、バス運休
共同通信 / 2024年5月17日 21時30分
-
わずか3カ月で全線再開した「のと鉄道」、奇跡的な復旧はどう成し遂げられたのか 共通の目標は「新学期に間に合わせたい」日常を取り戻す光に
47NEWS / 2024年5月13日 10時30分
-
開業後わずか4カ月で被災…能登の注目鮨オーベルジュ「一 能登島」で元旦の夕食仕込み中に起きたこと
CREA WEB / 2024年4月24日 7時0分
ランキング
-
1道路舗装、新たに違反12件 NIPPOが原因調査
共同通信 / 2024年5月22日 20時39分
-
2ファンド提案に反対決議=来月総会、社長解任案に対抗―北越コーポ
時事通信 / 2024年5月22日 21時31分
-
3トヨタが日本初の営業利益5兆円超 今期は減益で足場固めの年に
財界オンライン / 2024年5月23日 7時0分
-
4セブンプレミアム、累計売上15兆円突破 最も売れた商品は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月22日 14時40分
-
5東電料金、7月は392円高=政府補助終了、他電力も上昇へ
時事通信 / 2024年5月22日 17時27分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください